俳句deしりとりの結果発表

第50回 俳句deしりとり〈序〉|「うび」②

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俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第50回の出題

兼題俳句

蝙蝠のなる木明日は月曜日 塩田奈七子

兼題俳句の最後の二音「うび」の音で始まり、「」の音で終わる俳句を作りましょう。

 

※「うび」という音から始まり、「」の音で終われば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

 

うびすき?指宿?夜明けの余寒

星瞳花

わざと(?)聞き間違えをするのもしりとりテクニックでしたねえ。そんなんありか(!?)って気もしますが、しりとりの前にはなりふりかまっていられないんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ。「指宿」は鹿児島県の地名で、温泉などで有名な土地……なのですが、読み方としては「いぶすき」であって「うぶすき」ではないっぽいですね。訛りとかで「い」が「う」に聞こえちゃったりするのかなあ?
“良き”

うびー川夏伝説ガイド金城さん

嗚呼 みこえ

うび】なんて沖縄の死語もう立春

スマイリィ

うびじゃすんしまくとぅばあり赤翡翠

沼野大統領

ウビゥンジャスンうりずんあんたー忘てぃららん

水きんくⅡ

出たな、沖縄部隊! 前回も沖縄関連の言葉で不思議な読み方した単語があったんだよね。「塩川(スガー)」ってやつ。読めんて!! 《スマイリィ》さんの「うび」は「記憶」とか「覚え」を意味する単語で、句の通り今ではほとんど使われなくなった方言なのだそうです。

……だというのに、その「うび」を正しく使った句が二句も届いてるのドウイウコトナノ。《沼野大統領》さんは自ら「思ひ出す島言葉あり赤せうびん」って標準語訳をつけてくれてるの助かるーっ!! 「うびじゃすん」の「うび」が「思い」に相当するのかな。外国語学習みたいで面白いな……。《水きんくⅡ》さんの句はカタカナまじりなのもあって一層未知の言語感がスゴイ。AIくんに訳文をつくってもらったところ、直訳すると「思い出すうりずんあなたは忘れられない」みたいな意味になるそうな。お、上五が《沼野大統領》さんと同じ?? ひらがなとカタカナの違いに加えて《水きんくⅡ》さんがより忠実な(?)発音を文字化しようとしてたために同じ言葉だと気づけなかったけど、どっちも「うびじゃすん」なのか、これ。発音を丁寧に再現すると五七五から逸脱してしまう場合があるんだねえ。方言俳句作る時には頭の片隅に留めておこう。
“ポイント”

うびら石にひとり夏の水平線

無才句

うびら石入道雲を仰ぎ見ん

碁練者(ごれんじゃー)

ウビラ石踏むヤマネコや春の音

そうわ

ウビラ石へシーカヤックいざ漕ぎ出でん

ユリノキ

ウビラ石へ地球の叫び雷雲

真中美郷

ウビラ石を躱すヨットの羅針盤

都築減斎

ウビラ石幾億冬の濤受けん

ゆきのこ

ウビラ石飾った棚に梅一輪

沙魚 とと

ウビラ石突き刺さってる夏の天

多数野麻仁男

ウビラ石目指す舳先へ飛燕飛燕

かなかな

こちらも沖縄。《そうわ》さんの句に「ヤマネコ」が出てくるのでピンときた人もいるかもしれませんが、西表島にあります。崖が海に向かって張り出した岩場で、観光スポットになっているそうです。写真を見てみると《ゆきのこ》さんの「幾億冬の濤受けん」ってフレーズに説得力が生まれますねえ。カヤックとかヨットとか、沖縄の海レジャーやってみてぇー!

