写真de俳句の結果発表

第71回「芒野と風車」《ハシ坊と学ぼう!⑨》

ハシ坊 NEW

第71回のお題「芒野と風車」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

骸骨の明るき指や芒原

水須ぽっぽ

夏井いつき先生より
「明るき指」という言葉と「芒原」の取り合わせには惹かれたのですが……。
“参った”

作るより使わぬくふう夜々の月

たきるか

夏井いつき先生より
兼題写真を見ていない人にとって、「作るより使わぬくふう」が何に対してのものなのかが想像しにくいかと。何か、ヒントになる工夫が欲しいところです。
“ポイント”

草滑り薄の波へ声三人

種月 いつか

夏井いつき先生より
下五を「声三つ」とすれば、人選です。
“ポイント”

すすき野の風車はゆっくり風掴む

サリー

夏井いつき先生より  
中七の「は」を外せば、人選です。
“ポイント”

獰猛な白亜の風車海霧に浮く

舞矢愛

夏井いつき先生より
語順を替えて、調べを単調にすれば、人選です。

添削例
海霧に浮く獰猛な白亜の風車
“ポイント”

芒野へ溜まるひかりは糖度増し

七森わらび

夏井いつき先生より
発想が素敵ですね。「糖度増すひかり」とすれば、音数は節約できます。
“ポイント”

芒野やスクラム押すは風神か

愚陀楽

夏井いつき先生より
「自己流で作った気になっている自分ですが、夏井先生も推薦されていた藤田湘子先生の『20週俳句入門』を、買ったはいいけど読み切らずにいたことを思い出し、もう一度一から勉強しようと読み始めました」と作者のコメント。

『20週俳句入門』(KADOKAWA)が少しハードルが高いようでしたら、手前味噌ではありますが、『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』(PHP研究所)から始めてみて下さい。ある程度の基本が理解できて、実作が順調に進むようになりましたら『夏井いつきの俳句添削事典』(朝日出版社)が役に立つはずです。例えば、この句でしたら、「風神のスクラム」とすれば、意図する比喩は表現できますね。
“ポイント”

トリリオネア出でA23aは融けてゆく

宙朔

夏井いつき先生より
「地球規模の異常気象からの災害と、世界に拡がる貧富の格差。1兆ドルを手にする富豪が生まれる傍ら、南極海ではA23aなる巨大氷山が崩壊し溶けつつあると。この対比、因果。季語もなく詩情に欠ける事実を並べただけで、果たして句と言えるかどうか? また巨大氷山と表すべきか否か、迷いました」と作者のコメント。

こういう句材にも、果敢に挑むことは必要です。ただ、「トリリオネア」「A23a」と馴染みのない言葉二つが、かなりの音数をとっているため、意味を解読するためのハードルは高いかと。
“難しい”

畳縁にはさまる綿毛冷たし

夏海 凛

夏井いつき先生より
「お月見のときのものか、よく見ると畳縁に芒の綿毛がはさまっていて、ふと気付くと足裏に畳の冷たさを感じていました」と作者のコメント。

この書き方で、「綿毛=芒の綿毛」だと読み解かせるのは、かなり難しいかと思います。
“ポイント”

秋空をかきまぜおそろしくなりぬ

どゞこ

夏井いつき先生より
何が、かきまぜるのか……? ちょっと気になります。
“難しい”

そちこちへ萱すこし足す痩する屋根

菅原ちゑ

夏井いつき先生より
「茅葺きを葺き替えるには、お金も手間も掛かります。古く雨漏りのしそうな萱の薄い所へ、応急に萱を葺くというより萱束を足していました」と作者のコメント。

句材はとても良いです。「そちこちへ」とあれば、「すこし」は無くても、その量のニュアンスはある程度想像できるのではないかと。
“ポイント”

再雇用風に吹かれる芒かな

瞳杏

夏井いつき先生より
「吹かれる」は口語なので、「かな」の文語に統一するとすれば、「吹かるる」となります。とはいえ、俳句において文語と口語の混用は、表現意図によって許容されたりもします。
“ポイント”

雑草のすすき一面被曝地は

水越千里

夏井いつき先生より
「下五の『は』は、余韻のつもりです。福島の事故の時に原子力安全・保安院の職員でした。同僚達が事故後被災した町役場に出向。その様子の報告がありました。田んぼは伸び放題の草。特に芒は成長が早いみたいで高く伸びて……職場での報告をそのまま句にしました。私は脳出血の休み明け、嫌な記憶です」と作者のコメント。

下五の「は」の余韻は良いと思います。上五からの「雑草のすすき」という書き方に違和感が残ります。
“参った”

晴天のソーラーパネル蝉時雨の吾

眼蔵

夏井いつき先生より
「『炎天』を使いたかったのですが……」と作者のコメント。

なるほど、上五を「炎天」にすると季重なりになりますものね。後半の「蝉時雨の吾」というのは、どういう意味合いでしょう? 蝉時雨の中の私? 蝉時雨のような私? そのあたりの意味合いが掴みにくいかと。
“参った”