第70回「ベランダの桔梗」《ハシ坊と学ぼう!⑤》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
パパ見えなくなるまでベランダの主
吉トン子
夏井いつき先生より 評価 人
「毎朝、アパートの二階からパパの出勤のお見送りする我が子。パパが見えなくなっても、パパの余韻を噛み締める毎朝です。『ベランダ』って季語なんですね。勉強になります」と作者のコメント。
写真も良いですが、こんな日常の場面を俳句で残すって素敵なことですね。このままでも人選なのですが、例えば「主」を「王子」とか、「トムソーヤ」とか、比喩にしてみるのも一手です。
写真も良いですが、こんな日常の場面を俳句で残すって素敵なことですね。このままでも人選なのですが、例えば「主」を「王子」とか、「トムソーヤ」とか、比喩にしてみるのも一手です。


桔梗きりきり握りバサミいゆいゆ
那乃コタス
夏井いつき先生より 評価 人
「以前より気になっていたのですが、投句先のほとんどに年齢を入れる欄がありますが、句の評価と年齢というのは関係がございますでしょうか。私は五十代ですが、俳句に出会ったのは最近です。ありがたいことに、あまり気にせず、例えば二十代の頃の子育ての句なども楽しく作らせていただいております」と作者のコメント。
まず、この「桔梗」の句は人選であることをお伝えした上で、ご質問に答えます。
「句の評価と年齢というのは関係がございますでしょうか」という問いですが、句の評価と年齢は全く関係ありません。ならば、なぜ投句欄に年齢欄があるのかというと、「句の理解」に、役立つからです。例えば、死をテーマにした句が、十代の作者である場合と、八十代の作者である場合は、解釈鑑賞が全く違ったものになってきます。(私は、「子どもの句だから可愛くていい」といったダブルスタンダードは持ちませんが)子どもの場合、発達年齢は考慮に入れるべきで、小一の子の言葉としては評価できるが、これが高一だとすれば些か……というケースも多々でてきます。時空をワープして創作するのも、俳句を作る楽しみの一つ。あなたの「二十代の頃の子育ての句」を作る楽しみを奪うための「年齢欄」ではなく、それぞれの作品により深く寄り添うための「年齢」という情報であると、ご理解下さい。
まず、この「桔梗」の句は人選であることをお伝えした上で、ご質問に答えます。
「句の評価と年齢というのは関係がございますでしょうか」という問いですが、句の評価と年齢は全く関係ありません。ならば、なぜ投句欄に年齢欄があるのかというと、「句の理解」に、役立つからです。例えば、死をテーマにした句が、十代の作者である場合と、八十代の作者である場合は、解釈鑑賞が全く違ったものになってきます。(私は、「子どもの句だから可愛くていい」といったダブルスタンダードは持ちませんが)子どもの場合、発達年齢は考慮に入れるべきで、小一の子の言葉としては評価できるが、これが高一だとすれば些か……というケースも多々でてきます。時空をワープして創作するのも、俳句を作る楽しみの一つ。あなたの「二十代の頃の子育ての句」を作る楽しみを奪うための「年齢欄」ではなく、それぞれの作品により深く寄り添うための「年齢」という情報であると、ご理解下さい。


シニアトレ桔梗も笑ふ足運び
しせき
夏井いつき先生より
「週二回、シニアトレーニングに通っています。利用者の中に、紙細工の花を毎月飾ってくれる人がいます。その前を行くのは足元の揺らぐ人。造花が笑っているようです」と作者のコメント。
「シニアトレーニング」と書くと長すぎるので、短くしたのは分かりますが、大事なのは、「桔梗も笑ふ足運び」の部分です。紙細工の「桔梗」だと季語としての鮮度は落ちることも考慮にいれて、再考してみましょう。
「週二回、シニアトレーニングに通っています。利用者の中に、紙細工の花を毎月飾ってくれる人がいます。その前を行くのは足元の揺らぐ人。造花が笑っているようです」と作者のコメント。
「シニアトレーニング」と書くと長すぎるので、短くしたのは分かりますが、大事なのは、「桔梗も笑ふ足運び」の部分です。紙細工の「桔梗」だと季語としての鮮度は落ちることも考慮にいれて、再考してみましょう。


帰省して斜めのベランダがらんどう
ふじっこ
夏井いつき先生より
「祖父母の家は不思議な造りで、ベランダが屋根の斜面にありました。祖父は亡くなり、祖母も老人ホームにいる今、帰省しても誰もいない寂寥感を表現したいと思いました」と作者のコメント。
この書き方だと、何か不具合があって、壊れてしまって、ベランダが斜めになっているのだと読めてしまいます。
「祖父母の家は不思議な造りで、ベランダが屋根の斜面にありました。祖父は亡くなり、祖母も老人ホームにいる今、帰省しても誰もいない寂寥感を表現したいと思いました」と作者のコメント。
この書き方だと、何か不具合があって、壊れてしまって、ベランダが斜めになっているのだと読めてしまいます。


新涼や出窓の桔梗ベランダへ
香代
夏井いつき先生より
「新涼や」と、こちらの季語を強くしている意図は分かるのですが、「桔梗」という映像を持った季語の印象が強いものですから、どちらが主役なのか、読みを迷います。


