第46回 俳句deしりとり〈序〉|「ぱく」③

始めに
出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。


第46回の出題
兼題俳句
クウェートのスタンプ遠雷の万博 駒月 彩霞
兼題俳句の最後の二音「ぱく」の音で始まる俳句を作りましょう。
※「ぱく」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。
パクさんという友がおり冬隣
シラハマナオコ
パクさんとイさんキムさん毛布と茶
千代 之人
パクさんにカムサハムニダ桃の花
加里かり子
パクさんに半分ねだるコグマパン
大和出ユウスケ
パクさんのキムチ教室初しぐれ
七瀬ゆきこ
パクさんのキムチ作りや冬の風
玄子
パクさんのキムチ鍋待つ喉仏
かなかな
パクさんのキンパは盗む秋の昼
欣喜雀躍
パクさんのタクシー菜の花のキムチ
飯村祐知子
パクさんの胡桃だんごをご褒美に
ほうちゃん
パクさんの自家製キムチ冬温し
どこにでもいる田中
パクさんの熱々餃子息白し
鈴木そら
パクさんの隣に座るおでんかな
彩汀
パク・クネの糾弾デモや冬の明洞
えみり
パク・ジュンの詩を口遊む虎落笛
茂木 りん
パク・ジュンの詩集窓辺に春の夕
よはく
パクソジュン木枯らし吹かれ良い男
佳辰
パク・ソジュン監修ホットウイスキー
織部なつめ
パク・ソジュン次作は愛のロマン冬
卯之町空
パク・ソジュン髪かきあげて冬薔薇
森ともよ
パク・ヒョンギョン日傘キャディにパーパット
おこそとの
パク・ミニョンの肉なき膝よ冬の水
西川由野
パク・ヨンハ止むことのない寒の雨
朝野あん
パク先生の小さな教室冬日向
駒月 彩霞
白(パク)さんのレシピの餃子年用意
松虫姫の村人
朴さんと囲む炬燵やキムチチゲ
池田義昭
朴さんがキムチを下げて来る小春
佐々木棗
朴さんちぱくぱくパクチー秋高し
信茶
朴さんとマッコリ交わす中秋節
閏星
朴さんと会えて良かった年惜しむ
朗子
朴さんと鬼ごっこする秋日和
山川腎茶
朴さんと共に初めて見る水母
三日月なな子
朴さんと野球談議の夕涼み
紫黄
朴さんにキンパ習いし電波の日
千暁
朴さんのキムチのつこり闇夜汁
伊藤 恵美
朴さんのキムチ大久保の喧噪
閑陽
朴さんのキムチ沁みるや冬の朝
昇椿
朴さんのスープの朝や息白し
骨のほーの
朴さんのチジミ恋しい秋寒し
飛来 英
朴さんのパクチーぱくぱくと白夜
苫野とまや
朴さんのラーメン旨し後の月
草夕感じ
朴さんの瓜噛み締める風邪休み
うーみん
朴さんの韓服の美し月の宴
細葉海蘭
朴さんの参鶏湯掬うは長閑
三上もなか
朴さんの手に闇米とサングラス
雨野理多
朴さんの声は七色空っ風
むらのたんぽぽ
朴さんの白菜キムチ売り切れて
かたじん
朴さんの秘伝のキムチ冬支度
天風さと
朴さんの頬張るへぼの朴葉鮓
栗田すずさん
朴さんはマッコリ吾は濁り酒
にゃん
朴の字のとらはれてゐる冬木立
ひな野そばの芽
朴葵姫の調べ夜長の日曜日
高尾一叶
朴一族の不運と栄華秋の風
国東町子
朴家のみ未婚の叔母や唐辛子
葦屋蛙城
朴氏曰くトッポギ色の冬夕焼
ぐわ
朴正煕暗殺事件花木槿
ひでやん
朴先生!花見は上野六時です
くぅ
朴智星ばりのダイナモ冬の雷
あみま
朴智星吼ゆマンチェスターは雪時雨
白猫のあくび
朴槿恵と高市早苗被る秋
牛乳符鈴
朴槿恵の客船沈み冬ざるる
がらぱごす
朴槿恵大統領釈放虫採り
宇野翔月
朴璐美の少年のこゑ暮の秋
水須ぽっぽ
並んだ句それぞれ、人名が効いてるか効いてないかを吟味してみるのも大変だけどためになるかも?


