第40回 俳句deしりとり〈序〉|「まれ」②

始めに
出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。


第40回の出題
兼題俳句
っかぽか ぽの音春に吸ひ込まれ 東風 径
兼題俳句の最後の二音「まれ」の音で始まる俳句を作りましょう。
※「まれ」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。
希典の切手の褪せて終戦忌
中岡秀次
希典の名を持つ祖父の敗戦忌
東九おやぢ
希典忌あめつちむすぶ鎖樋
白猫のあくび
「マレスケの虹」を子らへと終戦忌
小鳥ひすい
ちなみに《小鳥ひすい》さんの「マレスケの虹」は乃木希典に関係するのかはちょっと現時点で僕にはわかりません。というのも、これは2018年に出版された森川成美さんによる小説のタイトルのようで、ハワイに移住した日系二世の少年「マレスケ」を主人公にしたお話しなのだそうです。第二次世界大戦期の話のようですが、乃木希典とは関係があるんだろうか? いつか読んでみたいなあ。


稀人の手を引く春の眠りかな
亘航希
稀人の猛る囲炉裏の昏きかな
星埜黴円
客人(まれびと)のゐるらし風の麦畑
古都 鈴
客人を追い出し一人食む氷菓
松虫姫の村人
客人は蜘蛛の囲の界抜け光る
納平華帆
まれびとの網戸にすけておはしけり
西野誓光
まれびとや仮面へ首夏のうすぼこり
山内彩月
まれびとや白き小さき花榊
宮古綟摺


稀に見る好青年ね夏料理
湯屋ゆうや
まれにみるかさばらぬ愛青嵐
うに子
まれに見るまともな助言ソーダ水
田原うた
「まれに見る」=そうそうお目にかからないもの三選。「好青年」はやや安直ではあるけど「夏料理」との取り合わせは状況を推察させる力が十分あって気持ち良い。《うに子》さんと《田原うた》さんは、「かさばらぬ愛」「まともな助言」という実態のない概念の捉え方がそれぞれちょっと皮肉で個人的に好み。季語もそれぞれにからっと爽快でグッド。


まれまれの花びら刺繍春日傘
幽香
造語かと思いきや、本当に「稀々(まれまれ)」は辞書に載ってる言葉でした。きわめてまれであるさまを表す形容動詞・副詞だそうです。知らない日本語ってまだまだ山のようにあるんだなあ。「花びら」は刺繍の模様とも読めるし、主たる季語は「春日傘」と考えるべきでしょうか。
それはそれとして、「花びら」「春日傘」で俳号が《幽香》さんとくると、某シューティングゲームシリーズを彷彿とさせますな。花映塚、全キャラクリアするまでがチュートリアル感あるのすごいよな。


稀府の駅舎吹きぬく風青し
つきみちる
稀府の廃校の庭枯柏
青井季節
稀府岳検索してみる立夏かな
夏の町子


まれ血追う鬼に一太刀鬼走
どこにでもいる田中
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、2025年7月18日(金)上映開始!! みんな絶対観に行こうな!!! 煉獄さんの映画こと『無限列車編』しか観てないんだけど、って人も大丈夫! 一緒に劇場で情緒をぐっちゃぐちゃにされよう!


マレフィセントの報われぬ愛竜の玉
家守らびすけ
マレフィセントの翼の行方五月雨
天風さと
マレフィセントの恋知る茨の花
のなめ
マレフィセントは悪くないのだ榾焚べる
ぞんぬ
マレフィセント涅槃図の右下にゐる
コンフィ


マレットのリズムほよよん目借りどき
ぴん童子
マレットの憩ふ木琴愛鳥日
翡翠工房
マレットの糸八十回巻き夏来る
草深みずほ
マレットの重さ知らずや夏の蝶
内藤羊皐
マレットの弾む軌跡や夏来る
松本厚史
マレットの転げてシへとそぞろ寒
甲斐杓子
マレットの撓り薄暑のビブラフォン
梅田三五
マレットはシロフォンを跳ね春を跳ね
雨野理多
マレットを2拍子で巻く毛糸かな
ユリノキ


マレンコフの任期短し時計草
一生のふさく


マレーヴィチの四角の白き冬来る
留辺蘂子
マレーヴィチの正方形に冬の蠅
うーみん
マレーヴィチの肖像冬の蠅死ぬ
はしま
〈②に続く〉

