写真de俳句の結果発表

第60回「双子のようなペンギン」《ハシ坊と学ぼう!⑫》

ハシ坊

第60回のお題「双子のようなペンギン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ぺんぎんのいる喫茶店でソーダ水

人生の空から

夏井いつき先生より
助詞「で」が散文的な使い方。語順を替えると解決しますし、人選になります。

添削例
ソーダ水ぺんぎんのいる喫茶店
“ポイント”

ペンギンの連続ダイブ木の葉散る

日吉とみ菜

夏井いつき先生より
上五中七は、勢いがあってよいですね。下五の季語は動きます。
“難しい”

蜩や二羽のペンギン複視かな

めぐえっぐ

夏井いつき先生より
「や」「かな」を併用するのは、感動の焦点がブレるというこで、嫌われます。どちらかを外して、全体を整え直してみましょう。
“ポイント”

ペンギンの季節感覚今は夏

雪椿

夏井いつき先生より
「一年中、温度管理されている部屋にいて、気候の変化も無くペンギンは季節を意識する事が無いのではと思います」と作者のコメント。

「ペンギンの季節(は)感覚(として)今は夏(ですね)」という普通の文章を、少しずつ千切って俳句の形にしています。まずは、基本の型を練習するところから、俳筋力作りを始めてみましょう。『夏井いつきのおウチde俳句』(朝日出版社)を参照してください。
“ポイント”

名月やペンギン馳せる銀波かな

一 富丸

夏井いつき先生より
「や」「かな」を併用すると、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つを外して、整え直してみましょう。
“ポイント”

春なかば双子が星座みつけたり

佐藤恒治

夏井いつき先生より
「三月になると双子座が見られる様になります。双子が仲良く天体望遠鏡を覗いているシーンです」と作者のコメント。

中七下五を「双子がみつけたる星座」とすると、焦点が「星座」に絞られてきます。そうすると、映像を持たない季語「春なかば」が、生きてきます。
“ポイント”

ペンギンの足跡の坂天高し

すそのあや

夏井いつき先生より
「愛媛のとべ動物園に行くには、駐車場から少し歩きますが、いろんな動物の足跡が道路にはめ込んであり、楽しめるようになっています。子供が小さい時の思い出が蘇りました」と作者のコメント。

私は、まさにとべ動物園のこの坂道を知ってますし、そこに刻まれて(?)いるぺンギンの足跡を知ってますので、ピンとくるのですが、それを知らない人がこの句を読んだ時、ペンギンが歩いた足跡がくっきりと残る? 雪道? いや、秋だよな……といった読みの混乱は引き起こされるのではないかと。この足跡を正確に描写できて初めて、作者の意図が伝わる句になります。
“ポイント”

寒雷や双頭の鷲の長い舌

よはく

夏井いつき先生より
中七下五のフレーズを良しとした時、上五の季語が動きそうです。
“ポイント”