写真de俳句の結果発表

第59回「色っぽい流木」《ハシ坊と学ぼう!③》

ハシ坊

第59回のお題「色っぽい流木」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季語なし

顔合わせ床の間の流木くねっ

鈴木そら

夏井いつき先生より
明確な季語が欲しいですね。
“参った”

季語なし

夕間暮れ水切り競う影三つ

妙啓

夏井いつき先生より
光景はよく分かりますが、やはり明確な季語が欲しい。上五にさまざまな季語が入りそうですよ。
“ポイント”

季語なし

流木のストレッチ病む窓越しに

茅々

夏井いつき先生より
「病む身になり、部屋から庭をながめては、思い出を手繰り寄せて俳句を作ります。誰も行かない季節の砂浜に、タイヤがはまった時に出会った流木は、のびやかなストレッチスタイルです。身体に痛みがあり硬いので、流木のつややかな木肌のストレッチに見とれています」と作者のコメント。

「流木」は季語ではないので、何らかに季語を取り合わせるとよいですね。
“参った”

季語なし

海の波流れ着いたか美流木

夏井いつき先生より
明確な季語が欲しいですね。
“参った”

季語なし

流木のふるさと遠し三十路なり

永順

夏井いつき先生より
「流木のふるさと遠し」までを生かすとして、「三十路なり」は説明の言葉です。この下五に季語を取り合わせると、一気に作品になってきます。
“ポイント”

季語なし

特攻の魂帰る枕崎

くろねこかよこ

季語なし

御仏の裾で再会誓い合う

くろねこかよこ

夏井いつき先生より
「一句目は、知覧の特攻隊記念館に飾ってある、亡くなった兵士を天女が優しく天へ運ぶ絵図が思い浮かびました。もちろん下半身しかもうありませんが、母の元へ急ぐ気持ちのみで動いています。二句目は、突撃の直前に『南無阿弥陀仏』と叫べ。そうすれば御仏の足元で死後再会できる。夢忘れるでない。というのが、出撃する息子に向けた母の遺言です」と作者のコメント。

今回の投句二句ともに、特攻の兵への思いを描いたものでした。その思いを季語に託すことで、より深く読者に訴える。それが俳句の基本的な考え方の一つです。知覧への旅で出会った季語を、思い出してみましょう。
“参った”

季語なし

ツイストが好き流木と化してなほ

ケンケン

季語なし

渚の流木追憶のダンス

ケンケン

夏井いつき先生より
「流木」は季語ではありません。歳時記を開いてみましょう。
“ポイント”

季語なし

流木に纏わりついたビニル紐

すいかの種

季語なし

流木のモビール風にカラカラと

すいかの種

夏井いつき先生より
「流木」と「ビニル紐」、「流木のモビール」、それぞれ句材はよいですね。二句ともに、明確な季語が欲しいです。
“参った”

季語なし

流木の隙間に以前虫だったそれ

ただなかのめ

季語なし

吾子と知る砂の深さと流木の鋭

ただなかのめ

夏井いつき先生より
二句ともに季語がありません。「虫」自体は秋の季語ですが、この句の場合は季語としての「虫」の働きはしていませんのでね。歳時記を開いて、良き季語を探してみましょう。
“ポイント”

季語なし

流木は背もたれ鳥見つつ逝きぬ

ただ地蔵

季語なし

流木や白波を背に鴉なり

ただ地蔵

夏井いつき先生より
二句ともに、明確な季語がありません。それぞれ良い句想ですから、再考してみましょう。
“良き”

季語なし

流木のシッカリ立てよとプロティン

パンプキン

季語なし

健脚な流木のまだ旅途中

パンプキン

夏井いつき先生より
二句ともに季語がありません。歳時記を開いてみましょう。
“ポイント”