第70回「ベランダの桔梗」《ハシ坊と学ぼう!①》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ベランダの鉢で、去年買った桔梗が今年も咲きました。冬の間枯れた様になっていたのに、植物は強いですね。ただ生きているだけで大仕事と、言われているような気がします。これから暑くなる時期なのに、この花を見ていると清々しさを感じます。
嫌夏
季語なし
薩長の裏書き朱く桔梗の紋
かたじん
「70年生きてきて、桔梗の花との接点が見つかりません。唯一憧れの龍馬さんの紋所が桔梗でした。薩長同盟書の裏書を朱く書いたのは龍馬さんです」と作者のコメント。
「紋」の「桔梗」は、季語としての鮮度が落ちます。


季語なし
墓石には桔梗の家紋ひとつかな
シラハマナオコ
「我が家の墓は富士山の麓の『富士霊園』。ここには亡き母が眠っており、墓はだいぶ前に母が購入したものです。死後の自分の居場所を自分で買ったのは、何だか哀しい。墓石には、母の大好きな花『桔梗』が家紋として彫られており、町の花屋で桔梗を見かけると、母を想います」と作者のコメント。
「家紋」としての「桔梗」は、季語としての鮮度がグッと落ちます。


季語なし
歳々や苦くも頼もし桔梗根
枸橘
「桔梗根」ということは、漢方薬でしょうか。だとすると、これを季語とするには少々無理がありそうです。


季語なし
桔梗めくアラスカの野に風わたる
紫風
「大自然を旅していると、時折、思わず息をのむような絶景に出会うことがあります。アラスカ旅行中、緩やかな坂を登り切ったその先には、視界いっぱいに薄紫のヘアベルの絨毯が広がっていました。天国とは、このような景色をいうのかもしれないと思うほど、そこは清らかで、静かで、厳かな空間でした。今でも、あの野を渡る柔らかな風まで思い出されます」と作者のコメント。
「桔梗めく」と書かれているのは、何なのか。そこをもう少し明確に。


季語なし
桔梗の花皿愛でし幼き日
あっこロイド
「桔梗」の柄の皿となれば、季語としての鮮度はなくなります。


季語なし
心字池桔梗の菓子と痺れ足
手島こみち
菓子の「桔梗」となると、季語としての鮮度は落ちます。


季語なし
新聞屋桔梗門へと夜明け前
yumikon
「皇居の桔梗門に、自転車に乗った新聞屋さんが吸い込まれるように入って行きました。そうだ、ここにも日常が、と思いました」と作者のコメント。
目の付け所は良いのです。が、「桔梗門」は季語になりません。下五「夜明け前」の部分を、季語で表現することはできそうですよ。


季語なし
合戦場桔梗家紋で槍を上げ
yumikon
「御大名たちの間では、誠実さと気品の象徴とされる桔梗紋が人気を集めた。しかし現実には、理想を捨て、目の前の敵に槍を向けていた」と作者のコメント。
「桔梗」が「家紋」となると、季語としての鮮度は愕然と落ちます。


季語なし
薄闇夜汚名着せられ桔梗紋
霞野子
「『五月闇』にすると夏の季語で、『桔梗』が秋の季語のため、季違いにしたくありませんでした」と作者のコメント。
「桔梗」という文字はありますが、「紋」の種類ですから、季語としては機能しません。


季語なし
桔梗めくフラダンサーの指先の
旅路
「桔梗」が比喩として使われていますので、季語としての鮮度は落ちます。


季語なし
如雨露に触れ光秀の忍弾ける
和平
「桔梗は明智光秀の家紋で、その蕾は袋になっています。如雨露(じょうろ)に触れて、光秀の堪忍袋が弾けた気持ちを詠みました」と作者のコメント。
季語が欲しいところです。


季語なし
幕末のあこがれの彼は桔梗紋
出羽泉まっくす
「桔梗と言って思い出すのは、幕末の志士・坂本龍馬の家紋(組み合い角に桔梗)。若いころ、司馬遼太郎先生の『竜馬がゆく』を読んで以来、今でも私の一番のヒーローは龍馬さんです」と作者のコメント。
「桔梗」が「紋」となれば、季語としての鮮度は落ちます。


季語なし
紫の折り紙のごと如雨露雨
風乃杏
「凛とした紫色の桔梗は折り紙のようです」と作者のコメント。
作者コメントの中には「桔梗」という季語がありますが、句の中には明確な季語がありません。


季語なし
首はづす手へも賜る如露のみづ
となりの天然水
「ベランダで育てる桔梗なら、近くにじょうろがあるだろうなと思い、じょうろを使った経験を思い返してみました」と作者のコメント。
作者コメントには、「ベランダ」「桔梗」など季語が入っているのですが、俳句には季語らしきものがありません。



