写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!⑫》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季語なし

天日干し物より吾手できあがり

佐藤  啓蟄

夏井いつき先生より
これは、何が「できあがり」なのでしょう? 「吾手」が日焼けしたという句意? 読み解きがたい一句です。
“難しい”

季重なり

冬落暉干し柿の影倦むベンチ

隼 光一

夏井いつき先生より
「ツーリングで立ち寄った道の駅で、干し柿が吊るされている休憩場所がありました。 誰も座っていない静まり返ったベンチで、長い冬の夕日と干し柿の影を浴びながら、所在無げにそこに佇んでいる空間を言葉に残せたらと思いました」と作者のコメント。

「冬落暉」「干し柿」どちらも季語ではあります。
“参った”

季重なり

秋の風木の実触れ合う楽器かな

高品風秋

夏井いつき先生より
「公園の東屋のベンチに座っていたら風が吹いてきて、木の実のカーテンの木の実がぶつかりあう音が楽器の音のように聞こえました」と作者のコメント。

「秋の風」「木の実」それぞれ季語ではあります。
“参った”

季重なり

苦瓜のカーテン園児の昼寝かな

伊達紫檀

夏井いつき先生より
「苦瓜」を「カーテン」に喩えるのは、よく出てくる発想です。更に、「昼寝」も夏の季語になりますので、再考してみましょう。
“ポイント”

季重なり

東屋に木の実ののれん秋の風

さえこ

夏井いつき先生より
「のれん」の材料になっているので、こちらが弱くなってはおりますが、「木の実」も季語ではあります。「木の実」の事を書きたいのか、「秋の風」を主役にしたいのか。まずは、自問自答してみましょう。
“ポイント”

季重なり

秋風やワインを注ぐ江戸切子

海泡

夏井いつき先生より
「人からもらったワインを開けることになりました。暑い日が続くなか、ひとときの涼を求めて江戸切子のグラスに注いで飲みました。おかげでその夜はよく眠れました。ワインもとてもおいしかったです」と作者のコメント。

「江戸切子」も夏の季語になってはおりますが。
“参った”

季重なり

青空に映える木の実や朝寝坊

恵翠

夏井いつき先生より
「朝寝」は春の季語になります。
“参った”

酔芙蓉秋路ののれん揺る町屋

釋愚拙

夏井いつき先生より
「私の住む富山県・八尾町には、生涯にわたっておわら風の盆を愛し、それを描いた板画や絵画の作品を残した林秋路という人物がいます。彼の作品は地元のお土産や小物、衣類、そしてのれんとして今も多くの人を魅了しています。おわらの頃、八尾の町屋の軒先には多くの酔芙蓉も飾られ、そこに彩りを添えます。そんな風情を詠んでみました」と作者のコメント。

作者コメントを読むと、秋路は人名のようですね。このままでは「酔芙蓉」と「秋」の季重なりのように見えますので、推敲してみましょう。
“ポイント”

季重なり

木の実のカーテン実りの秋の空

槇 まこと

季重なり

夕虹や木の実のカーテン窓に影

槇 まこと

夏井いつき先生より
二句ともに、「木の実」も秋の季語です。その点を踏まえて、推敲してみましょう。
“ポイント”

姫ぐるみ鬼ぐるみ味視触覚も柔と剛

蒲公英

夏井いつき先生より
「すべすべの姫ぐるみの殻、ごつごつの鬼ぐるみの殻、見た目も中身も正反対の愛すべき胡桃の姫と鬼。母の実家の胡桃の木、懐かしい田舎の原風景です」と作者のコメント。

二つの種類の胡桃の特徴を並べていますが、「味視触覚も柔と剛」と説明してしまってます。「姫ぐるみ」「鬼ぐるみ」それぞれについて、その特徴を一句ずつ描写してみましょう。
“ポイント”

鬼胡桃天へと伸びる猫碑の尾

帝菜

夏井いつき先生より
猫碑とは、江戸末期から昭和初期にかけて作られた猫の姿が刻まれた石碑や石像のことなのだそうです。「天へと伸びる」がこの位置にあるので、「鬼胡桃」が伸びるのか、「猫碑の尾」がのびるのか、あるいはどちらにも掛けているのか。意図が読みにくいのが気になります。
“難しい”

通勤の群れ木の実時雨を跨ぐ

山内三四郎

夏井いつき先生より
「人間の営みと大自然の営みが交差する瞬間を切り取りました。通勤する多くの人々も落ちる木の実も、互いに無関心でありながら、晩秋の刹那を共にしています」と作者のコメント。

「跨ぐ」の一語が惜しい。
“ポイント”