“とてもいい“

うびと鳴き潰るる蛙背に二屯

向原てつ

うびと鳴くかはづ在るとや見にゆかん

西野誓光

「屯」って普通に読んだら重さの単位の「屯(トン)」だよね? 易経の「屯(ちゅん)」じゃないよね……? トンがのしかかったらうびと鳴く暇もなく潰れると思う……けど、効果音がメメタァならギリギリ助かったかもしれない……。
“良き”

ウビヒデブ!末魔の叫び春健診

ズッキーニン

『北斗の拳』っぽい断末魔。「ひでぶっ!!」はあまりにも有名だけど「うび」ついてるバージョンってあるのかな……実は『北斗の拳』読んでなくて知らないんだごめんね……。健診の数値悪くなるお年頃のため、気持ちはイロイロわかっちゃってツライ。
“良き”

うびょろんとあだなつけられ花の宴

ヒマラヤで平謝り

その響きは……大丈夫なのか……? 「花の宴」でだいぶ救われてる感あるけど、どういう経緯でついたあだななんだ……。ちなみに僕が今想像してるのはぬらりひょん的なやつです。
“良き”

うびびびび投句忘れた春らんまん

里山子

うびびびび赤は嫉妬のシクラメン

ヨシキ浜

うびびびび痺れ汗だく麻婆丼

鈴木そら

出題のせいだってのは理解してるけど、「うびびびび」の語感がヤバい。投句忘れて自我崩壊してるのも嫉妬で奇声あげてるのもイロイロヤバい。なまじ「赤は嫉妬のシクラメン」が詩の言葉として凄味があるだけにコワい。あと「うびびびび」ってなるくらい辛い麻婆丼はもはや劇物なのよ。そしてこの場合の「汗だく」は季語としての汗と考えていいのだろうか、などなど……。
“ポイント”

うびんうびんと初夏の洗車機鳴るうびん

霧賀内蔵

うびゅってな蝌蚪のうまれる声やねん

青に桃々

オノマトペシリーズでも特にオリジナリティの高かった二句。実際の音をより精密に聞き取ろうとして「うびん」にたどり着いた《霧賀内蔵》さんと、実際には音の聞き取れないであろう事象に対して、視覚から得た情報を聴覚へと変換するようにして「うびゅっ」を見つけ出した《青に桃々》さん。アプローチの仕方は違えど、どちらもオノマトペの鮮度が良いですねえ。初夏の溌溂とした明るさと水を迸らせる洗車機のうなり、ゼリー層に包まれた卵が蝌蚪へと身を変化させる瞬間を意識が捉える喜び、どちらもオノマトペのインパクトに季語が負けることなく主役に立てているのがえらい。
“ポイント”

ウビプピプ」コスモスごそと吸うガッちゃん

江口朔太郎

『Dr.スランプ』! 『Dr.スランプ』じゃないか! アニメ観たのもう何十年も前なのにガッちゃんをはじめ主要人物の声が脳内再生されるのレジェンド作品すぎるんだよな。ただ、ガッちゃんの場合コスモス吸うっていうか食べてそうだなとは思う。
“ポイント”

うび行くのランチに行くよ春うどん

へばらぎ

うび見たいなあ風邪の子のつぶやかん

那乃コタス

うび行こう鼻風邪の君のテンション

豆くじら

鼻声になったシリーズ。花粉症持ちなので大変わかります……。風邪は冬の季語だけど、風邪っぴきの状態で海を見に行きたがるものかなあ、という疑問は残ります。風邪といいつつも、実態は春の花粉症に近いのかもしれませんね。暖かくなった春の海なら見に行きたくなりやすいし。風邪という季語への捉え方の変化と、花粉症が季語として認知されていく過程を垣間見るようで興味深い。
“ポイント”

右鼻だけがつまる謎解く夜の布団

藤富うに

右鼻翼を刺され蚊遣の甲斐ないじゃん

いまい沙緻子

こちらも鼻詰まっております。片方だけなぜか詰まったりするんだよなあ、なんなんだろうねアレ。特定の体勢とった時だけ開通したりもするし、ホント鼻って奇々怪々。「右鼻翼」って単語も初めて聞きました。いわゆる小鼻の部分を鼻翼っていうんだそうな。蚊遣の敗北、ご愁傷様です。
“ポイント”

ウビーグピー夫のかたち夏布団

頭痛餅

いびきがあまりにものんきで笑っちゃった。《いまい沙緻子》さんの句読んだあとだから余計に滑稽に思えちゃいますなあ。右鼻翼蚊に刺されててほしい。かゆっ!

《③に続く》
“ポイント”