写真de俳句の結果発表

第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑨》

ハシ坊

第63回のお題「十数年ぶりの大阪」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

冬の虹昔万博行ったきり

惠桜改め さーやのママ

夏井いつき先生より
「1970年は『大阪万博』、2025年は『大阪・関西万博』と言われています。大阪万博に行っただけで、それ以来大阪に行った事はありません。田舎者で色んな所に余り行ったことのない私は『写真de俳句』はとても難しく、何度も挫けそうになります。結局先月は投稿せずじまいでした(泣)」と作者のコメント。

写真を兼題に俳句を作るコツは、まず写真に写っているモノの名前をひたすらメモしましょう。そのメモした言葉の中から、十二音のフレーズ(俳句のタネ)を作り、五音の季語を取り合わせる。これが基本中の基本の作り方です。
“ポイント”

異国語に塗る炎暑や通天閣

舞矢愛

夏井いつき先生より
口語「塗れる」の文語が「塗る」で、ラ行下二段活用です。「塗る」は「炎暑」にかかってくると思われますので、連体形「塗るる」となるのが正しいです。
“ポイント”

梅田とふ迷宮にをり空っ風

せなきく

夏井いつき先生より
「とふ」「をり」は歴史的仮名遣い。となれば、促音の小さい「っ」は、大きな「つ」になります。
“ポイント”

暮れ難波「屈原」楽日の鰊そば

宙朔

夏井いつき先生より
「若き日、栄養士の卵であった私は、さる劇団の病気持ちである座頭氏の食事管理を頼まれ、ほんの短期間、大阪は難波の小屋にかかる『屈原』公演に随行しました。その楽日に、座員さんから初めて鰊そばなるものをご馳走してもらった思い出があります。鰊そばは京都ゆらいのものだとの解説付きでしたっけ。少し言葉が多すぎて、感動が無くなってしまった気がします」と作者のコメント。

少し情報が多いですね。二句に分けるぐらいで推敲してみましょう。
“ポイント”

たい焼きの冷ゑて戎橋の灯火

ひーちゃんひーちゃん

夏井いつき先生より
「冷ゆ」が終止形でヤ行ですから、「冷ゑ」=ワ行にはなりません。「冷え」とすれば、人選。
“ポイント”

冴ゆる夜にあべのハルカス見下ろす稜

三日月なな子

夏井いつき先生より
投句のもう一句も同じなのですが、「冴ゆる夜に」の「に」のような助詞の使い方は、散文的になるため要注意です。
“ポイント”

冴ゆる夜やキーブの瓶のコイン跡

ガリゾー

夏井いつき先生より
「映画のワンシーンに思いを馳せました。孤独や静かさ、大人の男の背中が、すべてを物語ります」と作者のコメント。

「キーブ」? 「キープ」の変換ミス? ならば、人選でよいのですが。
“ポイント”

秋雨に濡れて豹柄のハイヒール

ちよ坊

夏井いつき先生より
ちょっとした調べの調整ですが、「豹柄のハイヒール」としたいのならば、前半は「秋雨に濡れ」とすべきですし、前半を「秋雨に濡れて」としたいのならば、「豹柄ハイヒール」とすべきでしょう。どう違うのか、考察してみましょう。
“ポイント”

満月の玉座通天閣の天趣

翡翠工房

夏井いつき先生より
「通天閣の名前の由来は、『天に通じる高い建物』です。大阪のシンボルの天辺には、天趣が広がっています。通天閣の真上に上がった満月を見ましたが、大きな月が通天閣を玉座にするように、座っていました。昼は太陽を、夜は月を座らせ、大阪の街を見守ってくれています」と作者のコメント。

「通天閣」がまるで「満月の玉座」のようだ、という比喩だと解釈した時、「~の天趣」という着地がベストかどうか。悩ましいところです。
“ポイント”

百日紅日増しに紅を蓄えし

ふく

夏井いつき先生より
〈青空や百日紅の紅濃かりけり〉の推敲句です。真夏の空に、だんだんと花が咲いていく様子を詠みました」と作者のコメント。

初案のほうが、「青空」の背景があって鮮やかでした。こちらの句の中七下五は、描写のように見えますが、説明に傾いています。
“ポイント”

蝉鳴くや描いてほしいか今日も鳴く

ふく

夏井いつき先生より
〈裏紙へHBで描く朝の蝉〉の推敲句です。蝉の鳴き声に誘われてスケッチする様子を詠みました」と作者のコメント。

こちらも、初案のほうが良いです。「裏紙」「HB」と具体的な映像がしっかりとあります。推敲句は、平たい呼びかけになってしまいました。
“ポイント”