第43回「花屋さん内のカフェ」《ハシ坊と学ぼう!①》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
お花屋さん内のカフェへ。パフェとレモンスカッシュを。
井上右彩
季語なし
カフェ香より花の香よりもレジの君
佐藤 啓蟄
明確な季語は欲しいですね。この「花」は、桜ではなさそうです。
季語なし
花売り場紅茶片手に品定め
扇百合子
「花売り場」は季語ではありませんね。「紅茶」を「アイスティー」にすると、こちらが季語の働きを持ち始めます。
季語なし
異次元を一口で食む生とジャム
の菊
季語なし
目移りで決まらぬ先のだんごかな
の菊
明確な季語が欲しいですね。
季語なし
ガラス越し初出勤の笑顔見る
みーこ39
「初出勤」を季語として使う? のは、少々難しいかな。
花束の桜は造花か本物か
にゃんちゅう
うーむ……これは、俳句というよりは、感想です。
季語なし
花喫茶口元拭いONにする
じゃくはい
「食べたあとの口を拭いて『よし! 行くぞ!』と気合を入れなおし、午後の仕事に向かっていました」と作者のコメント。
「花喫茶」という表現を、季語と考えるのには少々無理があります。まずは、取り合わせの基本の型から練習していきましょう。おススメは、YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』にて、「日記から俳句を作ってみよう!」を視聴してみて下さい。
季重なり
苺パフェ苺ずらして雲の峰
鈴木秋紫
「苺」「雲の峰」、どちらも季語ですね。
季重なり
ノンカフェのカフェオレゆるり春うらら
桔梗郁子
「春」「うらら」共に季語ですね。
季重なり
焼きたてのパンの香りや春うらら
すみ子
「春」も「うらら」も季語ですよ。
季重なり
薫風や薔薇園の珈琲は薔薇の名
ちょきさん
「薔薇園」も季語ではありますが……。
季重なり
レモンスカッシュの泡ゆっくりとのどかなり
西城 典子
「レモンスカッシュ」は、季語「清涼飲料水」の傍題として載せている歳時記もあります。となれば、季重なりとなりますが。
季重なり
サイダーといちごパフエ好き紫陽花も
律
季重なりですね。歳時記を開いて、どれが季語か確認してみましょう。
季重なり
日の盛り泡の音きこゆソーダ水
水野 淨子
「日の盛り」「ソーダ水」それぞれ季語ですね。
季重なり
さくらそう花の名たたえ芝桜
こころ美人
「季重なりですが、詠んでみたいと思いました。さくら鯛や桜貝もあります。」と作者のコメント。
「さくらそう」という名前の「芝桜」という意味? 「桜草」「芝桜」それぞれ別の季語ではありますが……。
季重なり
友からの苺の便箋春うらら
春野あかね
「春」「うらら」どちらも季語ですね。
季重なり
葉陰にはへびいちご生り夏野かな
ビール大好きさん
「へびいちご」も「夏野」も季語です。
季重なり
抗いて噛る林檎や春の空
八重山吹
「林檎」と「春の空」どちらも季語ですね。
季重なり
木蓮よ桜に負けじと今日も咲く
つる
「木蓮」も「桜」も季語ではあります。そして、植物の季語は、「木蓮」「桜」と書けば、咲いていることが前提ですので、「咲く」という動詞は不要です。勿論、意図的に「咲く」とダメ押しすることもありますが、基本的には書かなくても伝わります。