季重なり
西陽差す厨の窓に簾かな
高橋玄彩
夏井いつき先生より
「西日」と「簾」どちらも夏の季語ですね。
「西日」と「簾」どちらも夏の季語ですね。


将門の地や桔梗断つ父の指
あんこ
夏井いつき先生より
「生家は将門ゆかりの地の和菓子屋です。無口な父で、生涯ねりきりに桔梗は作りませんでした。器用な指先を思い出します」
一句に全ての意味を書き込もうとすると、たった十七音しかない俳句の器にギュウギュウ詰めになるため、読者には意味が伝わりにくくなります。更に、ねりきりの「桔梗」だと、季語としての鮮度は低くなります。
「生家は将門ゆかりの地の和菓子屋です。無口な父で、生涯ねりきりに桔梗は作りませんでした。器用な指先を思い出します」
一句に全ての意味を書き込もうとすると、たった十七音しかない俳句の器にギュウギュウ詰めになるため、読者には意味が伝わりにくくなります。更に、ねりきりの「桔梗」だと、季語としての鮮度は低くなります。


蕎麦すするJAF隊員ら桔梗かな
中野史子
夏井いつき先生より
「山形の老舗蕎麦屋で、四人のJAF隊員達が、皆で無言で嬉しそうにざる蕎麦をすすっていました」と作者のコメント。
句材は面白いのですが、例えば「新蕎麦」と「JAF隊員」で一句、「JAF隊員」と「桔梗」で一句と、切り分けてみましょう。
「山形の老舗蕎麦屋で、四人のJAF隊員達が、皆で無言で嬉しそうにざる蕎麦をすすっていました」と作者のコメント。
句材は面白いのですが、例えば「新蕎麦」と「JAF隊員」で一句、「JAF隊員」と「桔梗」で一句と、切り分けてみましょう。


読経のごと虻の羽音よ五番札所
ズッキーニン
夏井いつき先生より
「第67回『城下町の白壁』に投句した句〈読経のごとアブの羽音よ6番所〉が」《ハシ坊と学ぼう!⑬》に採用されました。夏井先生より 『アブが季語になりますから「虻」と漢字でしっかり書きましょう。更に「6番所」は「六番」と漢数字で書くべきでしょうし、「六番札所」と正確に書いたほうがよいですね。後は音数を調整し直して下さい』とアドバイスいただき、迷い悩み考えて、この句になりました。でも、実はまだ混迷状態です」と作者のコメント。
少しずつ前進しておりますよ。字余りは、上五で処理するのが定石ですので、ひっくり返してみましょうか。
添削例
五番札所虻の羽音の読経めく
「第67回『城下町の白壁』に投句した句〈読経のごとアブの羽音よ6番所〉が」《ハシ坊と学ぼう!⑬》に採用されました。夏井先生より 『アブが季語になりますから「虻」と漢字でしっかり書きましょう。更に「6番所」は「六番」と漢数字で書くべきでしょうし、「六番札所」と正確に書いたほうがよいですね。後は音数を調整し直して下さい』とアドバイスいただき、迷い悩み考えて、この句になりました。でも、実はまだ混迷状態です」と作者のコメント。
少しずつ前進しておりますよ。字余りは、上五で処理するのが定石ですので、ひっくり返してみましょうか。
添削例
五番札所虻の羽音の読経めく


紙風船はじけて星の桔梗かな
帷子川ソラ
夏井いつき先生より
「アウトの季重なりでしょうか?」と作者のコメント。
どちらが比喩なのか。それをもう少し明確に書きたいところです。
「アウトの季重なりでしょうか?」と作者のコメント。
どちらが比喩なのか。それをもう少し明確に書きたいところです。


受付へ託す絞りの桔梗かな
落花生の花
夏井いつき先生より 評価 並
「抽選で当たった、おウチde俳句大賞授賞式の会場・松本楼。庭の桔梗が雨に打たれて横たわっていたので、起こすついでに『そうだ! 今月の兼題が桔梗だし、組長と正人さんにも絞り桔梗を見て頂こう!』と、慌てて和菓子屋の包装紙に包んで電車に乗り、受付の方に託した記念です」と作者のコメント。
この句は並選であることをお伝えした上で、その節は、桔梗をありがとう。私のブログにも写真をアップしましたが、ホテルの部屋に持って帰って、しばし楽しませていただきました。
この句は並選であることをお伝えした上で、その節は、桔梗をありがとう。私のブログにも写真をアップしましたが、ホテルの部屋に持って帰って、しばし楽しませていただきました。


一輪の紫陽花ベランダの笑顔
鈴花
紫陽花の一輪咲くや吾のごとし
鈴花
夏井いつき先生より
小さな花が集まった球のように咲くのが「紫陽花」です。しかも、この特徴を考えた時、「一輪」という書き方に違和感があります。更に、「紫陽花」とあれば咲いていることが前提ですので、敢えて「咲く」という動詞を使う必要もありません。
小さな花が集まった球のように咲くのが「紫陽花」です。しかも、この特徴を考えた時、「一輪」という書き方に違和感があります。更に、「紫陽花」とあれば咲いていることが前提ですので、敢えて「咲く」という動詞を使う必要もありません。


新涼に爪切る音の硬きかな
深山ほぼ犬
夏井いつき先生より
「『硬き』か『硬さ』かで迷ったのですが……」と作者のコメント。
「硬き」「硬さ」の選択よりも、上五「新涼に」の「に」が一番の問題点です。この「に」をどう解消するかによって、下五の展開も変わってきます。
「『硬き』か『硬さ』かで迷ったのですが……」と作者のコメント。
「硬き」「硬さ」の選択よりも、上五「新涼に」の「に」が一番の問題点です。この「に」をどう解消するかによって、下五の展開も変わってきます。



