写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!③》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

色鳥や豊受姫の手に肩に

飯村祐知子

夏井いつき先生より   評価    人 
「まず、〈鳥の豊受姫に慣つきをり〉と考え、『慣つきをり』が説明的かと考え、掲句としました」と作者のコメント。

人選を悠々とクリアしている句なのですが、この作者コメントを、他の皆さんと共有したいと思います。初案の「慣つきをり」は「懐きをり」の誤変換かな。この「懐きをり」が、説明の言葉だということを、なかなか理解してもらえないのです。何かの光景を見て、懐いているなと作者が感じ、それを説明しているのだということを。完成した句では「手に肩に」と描写になっていますね。この違いを、しっかりと腹に落とすことができれば、次のステップに上がれますよ。
“ポイント”

木漏れ日や斑に陰る木の実かな

ちょろ蔵

デパ地下や賑わい飾る木の実かな

ちょろ蔵

夏井いつき先生より
二句ともに、「や」「かな」と切字が重なりました。感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つを外して、推敲しましょう。
“難しい”

蟻に蜻蛉に飛蝗みんな木の実さ

百瀬はな

夏井いつき先生より
並列で生き物の季語を置いて、主たる季語をべつに提示するという試みは分かります。ただ、「みんな木の実さ」をどう読み解くのか、少々迷ってしまいました。
“難しい”

「どんぐりはあそびじゃないの」はじく指

宙ほのか

夏井いつき先生より
「子供が四歳の頃に、どんぐりをいじっていたので『遊んでないで保育園に行くよ』と声をかけたら、返ってきた言葉です。本当は『どんぐりは遊びじゃないんだよ』でした。子供らしく『弾く』をひらがなにしたかったのですが、そうすると切れ目が分かりにくいので、セリフとわかるように鉤括弧を使いました」と作者のコメント。

これはまさに、おしゃべり俳句ですね。「はじく指」と展開するのも一手ですが、「では、遊びじゃなくて何?」と質問すれば、お子さん自らが発した「おしゃべり俳句」が完成するチャンスでしたね。
“ポイント”

0時に替える点滴5本夜長かな

寒椿

夏井いつき先生より
「0時更新の点滴を準備するのに、処置室で点滴を掛けるフックに点滴ボトルが並んでいる。術後患者が多いと点滴ボトルが増える。尿破棄やドレナージの破棄も増える。やることの沢山ある夜勤を思って詠みました」と作者のコメント。

医療現場は、句材の宝庫ですね。「かな」の詠嘆はあまり効いていません。語順も含めて、再考してみましょう。
“難しい”

曼珠沙華錠剤シート折る深夜

扶羽

夏井いつき先生より
「木の実の連なりが、錠剤シートに並ぶ錠剤に見えました」と作者のコメント。

「錠剤シート折る深夜」には、生活におけるリアリティがあります。上五「曼珠沙華」はイメージとして取り合わせられているのだとは思いますが、中七下五の場面に合った更に良い取り合わせの季語があるような予感もします。是非、人選の句になるように育てて下さい。
“ポイント”

積読へ戻す火の鳥西瓜割る

暮待あつんこ

夏井いつき先生より
「積読へ戻す火の鳥」までは、とても良いです。下五でいきなり「西瓜割る」と展開されると、どこにいるのだ? とキョトンとなります。季語は、動くよなあ~。
“難しい”

小さき手より溢る木の実や「おかいもの」

昇椿

夏井いつき先生より
「溢る」は終止形なので、「木の実」に接続するのならば、「溢るる」と連体形にする必要があります。
“ポイント”

また闇夜ジャンプの束に檸檬置く

紫帆

夏井いつき先生より
「ジャンプの束」とは? 積み重ねた『少年ジャンプ』の上に檸檬を置くというのならば、素材としていけると思いますが。
“難しい”

赤い身より葡萄こいし物価高

あかつき

夏井いつき先生より
「シャインマスカットがぶらさがっていたらいいな、という心の叫びです」と作者のコメント。

「赤い身」は「実」の変換ミスでしょうか。下五は、オチになってしまってます。
“参った”

柿すだれ二次関数平方根

すけたけ

夏井いつき先生より
「上五の季題を『柿のへた』と考えましたが、兼題のイメージから『すだれ』にしました。句意のミソは『へた』です。『干し柿』は96歳まで長生きした祖母の『万能秘薬』でした。切り傷の血止め、打ち身などには干し柿を割いて貼り付けます。下痢には煎じて飲みます。効用の源は『へた』だという。太陽を浴び、熟成してパワーが蓄積される。受験生だった頃、『へた』を額に張り付け宇宙のパワーを取り込んで、数学の学習をしていました」と作者のコメント。

作者コメントを読んで、むしろ「万能薬」だったという事実のほうが、俳句としては独自性がでるのではないかと。
“ポイント”