写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!⑪》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

公園のひそかに揺るる飯桐は赤

布川 洋一

夏井いつき先生より
「~は赤」とあるので、実だろうなと分かりはするのですが、季語として考えるとやはり「飯桐の実」と書くべきではないかと。そうなってくると、不要な言葉を外す必要が出てきますね。例えば、「ひそかに」は絶対に必要な言葉ですか?
“ポイント”

通草の実ぱかんと割れし音立てむ

三日月なな子

夏井いつき先生より
「秋に実をつける植物から、通草(あけび)の実が割れる所に発想を飛ばしました」と作者のコメント。

発想は良いと思います。ただ「通草の実ぱかんと」とあれば、割れているだろうなと思えますし、その音が「ぱかん」なのだろうなと理解されるのではないかと。
“ポイント”

果てふ悪友と酔ふ新走

睦花

夏井いつき先生より
「友達の名前で『このみ』と読みます。鉤括弧をつけるべきなのか悩みました。名前は可愛いですが、呑兵衛です」と作者のコメント。

「果」で「このみ」と読むのでしょうか? だとしたら、やはり括弧と読み仮名が必要でしょう。
“難しい”

懐かしや響く太鼓や秋祭り

天龍蘇人

夏井いつき先生より
「や」の切字を意図的に使っているとも考えられるのですが、三段切れというマイナス点も同時にでてくるわけで、総合的な効果は相殺されていると判断するべきでしょう。
“ポイント”

へその緒や木の実同居の桐の箱

老黒猫

夏井いつき先生より
「友人が、成人を迎えた子どもの桐箱を開けたところ、南天の実が一粒入っていたというエピソードを詠みました」と作者のコメント。

「同居」という言葉は一考の余地があります。また、入っていたのは「南天の実」ということですが、句としてもそちらの季語を選ぶほうが、取り合わせとして良いかと思います。
“ポイント”

気移りの襷をかけるナナカマド

ラクダーマン

夏井いつき先生より
特別な表現意図がない場合、「ナナカマド」のような植物は、平仮名か漢字の表記が推奨されます。
“ポイント”

ナナカマド季節移りのナビゲータ

ラクダーマン

夏井いつき先生より
「ななかまどは、季節の移り変わりのナビゲーターのようなものであるよ」という句意は、説明です。まずは、赤い帯の本『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』を読んで、最初の一句の作り方に挑戦して下さい。そこから、楽しい俳句のある生活が動き始めます。
“ポイント”

名月に叫んでもカーテンの向こう側には届かない

こはる

夏井いつき先生より
「話しても都合の悪い言葉は届かない」と作者のコメント。

この内容でしたら、十七音に入れ込むことは可能です。「~には届かない」と結論を書かなくても、その思いを読者に伝えることはできる。それが俳句です。
“ポイント”

カーテンの柄に紛れし蛾の呼吸

新米にぎりめし

夏井いつき先生より
カーテンに隠れた蛾という句材が良いです。中七「柄に紛れし」は、作者が面白いと思っているほどには、面白くない視点。ここは、描写に徹底してみましょう。
“ポイント”

煙草吸い木の実時雨や落ち好かぬ

犬山侘助

夏井いつき先生より
「森の中で休憩中に煙草を吸う。色々な木の実がバタバタと落ちてうるさいのと、匂いがしてゆったり休めません」と作者のコメント。

「木の実時雨」は落ちるものですから「落ち」は不要かと。
“ポイント”

こつと詩人木の実時雨に口が開く

沼野大統領

夏井いつき先生より
「詩は好きですが、詩を詠もうとする姿勢は好きではありません。細やかな観察が俳句の正道だということは認めますが、上手に切り取ってやろうという姿勢(というかそういう男)は気に食いません。でもそういう句のほうが評価されやすく、立場もあるのです。これは私なりの悪態俳句であり、進学校育ちの俳句の若手坊ちゃまたちに対する僻みです」と作者のコメント。

個人的な感想ですが、悪態俳句としての悪態度が薄いかと。上五下五に人の好さが出てしまってるか。せっかくの悪態俳句なのですから、ちゃんと詩として昇華させてやりましょう。
“ポイント”

干し柿も千切れて飛んだ震度7

ときちゃん

夏井いつき先生より
「干し柿の千切れて」と前半を整えて、「震度7の朝」「震度7の昼」とか時間情報を入れたり、「震度7の軒」「震度7の窓」とか場所情報を入れたりもできますので、トライしてみましょう。
“難しい”

すずなりの空蝉残し房を摘む

小月

夏井いつき先生より
「早期退職して農業を継いだ友人の葡萄園へ、葡萄狩りに行きました」と作者のコメント。

「すずなり」は「空蝉」のことですか、「房」のことですか。読みを少々迷いました。
“ポイント”

外より家劇よりテレビ缶ビール

なつのおわり

夏井いつき先生より
「第69回『日本最古のビアホール』並選をいただいた〈立つよりも観るのが楽し缶ビール〉を修正してみました。コロナ前は即興劇で舞台に立ち、仲間と外飲みをよくしていましたが、今は配信ドラマ(主に韓国)を観ながら家で缶ビールを飲むのが楽しいです。ということを言いたかったのですが……」と作者のコメント。

「外より家」+「缶ビール」で一句、「劇よりテレビ」+「缶ビール」で一句という具合に、切り分けてみましょう。音数にゆとりができると、ささやかなリアリティを盛り込むことが出来ます。お芝居も同じだと思いますが、リアリティは細部にあるのです。
“難しい”

吊るし柿異常気象も四季を報る

朝夕人

夏井いつき先生より
「気候変動で、季節の移り変わりがわからなくなってきているように感じますが、吊るし柿を見ると、やはり秋深くなってきていると感じます」と作者のコメント。

中七下五は、報告というべき内容です。「吊るし柿」の様子を描写してみましょう。
“ポイント”