写真de俳句の結果発表

第68回「監視カメラに鵜」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊 NEW

第68回「監視カメラに鵜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

鵜微妙ぞ魚は吐かざる歓光船

逢來応來

夏井いつき先生より
「歓光船」は、観光船の変換ミスでしょうか。むしろ「鵜飼船」とすれば、そのまま季語にはなりますが……。
“難しい”

鉄塔聳ゆ古りし運河に川鵜浮く

栗の坊楚材

夏井いつき先生より 
最後の「浮く」が気になります。「運河に鵜」とあれば、「川」も「浮く」も不要ではないかと。
“ポイント”

大瑠璃は水音聞きて頭上げ

丸山隆子

夏井いつき先生より
仮に、「水音に大瑠璃は」と書けば、「聞き」と書かなくても、その音によって、という意味は伝わります。残りの音数でどう整えるか。推敲してみましょう。
“ポイント”

萵苣の芯等しく配る母の卓

風友

夏井いつき先生より  
「萵苣の芯等しく配る」は面白いと思います。下五「母の卓」は、母が配っているのか、母の卓(?)皿(?)に配られているのか。少々迷いました。
“参った”

映る鵜のそろそろどいてくれないか

まさと澄海

夏井いつき先生より
「櫂未知子先生の有名な〈春は曙そろそろ帰つてくれないか〉のリスペクトですが、元の句の古典と現代口語の強烈なギャップはなく、お題の写真そのままということは承知しています。兼題写真を見たら自然とできてきた句なので、自分の句のスタイルを広げる試みとして、投句したいと思いました。ありでしょうか?」と作者のコメント。

私たちは、兼題写真を見ていますので、「映る鵜」が何に映っていて、なぜ「そろそろどいてくれないか」と言ってるのかが分かります。が、兼題写真を見てない人は、鵜の写真を撮ってる? 鵜じゃないものを撮っていて鵜がじゃま?……と、微妙に分かりにくい句になってます。
“参った”

困ったな迷子になった春の空

へばらぎ

夏井いつき先生より
「迷子になった春の空」で十分に困っているのは分かるので、上五を再考しましょう。
“ポイント”

野分の地飛べない鳥の太き脚

謙久

夏井いつき先生より
「飛べない鳥の太き脚」というフレーズは良いですね。上五ですが、「~の地」と地面を意識させなくても、最終的に「脚」に焦点が絞られますので、ちょっと損。上五再考しましょう。人選はすぐ目の前です。
“ポイント”

夏は鉄塔のてっぺんから染まる

典典

夏井いつき先生より
「染まる」を一考すれば、人選に手が届きます。どんな言葉を選択するかによって、語順を替えるほうが良いケースも出てきそうです。
“良き”

青葉闇鳥の背後へまわる猫

摂州黒うさぎ

夏井いつき先生より
「生き物の名を二つ使うのはあまり良くないとハシ坊で拝読した気もしたのですが、やってみました(敦盛塚近くで見た光景です)。年に一回、春から夏にかけてハシ坊で御指導いただいくことが多いので、もしかしたらこの句がそれに該当するかも(笑)」と作者のコメント。

この句の場合は、「猫」の動きに興味を持って生まれたのではないかと推測します。ならば、「鳥の背後へまわる」とせず、「何狙う猫や」のような書き方でも、場の様子は表現できます。作者コメントにある「敦盛塚」という場所にむしろ興味を抱きました。例えば……

添削例
何狙う猫や青葉の敦盛塚
“ポイント”

枯れわせで監視カメラに川鵜糞

ビバリベルテ

夏井いつき先生より
上五の「枯れわせ」? とは何でしょう? ここが分からなくて……。
“良き”

鵜ならしや猛特訓に夜逃げかな

前世ニャン子

夏井いつき先生より
「や」「かな」と切字が重なるのは、感動の焦点がブレるということで嫌われます。
“難しい”

ヒヤシンス心まで見透かされてをり

中指富士夫

夏井いつき先生より
例えば、季語以外の部分を「心を見透かされ」と書けば九音です。音数が節約できましたね。前半を「ヒヤシンス○○○」と、○の三音でヒヤシンスを描写すると、季語が少し前にでてきます。
“ポイント”

掛乞の動線監視カメラあまた

ばちゃ

夏井いつき先生より
「松山の三越の書店で、夏井先生の『絶滅寸前季語辞典』を手に入れました。 最近多忙で、ゆっくり俳句を考えている暇もなく、締め切り間際に本を手に、詠みたい内容に沿う季語を探しました。監視社会への風刺をそれとなく読みたくて……」と作者のコメント。

うーむ……「掛乞」のために集金して廻っている人の動線を監視カメラが追っている? という句意でよいのでしょうか。「掛乞」の時代と、「監視カメラあまた」の時代。そのギャップをどう読めばよいのかと迷いました。ひょっとすると、「掛乞」を比喩的に使っているのかも……とも。
“良き”