写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!⑤》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

巣立鳥見つむる親の背な一途

朋

夏井いつき先生より
「第68回『監視カメラに鶏』並選〈巣立鳥見つめる親の背一途〉の推敲です。夏井先生が『見つめる』を『見つむる』に添削していた句を拝見し、『見つむる』にし、『親の背』を『親の背な』にしました。稚拙でお恥ずかしいですが……」と作者のコメント。

「見つめる」は口語、「見つむ」は文語になります。この句については、文体の問題ではなく、「巣立鳥見つむる親の背な」の意図が、俳句というよりは、諺に近いものになっている点が気になるのです。
“難しい”

夏夜道なにかいきものけったやう

藤井士南樹

夏井いつき先生より
「『胡桃』から真逆のものを連想しました。ある夜のランニング中、何かを蹴ったように感じました。確かめなかったのですが、柔らかくてなんとも嫌な感触でした」と作者のコメント。

平仮名書きの中七下五が良いですね。上五「夏夜道」がちょっと寸詰まりな表現。ここをあと一工夫で人選です。
“ポイント”

うつろひの境界暮るる七竈

山崎さわさわ

夏井いつき先生より
「うつろひの境界」は、一見カッコいい言葉にみえるのですが、具体的には夕暮れの色調? それとも、別な意味? そのあたりが、もう少し明確に書ければよいのですが。
“難しい”

園庭の木の実預かり登園す

吉トン子

夏井いつき先生より
「秋になるとさまざまな木の実が落ち、登園前に拾った木の実を教室まで持って上がる子ども。先生に子どもを引き渡す前に『預かって』と言われ、いつも朝採りの木の実を預かります」と作者のコメント。

「園庭の木の実」とあれば、すでに園にいるわけですが、最後に「登園す」とくると、あれ? と思ってしまいます。そのあたりの整合性を再考してみて下さい。
“ポイント”

蝉しぐれのしみこむ泡飲みほしぬ

樽越

夏井いつき先生より
「〈蝉しぐれ吸いこむ泡の苦さかな〉の推敲したものです。 泡は、ビールの泡でも、抹茶の泡でも、カプチーノの泡でも、飲める泡なら何でもいいかな、と思いました」と作者のコメント。

「蝉しぐれの」となると、「泡」の正体が分かりにくくなります。いやいや、敢えてそうしたのです、ということならば、その工夫はプラスにはなっていません。
“参った”

秋やどの東屋にいても凡才

升 丁茶

夏井いつき先生より
「三音で切れる型に挑戦してみたくなりました。韻律ありきでの作句があまり良くないのは承知してます……」と作者のコメント。

型練習として、筋トレをするのは決して悪いことではありません。「三音で切れる型」というのは、「春や昔」のような型のことなのですね。「どの東屋にいても」とは、自分自身がどこの東屋に座ってみても、という意味なのでしょうか。そのあたりが、読み解きにくかったです。
“ポイント”

マテバシイ縄文クッキー思い馳せ

天空 颯雅

夏井いつき先生より
「数万年前の縄文人がクッキーを焼いている姿を想像し、どんな暮らしをしていたのだろうと考え、詠んでみました」と作者のコメント。

俳句において、「思い馳せ」のような言葉は不要です。思いを馳せているから、「縄文」の句を作ろうとしているのですものね。
“ポイント”

吊り橋やへっぴり腰に木の実降る

風児

夏井いつき先生より
この語順だと、木の実がへっぴり腰であるかのように読めてしまいます。
“難しい”

さるぼぼの思色映ゆる房の秋

かなた

夏井いつき先生より
「赤い房に連なる実が、小さなさるぼぼがたくさんぶら下がっているように見えました。懐かしさを感じるその赤を、和色の『思色』に重ね、顔のないさるぼぼに宿るものも表したくて、『映ゆる』という言葉を使いました。『房の秋』は、このモールが見せてくれたものです」と作者のコメント。

俳句において「映ゆ」という動詞は、かなりの凡人ワードです。どんな映像が眼球に映ったから、映えているなと感じたのか。その映像を描写してみましょう。
“ポイント”

軒端鳴る胡桃の殻や七竈

丸山弓音

夏井いつき先生より
「初めての投稿です。お題の写真をそのままに詠んでみました」と作者のコメント。

お題となっている「写真」は、あくまでも発想のジャンピングボード。写真の光景を俳句にするのが目的ではありませんので、そこからあなた自身の体験を掘り出していって下さい。
“難しい”

水分のみやしろを満つ木の実独楽

内藤羊皐

夏井いつき先生より
「満つ」とは、木の実独楽が? それとも、下五は取り合わせた季語? そのあたりが、読み取りにくかったです。
“難しい”