写真de俳句の結果発表

第68回「監視カメラに鵜」《ハシ坊と学ぼう!⑦》

ハシ坊 NEW

第68回「監視カメラに鵜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

彫刻のごと風に立つ鵜の背中

つきか

夏井いつき先生より
「彫刻のごと風に立つ鵜」までは良いですね。最後が「~の背中」とするのがベストかどうか。ここを推敲すれば、人選に手が届きます。
“ポイント”

監視カメラに着地や若鵜かな

希子

夏井いつき先生より 
「や」「かな」と切字が重なるのは、感動の焦点がブレるということで嫌われます。
“ポイント”

夕暮れや鴉の子を埋めてやる

石澤双

夏井いつき先生より
「中六ですが、『子』と『を』の間に半拍〜一拍あるので、それほど障らないかな? と判断しました」と作者のコメント。

やはり中六は気になります。「『子』と『を』の間に半拍〜一拍ある」という考え方にも違和感を持ちます。例えば、「鴉の子埋めてやる」を後半のフレーズにして、前半のフレーズで韻律を整えることも充分可能です。
“ポイント”

オービスに鳩の糞ベチャ雷雨待つ

輝虎

夏井いつき先生より  
「オービスに鳩の糞」で「雷雨待つ」と展開すると、強い雨で洗い流されるのを待っています、という原因理由をのべる散文的な一句になってしまいます。ここは、「雷雨が近い」ことと「オービスに鳩の糞」がついていることを、淡々と取り合わせれば良いのです。推敲してみましょう。
“参った”

黄昏の降りしきる鵜の不動かな

葦屋蛙城

夏井いつき先生より
「降りしきる」のは「黄昏」? 下五が「不動」ですから、「鵜」が降りしきっているわけではないですよね。黄昏に対する「降りしきる」に違和感があります。
“参った”

離れ鵜や明日笑ふため一休み

花星壱和

夏井いつき先生より
中七下五のフレーズに対して、上五は別の季語を取り合わせるほうが良いかと。取り合わせる季語によっては、かなり良い句になるかもしれません。
“ポイント”

出航を告る鵜飼のGショック

アツヒコ

夏井いつき先生より
「告る」は「こく・る」ですね。「告ぐる」=「つ・ぐる」とすれば、人選です。
“ポイント”

鵜の羽干す片のつかない遺品に句

龍酪

夏井いつき先生より
「同僚に変体仮名を解読する手助けを頼まれたことを思い出しながら、詠みました」と作者のコメント。

中七下五のフレーズは良いですね。今回の兼題写真から離れて、季語はより良い取り合わせがありそうな予感がします。
“良き”

葉桜の隙間や見つめる目数多

辻 さつき

夏井いつき先生より
本当の目なのか、被害妄想的な目か、はたまた空の比喩か。その辺りをもう少し明確にする手立てはありそうです。
“ポイント”

梅雨の雷「脳内画像切換はれ」

曽根朋朗

夏井いつき先生より
「この頃は忙しくて俳句に集中できずにすみません。時間は途切れ途切れにあるのですが、どうも頭の中が切り替わらないのです。地域の若者のお世話役等を仰せつかったり、母と叔母の生活の様子を見守ったりと、いつも人の顔がぐるぐるとしております。頭をもっと上手く切り換えるようにできないかと思っている次第です。『伊月庵通信』も目を通すのみとなっていますが、必ずや復活するつもりでおります」と作者のコメント。

下五の「はれ」の意味を受け止めかねました。が、作者コメントを読んで、状況を理解いたしました。忙しい時には、俳句を作るための脳の隙間はありません。今は、無理矢理作ろうとせず、さまざまな場面を写真のように脳内にストックしていきましょう。今の忙しい時間が、いずれ人生の、そして俳句の肥やしとなってくれるはずです。俳句は逃げません。ゆっくりじっくり楽しみましょう。
“良き”

のどけしや見つめ合ひたる鵜と機械

竹乃 空気男

夏井いつき先生より
「監視カメラが向いている先に鵜がいて、お互いににらめっこしている感じに見えたので、それを詠んでみました」と作者のコメント。

下五を「カメラ」とでもすれば、人選です。
“ポイント”

ラガーメンの掻き出す土砂や鵜住居

唯野音景楽

夏井いつき先生より
「兼題写真の鵜から、釜石市の鵜住居のラグビー場に発想が飛びました。2019年のワールドカップのカナダ・ナミビア戦は、台風19号の接近で試合が中止となりました。カナダ代表は台風被害をうけた釜石市内で、市民とともに道路の泥を掻き出し、被災した家々から水につかった家財道具を運び出した話を知り、ラガーメンのフェアプレイ精神に胸が熱くなりました」と作者のコメント。

一句に入れる情報が多すぎます。まずは「鵜」とは切り離して、「ラガーメンの掻き出す土砂」の内容のみで一句にしてみましょう。
“ポイント”

果樹園や監視カメラと半夏生

中村あつこ

夏井いつき先生より
助詞を一考してみましょう。
“良き”

明日もある防犯カメラ旱星

くるぽー

夏井いつき先生より
「一度映ってしまえば自分では消せない。その怖さと憤りを詠んでみましたが、上五が少々舌足らずな感じもします」と作者のコメント。

「防犯カメラ」と「旱星」の取り合わせは良いですね。上五「明日もある」が、作者の意図どおりには解釈しにくいかと。
“難しい”

海鵜来て憩へる一木しづかなる

雪客

夏井いつき先生より
後半を「一木のしづか」とすれば、人選です。
“ポイント”