第68回「監視カメラに鵜」《天》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

天
第68回
鵜の咥へ直す魚からみづきれい
岸来夢
丁寧にモノを観る目からは、こんな句も生まれます。嘴で捕らえた魚を、しっかりと「咥へ直す」。その瞬間を、まるで動画の映像のように言葉で表現した佳句です。
語順もよく考えられていて、まずは「鵜」という本体、「咥へ~」によって嘴のアップに焦点が絞られ、「直す~」によってその動作が明確に描かれます。
更に褒めたいのは、後半の展開。咥え直した獲物の「魚」がどんな種類だとか、どんな様子だとか(例えば、まだ暴れているとか、血が出てくるとか)を書くのではなく、その「魚」から滴る「みづ」の美しさをクローズアップする。この把握によって、上質な詩として結球しました。
下五「みづ」の歴史的仮名遣い、「きれい」と平仮名で書かれた口語の呟き。表記もまた、表現の一部であることを改めて堪能させてくれます。
そして、「鵜」のウ音、「魚(うお)」のウ音、二つの頭韻で調べを作っているのも、心の行き届いた判断です。
こんな一物仕立ての作品が書けるようになると、吟行すること・観察することがますます楽しくなってきますね。


