写真de俳句の結果発表

第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊

第63回のお題「十数年ぶりの大阪」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

東西の違い比べて年忘

奏美和

夏井いつき先生より
その違いを具体的に書いてこその俳句です。
“ポイント”

横丁の射的場侘し昼炎暑

ふづきかみな

夏井いつき先生より
「昼」の一字だけ再考してみましょう。
“ポイント”

大空や見晴らす古墳秋麗

錆鉄こじゃみ

夏井いつき先生より
今回の投句二句ともに、三段切れになっています。上五中七下五で、それぞれ意味が切れてしまっているのです。この型は、調べが滞るという理由で嫌われます。例えば、この句でしたら、「大空を」とすれば三段切れを回避することはできます。中七を一工夫すれば更によくなります。それぞれ推敲してみましょう。
“ポイント”

展示ケースの土器十二月の縄目

とひの花穂

夏井いつき先生より
三年前『第25回 浜辺の焚火』に投句した〈鎮座する土器の縄目や十二月〉の推敲句です。俳句を始めて半年くらいに作った俳句で、この頃は自分では凄く良い句が出来た‼︎ と思っては並選。そんなことを繰り返してばかりいた頃で……そういうことを繰り返すとすぐに止めてしまう私が、なぜ俳句は止めなかったのか? 今思うと不思議です」と作者のコメント。

語順を逆にすると人選です。

添削例
十二月の縄目や展示ケースの土器
“ポイント”

半夏生の十三しらじら提灯ひかりけり

猪子石ニンニン

夏井いつき先生より
「ディープな大阪の街、十三を書いてみました」と作者のコメント。

「半夏生」と「十三」の取り合わせは、面白いです。残りのフレーズをもう少しシェイプアップしましょう。
“ポイント”

新世界街の余白に春の月

我ふたり

夏井いつき先生より
「兼題写真を見て、個人的には行ったことがない街に果たして月は昇るのかと調べてみると、空に高く昇れば見える事が分かりました。ド派手な新世界の街に遠慮がちに昇る春の月が、大阪らしい春の月に思えました」と作者のコメント。

「街の余白に春の月」というフレーズはよいですね。兼題写真は、あくまでも発想の土台。「新世界」に拘らず、佳き句として完成させて下さい。
“ポイント”

窓枠に頭を雪に津軽富士

あらまち一駒

夏井いつき先生より
「リハビリの窓に映ってました」と作者のコメント。

「窓枠」といってもさまざまな窓がありますが、作者コメントにある「リハビリの窓」と書くと、その場がより具体的になります。不要な言葉を探して、言葉を節約し、推敲してみましょう。
“ポイント”

どん突きを右とおでんの串指さる

葉村直

夏井いつき先生より
下五「串が指す」とすれば、人選です。
“ポイント”

ほちほちてんな串カツのくしゃみかな

丨呂 ih

夏井いつき先生より
「本人は『ぼちぼち……』と言ってるつもり。くしゃみの前兆です」と作者のコメント。

なるほど、「くしゃみ」が出そうで、「ぼちぼちでんな」と言えてない、ということですね。最後に季語がでてくると句意が読み取れます。下五「かな」の詠嘆は効いてないので、体言止めになるように工夫してみましょう。
“ポイント”

初旅の地の商人や凛々しけり

画 喜多文

夏井いつき先生より
「や」「けり」と切字が重なりました。感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つを外しましょう。
“ポイント”

職訓へ具なしむすびに徒歩盛夏

天六寿(てんむす)

夏井いつき先生より
第54回『パンダと観覧車』〈新社員おにぎり一個分の駅〉の推敲句です。金欠で一駅を歩いたという内容でしたが、経験を踏まえてもっと明確な描写が必要だと思いました。失業してハローワークの職業訓練に行くとき、具のないおむすびを持って徒歩で真夏の空の下を移動している、という句です。『職訓』と縮めても使うようです」と作者のコメント。

「もっと明確な描写」という考え方は正しいのですが、自立語を沢山詰め込むのが「描写」ではありません。一句に使われている自立語に、優先順位をつけて、再考してみましょう。
“ポイント”