俳句ラボの結果発表

第3回 俳句ラボ テーマ×季語で一句|皿 ×金魚③

俳句ラボ NEW

俳句ラボへようこそ

皆さんようこそ、俳句ラボへ。
各回に提示されるテーマと季語の発想をかけ算して俳句を生み出す研究所です。
組み合わせからどんな化学反応が起こるかは、あなた次第。
さぁ、実験を始めましょう。

第3回のお題

 
テーマ
×
季語
金魚
 

珍奇なる謎のフラスコ

 

金魚しんしん白くなりゆく昭和・

沼野大統領

ど、どう理解すればいいのかなあ? それぞれのパーツに分けてみてみると……まず、「金魚」。続く「しんしん」もひとまとまりと考えて良いでしょうから「金魚しんしん」かな。静まり返った金魚の佇まい、その映像をまず提示します。謎度が増していくのは「白くなりゆく昭和」です。心理的な話……なのかな。白化して忘れ去られていく昭和という時代、みたいな? そしてさらに謎なのが「・」を挟んでの「皿」。「・」が余計にわからんんん! 「白くなりゆく」が「昭和」にも「皿」にも掛かってるってこと……? たしかにお皿も古~~くなってくると、絵付けしてたのが薄れていったりはしますよね。そういう物理的に白化していくお皿と、風化して忘れられていく昭和という時代、金魚は傍観者のようにただそこに浮いている……みたいな光景なんだろうかねえ。うーん、謎!!!

“難しい”

ヴァセリンの金魚の受精卵

藻玖珠

ヴァセリンのお皿? なにそれ?? と思ったら、金魚の採卵をする時には本当にこうするらしいです。お皿にヴァセリンを塗っておかないと、金魚の卵が容器に張り付いてしまうのだとか。へぇ~勉強になった。ヴァセリンの皿に採取された金魚の卵と精子を人工授精させていく過程の動きを表現するにあたって、助詞の「を」が地味に良い働きをしています。謎というか、普通は知らないこんな知識を見せてもらえるのも楽しみの一つでありますなあ。

ポイント

河童のに置いた金魚が膨れあがる

いかちゃん

発想の経路自体は「皿」→「河童」だとわかりますが、うーん、気っ持ち悪いなぁ!(褒め言葉)河童の皿に生き物の成長を促進する効果なんてないと思うんだけど、こう書ききられると真実めいてくる不条理さが魅力。五七五の韻律を無視した形も不協和音のようで、不条理感を強めていますね。他の物体や生物じゃなくて特異な肉の瘤を持つ「金魚」だからこそぶくぶくと膨れあがっていきそうな迫力がありまする。案外これは金魚以外の季語だと成立しない表現なんじゃないかしら。

良き

模試は安全圏パクパクの金魚

感受星 護

我が校は受けなるか金魚群る

ボイス&フィンガー

最初、《感受星 護》さんの句だけみてると完全に取り合わせの接点が謎だったんだけど、《ボイス&フィンガー》さんの句をみてなんとなく輪郭がみえてきました。受験のすべり止めとか、受け皿とか、そういう発想かな? 「皿」からの発想として面白い切り口ですねえ。前者が安全圏といいつつ酸欠めいた「パクパク」、後者がやや諦念のようなものを感じさせる「受け皿」に対して「金魚群る」の穏やかさ。書かれた言葉に対して、それぞれの心理が逆のベクトルを示していそうなのが興味深い。

“難しい”

「謎」の試験管

ひるがえる金魚音飛ぶソノシート

末永真唯

心臓に金魚を飼つて皿割つて

亘航希

受け皿は総務引継ぎ書に金魚

鹿達熊夜

帰任者の本と食器と黒金魚

大森 きなこ

手討たるる女中の握る金魚かな

風嶺陸

皿三百二枚洗って買う金魚

藤井 春

イカンマス直訳金魚なれど鯉

石塚壜太呂

金魚田の名残の部屋で黒カレー

伯人

天秤皿に金魚と僕の心臓と

如月ぎぎる

舟皿のたこ焼き小さし夜の金魚

森野みつき

水澄みて金魚の言い分サラダ盛る

稲垣加代子

出目金や辛さは7で大盛で

坂野ひでこ

灰皿にかえす合鍵金魚の死

小野睦

皿に置く金のピアスや金魚の夜

彩汀

蘭鋳や自画像砕け散る三和土

小山美珠

金魚ちゃん、もう投げる皿がないのよ

三尺 玉子

皿秤傾くかなしみと金魚

苫野とまや

皿返す金魚の世話を頼まるる

瀬央ありさ

膝の皿割れて金魚の出てきさう

津々うらら

フライングソーサー見た子金魚を掬ふた子

かなかな

「ふくろう模様の皿」の悲劇や金魚群る

窪田ゆふ

孤独死の部屋灰皿と金魚鉢

黒岩牡丹

食洗機買えば金魚の夜の寂し

柿司  十六

金魚つんつん河童の皿にウオジラミ

清水縞午

十九の目玉蘭鋳皿屋敷

馬場めばる

チンの皿洗おか金魚拝もおか

那乃コタス

御三時の喧嘩や石を吐く金魚

内田ゆの

お茶菓子はあをし金魚の尾はながし

空から豆本

皿撫でて金魚は河童の嫁となる

万里の森

氷柱の金魚宇宙は閉ぢてゐる

ひな野そばの芽

《④に続く》