写真de俳句の結果発表

第71回「芒野と風車」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊 NEW

第71回のお題「芒野と風車」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

閉山し社宅朽ちても大夕焼

ヨシキ浜

夏井いつき先生より
「第36回『廃遊園地』〈閉山し社宅は朽ちて枯野原〉の推敲です。長い間放っていました。閉山、朽ちる、枯れ〜から季語を『大夕焼』としてみました」と作者のコメント。

「~し~ても」という叙述が散文的です。まずは、「閉山や」と詠嘆してみましょうか。

添削例
閉山や社宅朽ちたる大夕焼
“ポイント”

秋の蝶皆上ばかり見てる空

青屋黄緑

夏井いつき先生より
上五を「秋蝶や」と詠嘆すれば、人選です。
“ポイント”

芒野で回る風車や町明かり

竜酔

夏井いつき先生より
「何機の風車で、どれだけの電力が生じて、どれ位の規模の町(街)に明りをもたらすのかと、理屈っぽく考えてしまいました」と作者のコメント。

上五の助詞「で」は、要一考です。
“ポイント”

人権や浅手ならじと星流る

舟端たま

夏井いつき先生より  
「芒原と風力発電への感慨です。あいかわらず描写できませんでした」と作者のコメント。

「人権や」という思い切った上五、「星流る」という季語との取り合わせに惹かれます。中七「浅手ならじと」をどう読み解けばよいのか。迷いました。
“ポイント”

一両列車土手の芒揺らしつつ

市子希子

夏井いつき先生より
上五を字余りとして、中七下五で調べを取り戻すのが、この句の内容には似合いますね。

添削例
一両列車土手の芒を揺らしつつ
“ポイント”

下々の草枯れてをり薄原

髙田祥聖

夏井いつき先生より
確かにそうですが……描写の真実味が弱いというか……。
“ポイント”

宗谷岬の風車解体ひゆる

千里

夏井いつき先生より
「2026年4月をもって宗谷岬の風力発電は終了し、57基の風車の解体が始まりました。後は14基の最新鋭風車が建設されるそうです。日本各地は猛暑が続いていますが、それに比較して宗谷岬の解体現場は天国のように冷えています。働いている人たちはどう感じているのでしょうか」と作者のコメント。

描こうとしている光景は良いと思います。ただ、下五「ひゆる」という季語が、なんだか唐突な感じがするのと、調べがギクシャクしてるのが気になります。
“ポイント”

茶草場の萱の葉騒やお茶の里

白秋千

夏井いつき先生より
「茶草場の萱を刈り取り、茶畑に敷いて静岡茶を栽培する茶草場農法。茶草場に茂った萱の鳴る音が、お茶の里の恵みを約束してくれているようです」と作者のコメント。

上五中七で「お茶の里」の様子だと分かりますので、下五をどう展開させるか。一考してみましょう。
“難しい”

銀芒風車をしゃらしゃら嗤ひをる

灯呂

夏井いつき先生より
中七が中八になっています。「を」が外しがたいとすれば、こんなやり方も。

添削例
銀芒風車をしゃらしゃらと嗤ふ
“ポイント”

すすきの穂風に吹かれて舞い踊る

雅

夏井いつき先生より
「すすき」などが風に揺れる様子を、「舞い踊る」と擬人化するのはありがちな表現です。「すすき」の様子をどう描写するか。そこが肝要です。
“難しい”

芒原わからぬところわからざる

亘航希

夏井いつき先生より
寓意を狙っているのは分かります。うーむ……何か、もうワンピースのヒントが欲しい気もします。
“ポイント”

芒野や新品の螺子転がりぬ

共通因数

夏井いつき先生より
「芒野」と「螺子」の取り合わせに意欲を感じます。ただ、二つの要素をかすかに繋ぐ=「付かず離れず」ための工夫が、もう少しあってもよいかと。
“ポイント”

風を生む芒の波や九兆ジュール

戸村友美

夏井いつき先生より
「芒の穂があおって風を起こしているイメージです。仕事量にすると風車一基で一ヶ月三兆ジュール。秋の三ヶ月で九兆ジュールです」と作者のコメント。

発想、句材が面白いですね。「九兆ジュール」という言葉を、一句の調べに巧くとけこませることができるとベストなのですが。
“参った”

芒に骨格標本めく風車

沢山葵

夏井いつき先生より
「芒野に建つ風車が恐竜の骨格標本のようです」と作者のコメント。

「芒に」ではなく「芒野に」ではないかと?
“参った”