第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑦》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
藍色の始発の車窓に凍てる月
ゆきまま
夏井いつき先生より
「久しぶりに始発の特急に乗りました。霜の降りた寒い朝で、発車を待ちながら外を眺めていました。濃い藍色の景色の中、明けやらぬ空の月が氷のように美しかったです」と作者のコメント。
中七の「に」のみ、再考して下さい。
「久しぶりに始発の特急に乗りました。霜の降りた寒い朝で、発車を待ちながら外を眺めていました。濃い藍色の景色の中、明けやらぬ空の月が氷のように美しかったです」と作者のコメント。
中七の「に」のみ、再考して下さい。


帰里久しボトル飲み切る三日かな
土取
夏井いつき先生より
「『帰里久し』は、故郷に帰ってきてから長居したのと、しばらく故郷に帰れていない、という意味の両方とれるのが面白く、使いました」と作者のコメント。
「帰里」という言葉を辞書で調べたのですが、見つからず。造語でしょうか。上五での字余りは、ある程度許容されますから、辞書にある言葉「帰郷」でも良いかと思うのですが。更に、この句の下五の「かな」は効いていませんので、語順も含めて再考してみましょう。
「『帰里久し』は、故郷に帰ってきてから長居したのと、しばらく故郷に帰れていない、という意味の両方とれるのが面白く、使いました」と作者のコメント。
「帰里」という言葉を辞書で調べたのですが、見つからず。造語でしょうか。上五での字余りは、ある程度許容されますから、辞書にある言葉「帰郷」でも良いかと思うのですが。更に、この句の下五の「かな」は効いていませんので、語順も含めて再考してみましょう。


吾の蒸籠UFOとなり神渡
加賀屋斗的
夏井いつき先生より
「第57回「沖縄県の郷土料理」《ハシ坊と学ぼう!⑦》〈冬空へ放つ蒸籠は散けけり〉の推敲、 第60回「双子のようなペンギン」《ハシ坊と学ぼう!④》〈冬空へ放つ蒸籠が、ばらけた〉から再推敲を試みました」と作者のコメント。
「蒸籠」を冬空へ放つ、ばらける、というのはどういう情景なのでしょうか。それを教えていただければ、もう少し具体的なアドバイスができるのですが……。
「第57回「沖縄県の郷土料理」《ハシ坊と学ぼう!⑦》〈冬空へ放つ蒸籠は散けけり〉の推敲、 第60回「双子のようなペンギン」《ハシ坊と学ぼう!④》〈冬空へ放つ蒸籠が、ばらけた〉から再推敲を試みました」と作者のコメント。
「蒸籠」を冬空へ放つ、ばらける、というのはどういう情景なのでしょうか。それを教えていただければ、もう少し具体的なアドバイスができるのですが……。


鍋焼や五度の歓迎会終へり
瀬央ありさ
夏井いつき先生より
口語「終える」は、文語では「終う」。歴史的仮名遣いだと「終ふ」となります。ハ行下二段活用です。更に、完了の助動詞「り」は、サ行変格活用の未然形・四段活用の命令形(已然形)にしか接続できませんので、「終へり」にはなりません。素直に、「歓迎会を終ふ」とすればよいかな。
口語「終える」は、文語では「終う」。歴史的仮名遣いだと「終ふ」となります。ハ行下二段活用です。更に、完了の助動詞「り」は、サ行変格活用の未然形・四段活用の命令形(已然形)にしか接続できませんので、「終へり」にはなりません。素直に、「歓迎会を終ふ」とすればよいかな。


