写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!⑭》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

跳ぶ子等の衣装ゴミ袋と落ち葉

理恵にゃん

夏井いつき先生より
「跳ぶ子等の衣装」が「ゴミ袋」に入っている? 「~衣装」で、意味が切れる? 読み解きに悩まされます。
“難しい”

秋さなか美を織りなすや休憩所

の菊

夏井いつき先生より
「ブドウと木の実、人の技。ともに美の追求をして、人を誘う」と作者のコメント。

この中七は、感想です。何の、どんな様子を見たから、「美を織りなすや」と感じたのか。その光景を描写するのが、俳句です。
“ポイント”

終電の狸と月見化けくらべ

山内プーコ

夏井いつき先生より
「木の実の暖簾から、狸の月見会のイメージを想像しました」と作者のコメント。

「終電の狸」とは、終電に乗っている人の比喩? 「化けくらべ」とは、何と何が競う? いろいろ分からない句です。
“難しい”

遅き朝薄目開けたる桔梗かな

太之方もり子

夏井いつき先生より
「第70回『ベランダの桔梗』《並》〈今朝桔梗つぼみ薄目を開けたごと〉を推敲しました。」と作者のコメント。

「桔梗」のどんな様子が「薄目開けたる」と感じたのでしょうか。そこを描写してみましょう。……とはいえ、描写力を身につけるためには筋トレが必要です。まずは、『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』(赤い帯の本)を読むか、YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』の「【初心者でもカンタン!?】日記から俳句を作ってみよう!」などを視聴してみて下さい。そこから、俳句の筋肉をつけるトレーニングが始まります。
“難しい”

赤い実の影にむらさき鉦叩き

あなうさぎ

夏井いつき先生より
書こうとしている内容は良いのですが、この「むらさき」は、「影」の色ですか? だとすれば、「赤き実の影はむらさき」となるかなと思いますが……。それとも「むらさき鉦叩き」と続く? そのあたり、判断しかねました。
“難しい”

ゴルフ場我が物顔の鹿の群れ

しげ尾

夏井いつき先生より
「自宅から30分足らずのゴルフ場は、山と湖が近くにあるせいか、鹿が増えてきて困っています」と作者のコメント。

「我が物顔の」は、作者の感想です。「鹿」が何頭ぐらい、どんな様子でゴルフ場に現れたのか。どんな光景を見たから「我が物顔」だと感じたのか。そこを描写するのが、俳句です。
“ポイント”

団栗の弾ける音や吾子の秋

浅田香歌

夏井いつき先生より
「踏んで踏んで、遊びます」と作者のコメント。

「踏んで」いる様子を書きたかったのだとすれば、「団栗の弾ける」という表現は一考の余地があります。
“ポイント”

夜長にも読了急くや「山なみの光」

宙朔

夏井いつき先生より
助詞「にも」と書きたいお気持ちは分かりますが、散文的な使い方。一考してみましょう。
“参った”

数珠玉の暖簾にじゃれるかまど猫

いちの

夏井いつき先生より
「かまど猫」とは、かまどの中でじっとしている猫。「じゃれる」に違和感があります。
“参った”

トイレの前のアケビや食べるべきか

文心美

夏井いつき先生より
「新潟に住んでいた頃、自宅のトイレの窓の外にアケビが実りました。アケビを見るのは初めてで、食べようかどうか迷っているうちに、結局食べずに終わりました」と作者のコメント。

「トイレの前」という書き方だと、トイレの扉の前だと読む人が大多数でしょう。「トイレの窓」だと分かるように書くことが一点。更に、下五「食べるべきか」と書かなくても、窓から取れそうな様子を描写することができれば、読者も同じような感想(食べるべきか)を受け止めてくれます。
“ポイント”

水を飲む大藤の花漏れ陽かな

直感勝負

夏井いつき先生より
「かなり前になりますが、あしかがフラワーパークに大藤を見に行ったときのことです。歩きながらペットボトルの水を飲んでいると、見事に咲いた大藤の隙間から陽光が差してきて、とても綺麗でした!」と作者のコメント。

作者コメントを読んで、表現したい光景は理解しました。だとすると、語順を一考してみましょう。
“ポイント”

柿簾潜ればツユに逢はむかも

ズッキーニン

夏井いつき先生より
この「ツユ」というのは「露」? 「汁」「液」? 「逢」の字があるから、まさか人名? 
“難しい”

乾き音の木の実の簾潜りけり

小澤翔明

夏井いつき先生より
「乾き音」の「乾き」は、連用形なので、用言に接続します。「音」という体言(名詞など)には接続できません。
“ポイント”