写真de俳句の結果発表

第60回「双子のようなペンギン」《ハシ坊と学ぼう!⑪》

ハシ坊

第60回のお題「双子のようなペンギン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季語なし

ペンギンの逞しきあし大地ふむ

にも

夏井いつき先生より
「身体の割に大きくて立派な脚です。飛べぬ鳥は大地を駆け回るしか無いのですね」と作者のコメント。

目の付け所はよいのですが、明確な季語が欲しいですね。
“ポイント”

季重なり

ペンギンや清水でゆるる夏落暉

パンプキン

夏井いつき先生より
「清水」も季語にはなっています。
“良き”

季重なり

流氷に飛ぶペンギンや春来たる

風花

夏井いつき先生より
「流氷」「春来たる」それぞれ季語です。
“参った”

季重なり

白球に球児の汗の秋高し

沢善

夏井いつき先生より
「汗」「秋高し」それぞれ季語ですね。
“難しい”

列遅れツアー前方鰯雲

柑青夕理

夏井いつき先生より
「登山ツアーに参加しましたが、経験の少ない私は列から遅れ始めてしまいました。一行のさらに前方に鰯雲が見えました。追いつこうとするんじゃなくて、あの鰯雲に向かって歩いてみようと、頑張って歩く元気が出ました」と作者のコメント。

登山だとしたら、それが分かるような書き方ができるとベストです。街の「鰯雲」と、山の「鰯雲」は空気の澄み方も違ってきますしね。
“ポイント”

ガソリンの二千をタッチ極暑かな

鮭乙

夏井いつき先生より
「かな」を取ると、人選です。

添削例
ガソリンの二千をタッチして極暑
“ポイント”

氷上を叩きつけ直走る鳥

明日ぱらこ

夏井いつき先生より
「調べれば調べるほど奥の深いペンギン、伝えたいことが溢れてうまくいきません。 初めて、とぼがん(腹這いで氷上を滑るペンギンの生態)を知りました。『直走る(ひたはしる)』は、飛ばないことを選択した鳥の意地を自分なりに表現しました」と作者のコメント。

ほんとうに興味深い生き物ですね。折々の兼題から新しいことを沢山知ることが、実に楽しい。そして、この句ですが、語順を替えると人選です。

添削例
直走る鳥氷上を叩きつけ
“ポイント”

盆明けて平時返ったね双子の言う

案山子

夏井いつき先生より
「お盆休みが終わり、観客も減り、いつもの水族館に戻ったと双子のペンギンが話している様子です」と作者のコメント。

散文の語りになっているのが気になりましたが、作者コメントによると、ペンギンが言ってるようですから、むしろ「双子」と書くよりは「ペンギン」と書いたほうが、光景が見えやすくなります。
“ポイント”

ペンギンの夢や現や猛暑かな

宙海(そおら)

夏井いつき先生より
「や」「かな」を併用するのは、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。この句想でしたら、「や」を重ねることの方が大事そうなので、「かな」を外すのが、無難な対策かと。
“ポイント”

ペンギンの見上げる空や鳥帰る

楽花生

夏井いつき先生より
「ペンギン」と「鳥帰る」「鳥渡る」等の季語を取り合わせる発想の句は、幾つかありました。飛べないペンギン……という発想なのだと思いますが、一句に生き物を二つ入れて、しかも季語を主役としつつ、全体の言葉の質量のバランスをとるのは、なかなか難しい技になります。
“ポイント”