第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑤》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
蟹盛る近江市場をうろうろと
キッカワテツヤ
夏井いつき先生より
「蟹」だけだと、川蟹など夏の季語になります。
「蟹」だけだと、川蟹など夏の季語になります。


自転車を押し渡し船に渡り鳥
神保一二三
夏井いつき先生より
中七の「に」は不要です。語順もふくめて、推敲して下さい。
中七の「に」は不要です。語順もふくめて、推敲して下さい。


浅春や父の墓前に詫ぶ疎遠
ちえ
夏井いつき先生より
口語「詫びる」は、文語では「詫ぶ」で、バ行上二段活用です。この句は、上五で「浅春や」と切れてますから、「詫ぶ」は「疎遠」に掛かるのでしょう。となると、「詫ぶる」と連体形にする必要があります。字余りになりますが、ここは意味の上では「詫ぶる」とする必要があります。
口語「詫びる」は、文語では「詫ぶ」で、バ行上二段活用です。この句は、上五で「浅春や」と切れてますから、「詫ぶ」は「疎遠」に掛かるのでしょう。となると、「詫ぶる」と連体形にする必要があります。字余りになりますが、ここは意味の上では「詫ぶる」とする必要があります。


帰郷よりはや十回目去年今年
宙海(そおら)
夏井いつき先生より
「去年今年」という季語は、大晦日の夜の、一瞬にして去年と今年が入れ替わるというニュアンスの季語です。
〈去年今年貫く棒の如きもの〉
虚子のこの句から、この季語の本意について、考えてみて下さい。「帰郷よりはや十回目」という感慨を書きたいのであれば、映像のある季語を取り合わせるのが無難です。
「去年今年」という季語は、大晦日の夜の、一瞬にして去年と今年が入れ替わるというニュアンスの季語です。
〈去年今年貫く棒の如きもの〉
虚子のこの句から、この季語の本意について、考えてみて下さい。「帰郷よりはや十回目」という感慨を書きたいのであれば、映像のある季語を取り合わせるのが無難です。


孫からのお下がり豹の柄セーター
伊達紫檀
夏井いつき先生より
語順が逆でしょうか。
添削例
豹柄のセーター孫からのお下がり
語順が逆でしょうか。
添削例
豹柄のセーター孫からのお下がり


御堂筋ランウェイコンビニおでん手に
むげつ空
夏井いつき先生より
「御堂筋ランウェイが開催されたのは11月3日。秋の季語か、それとも作句している今の季語か迷ってこうなりました。素材を諦めるのがベストだったかもしれません」と作者のコメント。
句会でしたら、当季雑詠が基本ですが、「おウチde俳句くらぶ」の場合は、ご自分の実感を第一義に作句して下さい。「おでん手に」は、ちょっと強引だったかな。
句会でしたら、当季雑詠が基本ですが、「おウチde俳句くらぶ」の場合は、ご自分の実感を第一義に作句して下さい。「おでん手に」は、ちょっと強引だったかな。


吾子抱きて到着ゲート初帰省
しなやか
夏井いつき先生より
「北海道に嫁いだ娘が生後六か月の我が子を抱いて、関西空港に初めて降り立った時の感激を詠みたかったのですが、まだまだ十七文字で表現するには力不足です」と作者のコメント。
なるほど、そういう状況ですね。「吾子抱きて」だと、作者自身が抱いていることになりますから、ここは「吾子の抱く赤子よ」とでもして、残りで季語を取り合わせてみてはどうでしょう。「初」の字はなくてもOKです。
「北海道に嫁いだ娘が生後六か月の我が子を抱いて、関西空港に初めて降り立った時の感激を詠みたかったのですが、まだまだ十七文字で表現するには力不足です」と作者のコメント。
なるほど、そういう状況ですね。「吾子抱きて」だと、作者自身が抱いていることになりますから、ここは「吾子の抱く赤子よ」とでもして、残りで季語を取り合わせてみてはどうでしょう。「初」の字はなくてもOKです。


