写真de俳句の結果発表

第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊

第63回のお題「十数年ぶりの大阪」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

家事跡の献花に並ぶ人の列

前世ニャン子

夏井いつき先生より
変換ミスですね。「火事」とすれば、人選です。
“ポイント”

記憶の町探す路標の大紅葉

ばちゃ

夏井いつき先生より
「思い立って、六十年ぶりに小学生まで暮らしていた東京下町を訪ねました。月日が町の様子を大きく変えていて、(そりゃそうだ!)見覚えあるところを探すのに一苦労しました。それは、名前に覚えのある、通っていた保育園でしたが、小学生の時に電車通学していた、私立校にあった大銀杏に変えて詠んでみました」と作者のコメント。

「大紅葉」という使い方には、違和感があります。ふつう「紅葉」といえば、楓を指しますが、それ以外の赤くなる木にも使います。「桜紅葉」「柿紅葉」「櫨紅葉」など。作者コメントだと「銀杏」のようですが、どっちなのでしょう?
“ポイント”

雪の果て二十五年の再会や

呑 栗子

夏井いつき先生より
「ずっと疎遠になっていた高校時代の友人との再会。今となっては何が原因だったのかもわからない。今となればきっと取るにたりない些末な出来事も、あの時は赦せなかったのだろう。周りの風景は変わっていても、ここから見える通天閣は変わっていない。冬の一日」と作者のコメント。

下五の「や」の着地は難しい。語順および季語を再考してみましょう。
“ポイント”

通天閣よダイヤモンドダストよ

カムヤ イワヒコ

夏井いつき先生より
「大阪の代名詞的な通天閣に灯がともると、キラキラのダイヤモンドダストがなにわの空に出現する」と作者のコメント。

大阪でも、ダイヤモンドダストが観られるのでしょうか?
“ポイント”

大阪がみぞれを走る立呑み屋

泉晶子

夏井いつき先生より
「大阪がみぞれを走る」という書き方で、言いたいことに見合ってるのでしょうか。「大阪を霙(みぞれ)の走る」ではなく?
“ポイント”

夏の夕出汁の香りや新世界

翁愁

夏井いつき先生より
「夏の夕/出汁の香りや/新世界」それぞれ斜め線のところに意味上の切れがあります。このような型を三段切れといって、俳句では調べがブチブチ切れるので、嫌われます。どこか一カ所を繋ぎましょう。
“ポイント”

片足の螇蚸が路地を這ってゐた

筒井らんぷん

夏井いつき先生より
歴史的仮名遣いにしたいのであれば、小さな「っ」は、大きな「つ」になります。
“ポイント”

梅の香やビルヂング街へ鉄の膝

徳佐津麻似合

夏井いつき先生より
「この秋、僕は左膝人工関節置換手術を受けました。街は変わらないのに自分が変わった。でもそれは新たなる一歩である。そんな気持ちを詠みました」と作者のコメント。

「鉄の膝」は比喩ではなく、人工関節なのですね。「梅」あるいは「梅の香」と人工関節の取り合わせは新鮮です。「ビルヂング街へ」と光景を広げるよりは、「鉄の膝」が比喩ではないことが分かるように描写すると、一気に人選がみえてきます。
“ポイント”

凍つ空へほかす悪態母の背よ

星 秋名子

夏井いつき先生より
口語「凍てる」の文語形が「凍つ」です。終止形なので、「空」に掛かる場合は、「凍つる」と連体形にする必要があります。が、そもそも「凍空(いてぞら)」とすれば、一番すっきりしますね。
“ポイント”

人七つハシ坊一か年暮るる

海神瑠珂

夏井いつき先生より
「上五は『人(じん)』、中七は漢数字の『一は(いち)』です」と作者のコメント。

コツコツと学んでくださっていること、嬉しく思います。来年のこの時期には、どんな数字になっているか。今年も、楽しみつつ学んでまいりましょう。
“ポイント”

鯨のオブジェ炎夏の不機嫌顔

スマイリィ

夏井いつき先生より
過日は〈炎夏オブジェの鯨は不機嫌そう〉へのアドバイスを、ありがとうございました。句材としては面白い、とのお言葉をいただきましたので、すぐに直して上記に落ち着きました」と作者のコメント。

「不機嫌そう」とか「不機嫌顔」とか書かなくても、「不機嫌な鯨」としても、比喩は成立します。
“ポイント”