第67回「城下町の白壁」《天》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

天
第67回
瓜冷す鯉一陣の廻りをり
翡翠工房
子どもの頃、川端に井戸のあった母の実家では、井戸に吊して西瓜や胡瓜などを冷やしておりました。が、この句は、井戸ではなく水路であることが分かります。「鯉一陣」が廻っているわけですから、それなりに幅のある水路なのだろうと推測できます。
生活の中に湧き水が使われている地区では、今でもこのような光景が見られます。投句に添えられていた作者コメントは、まさにその例です。「滋賀県高島市の針江地区では、『かばた』という小屋の中の湧水で野菜などを冷やす手法が今でも使われています。食べ終わった食器など浸しておくと、鯉が残飯処理をしてくれます。とってもエコロジーです。なので台所洗剤など使いません。鯉も大切な家族なのです」
この「瓜」は、真桑瓜の類いでしょうか。品種改良が重ねられた西瓜とは違い、鄙びた優しい味わいの黄色い瓜を思いました。一陣の鯉たちの赤の斑の色合いも、いかにも涼しげ。瓜の傍らをゆっくりと回れば、瓜に触れていく尾びれもあるのでしょう。
言葉で映像を描写するとは、まさにこのような一句。作者の眼球に映った光景をそのまま読者の脳内に再生する技術なのです。


