写真de俳句の結果発表

第68回「監視カメラに鵜」《ハシ坊と学ぼう!⑫》

ハシ坊 NEW

第68回「監視カメラに鵜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

夏の夕匂ひの中へ黒き影

嬉々

夏井いつき先生より
「この句のお題を、鵜ではなく鴉と間違えて詠みました。夏の夕方に庭で焼肉を始めると、匂いにつられて鴉がやってきます。遠慮なく直ぐ側まで。焼肉、鴉の語を使わずに描写してみました。『黒き影』が鴉と思えるか? 熊と思われるでしょうか?」と作者のコメント。

抽象的なイメージの句だと受け止めます。「焼肉、鴉の語を使わずに描写してみました」という意図にはそぐわない形になってしまったかと。
“難しい”

羽干しの鵜よ吾の深さはいかほどか

千代 之人

夏井いつき先生より
中七「吾の深さ」の解釈を迷いました。作者としては、どういう句意を表現したかったのでしょう?
“参った”

鵜は知りぬ映らぬ事ぞ証拠ぞと

万里の森

夏井いつき先生より
「京都南丹市の園部小学校のすぐそばに、数年前まで娘が暮らしていました。私も足を運びましたので園部はとてもなじみがあり、本当に長閑でとても素敵な場所です。あの事件を知り、心の底から痛みを覚えました。南丹市の川には川鵜が沢山いて、カメラが好きな私は写真も撮りました。兼題写真を見て、あの頃の園部の映像が脳裏に焼き付きました」と作者のコメント。

本当にあの事件には、心を抉られました。そんな自分の感情をいたわるためにも、このような句を綴ることは大切なことです。言葉として可視化することで、私たちは自分の心を守れるのだと考えています。いつかもう少し時間が経って、振り返る心のゆとりが生まれてから、作品としてブラッシュアップさせて下さい。
“ポイント”

ヤマボウシ咲く遊歩道に鳥の影

西城 典子

夏井いつき先生より
「山法師」のような植物の場合は、特別な意図がない限りは、漢字あるいは平仮名にするのが定石です。
“ポイント”

風光るレフ板掲ぐ斬られ役

夕佳莉

夏井いつき先生より
「掲ぐ」が「斬られ役」に掛かるとすれば、「掲ぐる」と連体形になります。中八になってしまいますね。
“参った”

バナナの実幼かりし頃のタイペイ

あねもね

夏井いつき先生より
例えば、後半を「幼き日のタイペイ」とすれば、調べが整います。前半は「バナナの実○○○」として、○部分でバナナを描写してみましょう。一気に人選に手が届きます。
“ポイント”

鉄塔にハンガリーの床鴉の子

スマイリィ

夏井いつき先生より
「ハンガー」の入力ミスだとは思いますが……。
“難しい”

屋根に羽干す鵜の一羽風薫る

おかだ卯月

夏井いつき先生より
「鵜」も夏の季語なので、無理に下五に季語を入れる必要はありません。敢えて、季重なりにしたいということでしたら、『夏井いつき俳句チャンネル』【季重なり】シリーズを参照して下さい。
“ポイント”

白波の鵜の巣断崖茜雲

とも女

夏井いつき先生より
「岩手県の田野畑村の鵜の巣断崖の展望台からのテレビを見ました。展望台があるんだとビックリしました」と作者のコメント。

下五「茜雲」が本当に必要かどうか、語順も含めて再考してみまょう。
“ポイント”

鵜の朝のとほくに夜のありにけり

髙田祥聖

夏井いつき先生より
「鵜の朝のとほくに」で、すごく期待して、「夜のありにけり」で、そうですね……で終わってしまいました。後半、何かやって欲しい。やれる人だし。
“参った”

のみ込めぬ監視カメラに首振る鵜

わかめ

夏井いつき先生より
写真からの言葉として「監視カメラ」が入っていますが、この句の「飲み込めない獲物を首を振って飲み込もうとしている鵜」という内容はとてもよいです。「監視カメラ」を外して、純正の一物仕立てとして仕上げてみてはいかがでしょう。
“ポイント”

シーソーの奥に鵜のゐる夕べかな

田中麦(水豚庵改め)

夏井いつき先生より
面白い句材です。「シーソーの奥」とは、反対側という意味? 下五「かな」も含めて、再考してみましょう。
“難しい”