湯気の立つたこ焼き舌で蛸探し
三日月 星子
夏井いつき先生より
「ハフハフしながらたこ焼きを食べ、蛸を探す私のくせを詠みました。蛸は季語ですが、これは季重なりになるのでしょうか?」と作者のコメント。
「これは季重なりになるのでしょうか?」というご質問にある、もう一つの季語とは「湯気の立つ」? でしょうか。季語としての「湯気立」は、冬の乾燥を防ぐためにストーブなどに鍋や薬缶をおいて湯気を立てることを意味します。とはいえ、たこ焼きに入っている蛸が、どこまでの季感をもっているか、という問題もありはしますが……。
「ハフハフしながらたこ焼きを食べ、蛸を探す私のくせを詠みました。蛸は季語ですが、これは季重なりになるのでしょうか?」と作者のコメント。
「これは季重なりになるのでしょうか?」というご質問にある、もう一つの季語とは「湯気の立つ」? でしょうか。季語としての「湯気立」は、冬の乾燥を防ぐためにストーブなどに鍋や薬缶をおいて湯気を立てることを意味します。とはいえ、たこ焼きに入っている蛸が、どこまでの季感をもっているか、という問題もありはしますが……。


蚯蚓鳴く洋館大叔母の形見分け
弥音
夏井いつき先生より
句材は面白いのですが、調べが滞っています。「大叔母の形見分け」は外せない情報なのでしょうから、残りの部分……「洋館」を諦めて「館」とか、取り合わせる季語を再考するとか。


牡蠣筏の展示を碧き薄暑光
雨野理多
夏井いつき先生より
「第60回への投句〈牡蠣筏の展示を薄暑光揺るる〉の推敲です。海の色を書きたいなら、色を入れないと伝わらないと思い『碧』を入れました。牡蠣筏はだいたい揺れていると思うので『揺るる』をやめました」と作者のコメント。
読者としての、最大の謎は「展示」の一語になるのではないでしょうか。実際の牡蠣筏ではないのか?……と。
「第60回への投句〈牡蠣筏の展示を薄暑光揺るる〉の推敲です。海の色を書きたいなら、色を入れないと伝わらないと思い『碧』を入れました。牡蠣筏はだいたい揺れていると思うので『揺るる』をやめました」と作者のコメント。
読者としての、最大の謎は「展示」の一語になるのではないでしょうか。実際の牡蠣筏ではないのか?……と。


子を背負い名もなき家事やお茶の花
鈴木あんず
夏井いつき先生より
五音にするために「お茶の花」という書き方をしている句が時々ありますが、季語としては「茶の花」が正しい書き方です。


冬の日にたこせん食べた梅田駅
牛乳符鈴
夏井いつき先生より
上五の「に」は散文的になりがちということで、要注意の助詞です。この助詞だけ再考しましょう。もう一句の投句〈大阪で年惜しみつつ初任研〉の、上五「大阪で」の「で」も、要一考の助詞です。
上五の「に」は散文的になりがちということで、要注意の助詞です。この助詞だけ再考しましょう。もう一句の投句〈大阪で年惜しみつつ初任研〉の、上五「大阪で」の「で」も、要一考の助詞です。


熱燗をイメージ今朝の交差点
しげ尾
夏井いつき先生より
「時季外れの黄砂が止んだと思いきや、急に寒くなりました。今朝の交通指導は冷え冷えで、思わず夕食時の熱燗を思い浮かべました」と作者のコメント。
「~をイメージ」という書き方は、一種の説明です。せめて、「熱燗の恋し」ぐらいの書き方になれば、季語としての力を発揮できるのですが。「交通指導」と具体的に書くのも面白いと思います。
添削例
熱燗の恋しき交通指導かな
「時季外れの黄砂が止んだと思いきや、急に寒くなりました。今朝の交通指導は冷え冷えで、思わず夕食時の熱燗を思い浮かべました」と作者のコメント。
「~をイメージ」という書き方は、一種の説明です。せめて、「熱燗の恋し」ぐらいの書き方になれば、季語としての力を発揮できるのですが。「交通指導」と具体的に書くのも面白いと思います。
添削例
熱燗の恋しき交通指導かな


寒暁を通天閣の影の濃し
なないろ
夏井いつき先生より
詠嘆を加えて、印象を少し強くしてみましょう。
添削例
寒暁を通天閣の影や濃き
詠嘆を加えて、印象を少し強くしてみましょう。
添削例
寒暁を通天閣の影や濃き