霜夜にひとり道連れは「六甲颪」
かおりんご
夏井いつき先生より
「『六甲颪(ろっこうおろし)』が、季語ではないことを表すのにカギ括弧を使ったのですが、いいでしょうか?」と作者のコメント。
「六甲颪」は歌ということ? カギ括弧をつけてもよいのですが、「道連れは」と書かないで、ここの音数を使って歌っているのだなと分かるような表現は工夫できるのではないでしょうか。
「六甲颪」は歌ということ? カギ括弧をつけてもよいのですが、「道連れは」と書かないで、ここの音数を使って歌っているのだなと分かるような表現は工夫できるのではないでしょうか。


初詣タコ焼き屋台行列や
へばらぎ
夏井いつき先生より
下五「や」の着地は、バランスが取りにくい難しい型です。語順を替えるとよいですね。
添削例
たこ焼きの屋台の列や初詣
下五「や」の着地は、バランスが取りにくい難しい型です。語順を替えるとよいですね。
添削例
たこ焼きの屋台の列や初詣


初料亭女将と河豚に魅了され
蒲公英
夏井いつき先生より
「初めての料亭は驚きの連続でした。丁寧な女将のご挨拶から始まって、お店のたたずまい、人々のものごしなど、別世界に足を踏み入れたような特別感に溢れていました。本格的な河豚料理も初めてで、美味しさのとりこになり、帰りの女将の丁寧なお見送りなども初心者には天にも昇る気持ちでした」と作者のコメント。
下五「魅了され」が説明の言葉になります。俳句は描写。女将のどんな立ち居振る舞いに魅了されたのか。そこを具体的に描写してみましょう。
「初めての料亭は驚きの連続でした。丁寧な女将のご挨拶から始まって、お店のたたずまい、人々のものごしなど、別世界に足を踏み入れたような特別感に溢れていました。本格的な河豚料理も初めてで、美味しさのとりこになり、帰りの女将の丁寧なお見送りなども初心者には天にも昇る気持ちでした」と作者のコメント。
下五「魅了され」が説明の言葉になります。俳句は描写。女将のどんな立ち居振る舞いに魅了されたのか。そこを具体的に描写してみましょう。


鯛焼屋木彫りの看板墨薄れ
仲間英与
夏井いつき先生より
「第61回『鯛焼屋の行列』《ハシ坊と学ぼう!⑬》に〈鯛焼き屋老舗感じる木の看板〉を取り上げて頂き、ありがとうございました。『看板のどんな所に老舗を感じたのか、看板を描写しましょう』とアドバイス頂きました。もう一度兼題写真をよく見てこの句ができました。中八が気になりますが、やはり老舗の看板は分厚い木製の看板だと思います」と作者のコメント。
「感じる」を外して、具体的な映像を描写したのがよいですね。中八が気になる、という点は同感です。とはいえ、これらの言葉を全部入れるとなると、語順の入れ替えだけでは限度があります。ここからは、私ならば……という話になりますが、この句の眼目は「木彫り」の看板の「墨」が薄れていることです。そこを描くとなれば、「鯛焼屋」に拘るよりは別の季語を取り合わせてみるかな、と。そうなってくると「木彫りの屋号」という言い方にしても、いけるかも。
「第61回『鯛焼屋の行列』《ハシ坊と学ぼう!⑬》に〈鯛焼き屋老舗感じる木の看板〉を取り上げて頂き、ありがとうございました。『看板のどんな所に老舗を感じたのか、看板を描写しましょう』とアドバイス頂きました。もう一度兼題写真をよく見てこの句ができました。中八が気になりますが、やはり老舗の看板は分厚い木製の看板だと思います」と作者のコメント。
「感じる」を外して、具体的な映像を描写したのがよいですね。中八が気になる、という点は同感です。とはいえ、これらの言葉を全部入れるとなると、語順の入れ替えだけでは限度があります。ここからは、私ならば……という話になりますが、この句の眼目は「木彫り」の看板の「墨」が薄れていることです。そこを描くとなれば、「鯛焼屋」に拘るよりは別の季語を取り合わせてみるかな、と。そうなってくると「木彫りの屋号」という言い方にしても、いけるかも。