「ぱく」と読む法則学ぶ夜学生
石田なるみ


パ繰り返す喃語に春の近づきぬ
泉楽人
「ぱ!くっく!」パパの白靴輝けり
蜘蛛野澄香


「ぱ」咥えし犬にご褒美秋季練
鹿達熊夜
しり二字しりとりテクニックの一つである「一音+別の単語」でお題をクリアする技。「秋季練」は犬の訓練または訓練競技会のようですねえ。文字の札かなにかを咥えてくるよう指示を出してたのかしら。ご褒美を与えられた犬は秋空の下、喜びに尻尾を振っているのかも、と想像すると微笑ましい。


「パクリやん」M-1秋の予選会
碁練者(ごれんじゃー)
パクツイを指摘しマスク着け直す
嶋村らぴ
パクったと菓子を数える村祭
ひろ笑い
パクつても素地は隠せぬ冬木立ち
若狭草
パクられしアイディアは没初時雨
唯野音景楽
パクられしサドル駅前より冬めく
吉野川
パクられし忘年会のトリのギャグ
いまい沙緻子
パクられたエアジョーダンよ鳥雲に
馬場めばる
パクられたキーホルダーの跡すばる
しみずこころ
パクられたサドル凍晴の立ち漕ぎ
藍創千悠子
パクられたチャリのサドルや秋高し
うめやえのきだけ
パクられた自転車いずこ身に入むや
星瞳花
ぱくられた自転車がいた枯木立
九月だんご
パクられた室内犬の息白し
潮湖島
パクられた墓石の家紋冬隣
紅紫あやめ
ぱくられちまったメロディー星冴ゆる
百瀬はな
パクられてパクりてミューズの肌寒し
鳥乎
パクられるほどでもなくて冬日向
京あられ
パクリかオマージュか舌戦の夜長
二城ひかる
パクリかな文化祭後の褒美菓子
いつアナmasa
パクりたるアロハ中三の逃走
俊恵ほぼ爺
パクリだろ忘年会の一発芸
のぐちゃん
パクリ?いえ本歌取りですおらが春
レオノーレ・オオヤブ
ぱくりって類想だよね近松忌
舟端たま
パクりとかオリジナルとか冬の雷
冬野とも
パクリはだめパクリはだめと牡蠣剥く
宙海(そおら)
パクりまくりの卒論や隙間風
金魚
パクります筆持つ吾子の夏休み
山内啓上
ぱくりやがって着流しの懐手
風早 杏
ぱくり疑惑晴れぬままの梅もどぎ
霜川このみ
「パクリ」と呼ばれてもいい石上祭の一枚
枸橘
パクリ裁判泥沼化冬ざるる
つんちゃん
パクり癖不治の病は雪暗に
ズッキーニン
パクリ魔で結構脱稿吾亦紅
阿部八富利
パクるリフ噎ぶレノンの忌のエレキ
小山美珠
この発想も多かったですねえ。盗み、盗用=いわゆるパクリのシリーズです。パクられてるのは食べ物や商品からアイディアまで様々。哀しいかな、盗みの概念は神話の時代から人間の社会に存在し続けてるからなあ……。《レオノーレ・オオヤブ》さんや《舟端たま》さんの句にもありますが、特に我々俳人は類想との戦いを続ける宿命にあるので一層注意していかねばなりませぬ。


パクられて足止めくらうマニラの蛾
渥美こぶこ
パクられて小さくなりたる嚔かな
トウ甘藻
パクられたカバンの中には鯛焼
けーい〇
パクられて被るフードへ聖樹の灯
天六寿(てんむす)
パクられて友となりたり冬の蠅
西村小市
そんなパクリシリーズにおいて、読みようによっては違った意味に解釈できるグループ。いわゆる俗語・隠語の言い回しに「パクられる」がありまして、これは警察に逮捕されるという意味になるのです。作者自身の現実はどうあれ、犯罪者からの目線を空想して俳句を作ることだってできるわけですからねえ。句によって、盗難にあった被害者なのか、犯罪者として逮捕されたのか、読みの「あり得る度」がグラデーションのように変化するのが面白い。《渥美こぶこ》さんは荷物を掏られでもしたのかしら、と心配が九割、まさかマニラで逮捕された(!?)とドラマチックな大穴読みが一割、といった一方、《天六寿》さんや《西村小市》さんは連行中かな(?)留置所かな(?)って読みがわりと現実的に成立してきます。だって、パクられて友になるって、ねえ……? 「冬の蝿」がいかにも臭い飯食ってきましたワ、って感じで。(※正人の妄想です)
〈④に続く〉



