第70回「ベランダの桔梗」《ハシ坊と学ぼう!⑥》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
チェンバロのカノンに桔梗開き初む
ミセスコロンボ
夏井いつき先生より
〈チェンバロのカノン桔梗の開き初む〉とすれば、人選です。


苦手客粗相無きを桔梗に誓う
パンダスミレ
夏井いつき先生より
「最初に〈白桔梗今日は苦手なお客様〉と作りました。すっとした桔梗の様に、粗相無く応対出来れば良いなと思い……。お客様が気取って苦手と読めるかな(?)と思い、投句に変えました」と作者のコメント。
初案のほうが、さらりと素直で分かりやすいです。初案ならば、人選。
初案のほうが、さらりと素直で分かりやすいです。初案ならば、人選。


ホルムズの不穏凛と咲く桔梗よ
東九おやぢ
夏井いつき先生より
「ありきたりですが、花言葉を調べると『永遠の愛:戦に出た夫を十年待ち続けた若い娘の名前が「桔梗」だった』とありました。そこで中東情勢に目を転じ、各国の兵士の妻たちの気持ちを詠んでみました。『凛』という一文字で、揺るがぬ気持ちを表現したつもりです。最後に『よ』をつけるかどうか悩んだまま、投句しました」と作者のコメント。
「ホルムズの不穏」と「桔梗」の取り合わせは面白いです。「桔梗」に対する「凜と咲く」という措辞は、非常にありがち。ここを一考してみましょう。
「ありきたりですが、花言葉を調べると『永遠の愛:戦に出た夫を十年待ち続けた若い娘の名前が「桔梗」だった』とありました。そこで中東情勢に目を転じ、各国の兵士の妻たちの気持ちを詠んでみました。『凛』という一文字で、揺るがぬ気持ちを表現したつもりです。最後に『よ』をつけるかどうか悩んだまま、投句しました」と作者のコメント。
「ホルムズの不穏」と「桔梗」の取り合わせは面白いです。「桔梗」に対する「凜と咲く」という措辞は、非常にありがち。ここを一考してみましょう。


ベランダの乾いた鉢へソーダ水
夏至ノ硝子
夏井いつき先生より
「『乾いた土へ』とどっちが良いか、迷いました」と作者のコメント。
この取り合わせだと、「乾いた鉢へ」にしても「乾いた土へ」にしても、「ソーダ水」をかけている? と読まれてしまう可能があります。
「『乾いた土へ』とどっちが良いか、迷いました」と作者のコメント。
この取り合わせだと、「乾いた鉢へ」にしても「乾いた土へ」にしても、「ソーダ水」をかけている? と読まれてしまう可能があります。


白桔梗大きくひらいてしづかなり
竹玲
夏井いつき先生より
「『なり』を初めて使ってみました」と作者のコメント。
中七を「~ひらき」とすれば、人選です。
中七を「~ひらき」とすれば、人選です。


冬ざれや巨人うなだれ富士を越ゆ
丸山美樹
夏井いつき先生より
「第56回『バスからの眺め』の〈貝寄風や巨人うなだれ富士を越ゆ〉を推敲しました。色々考えましたが、やはり、季語の『貝寄風』に問題があるんじゃないかな、と思いました。材料が多すぎる、というご指摘に悩みましたが、『貝寄風』にやはり意味がありますので、まずはそれを取り、思い切ってどん底の寂しさと言いますか、『冬ざれ』でがっかりしまくった、『巨人』では如何かと考えましたが、どうでしょうか」と作者のコメント。
「冬ざれや」と詠嘆してみる。良き判断かと。あとは、この「巨人」にどんな寓意が込められているのか。「富士を越ゆ」で、どこまで読み解けるか。最後の関門ですね。
「第56回『バスからの眺め』の〈貝寄風や巨人うなだれ富士を越ゆ〉を推敲しました。色々考えましたが、やはり、季語の『貝寄風』に問題があるんじゃないかな、と思いました。材料が多すぎる、というご指摘に悩みましたが、『貝寄風』にやはり意味がありますので、まずはそれを取り、思い切ってどん底の寂しさと言いますか、『冬ざれ』でがっかりしまくった、『巨人』では如何かと考えましたが、どうでしょうか」と作者のコメント。
「冬ざれや」と詠嘆してみる。良き判断かと。あとは、この「巨人」にどんな寓意が込められているのか。「富士を越ゆ」で、どこまで読み解けるか。最後の関門ですね。


五月雨のベランダ焼くか節介か
ガジュマル新山
夏井いつき先生より
「最近、家族連れが引っ越してきました。雨なのに、ベランダに子供服が干してあります。お国柄かな? 気付かないのかな? お留守かな? 隣の人が教えてあげたらいいのにと思っていましたが、私がすればいいのかと思いました。しかし、要らぬ世話になりそうだとも思いました。小心者の私は心の中で『雨ですよ』と叫ぶのでした」と作者のコメント。
確かに「お節介を焼く」という言い回しはありますが、この語順だと「ベランダ」を「焼く」? と変な方向に誤読が動き出す可能性があります。お節介を焼くか焼かないか、ということを説明するのではなく、雨が降り出したのに、干されたままになっている子供服を映像として描写してみましょう。
「最近、家族連れが引っ越してきました。雨なのに、ベランダに子供服が干してあります。お国柄かな? 気付かないのかな? お留守かな? 隣の人が教えてあげたらいいのにと思っていましたが、私がすればいいのかと思いました。しかし、要らぬ世話になりそうだとも思いました。小心者の私は心の中で『雨ですよ』と叫ぶのでした」と作者のコメント。
確かに「お節介を焼く」という言い回しはありますが、この語順だと「ベランダ」を「焼く」? と変な方向に誤読が動き出す可能性があります。お節介を焼くか焼かないか、ということを説明するのではなく、雨が降り出したのに、干されたままになっている子供服を映像として描写してみましょう。


山深し桔梗揺れたり無人駅
秋野たんぽぽ
夏井いつき先生より
「~深し」の形容詞の終止形、「~たり」の助動詞の終止形でそれぞれ切れますので、全体が三段切れになります。どちらか一方を繋げると問題は解消します。〈山深く桔梗揺れたり/無人駅〉あるいは〈山深し/桔梗揺れたる無人駅〉の二択です。
「~深し」の形容詞の終止形、「~たり」の助動詞の終止形でそれぞれ切れますので、全体が三段切れになります。どちらか一方を繋げると問題は解消します。〈山深く桔梗揺れたり/無人駅〉あるいは〈山深し/桔梗揺れたる無人駅〉の二択です。


桔梗がはやい出番にお披露目よ
かんな
夏井いつき先生より
「気候変動でお花もびっくりかな」と作者のコメント。
気候変動を描きたいのならば、「お披露目よ」は少し軽すぎるかも。
「気候変動でお花もびっくりかな」と作者のコメント。
気候変動を描きたいのならば、「お披露目よ」は少し軽すぎるかも。


桔梗や海を知らざるヒトデかな
小沼天道
夏井いつき先生より
「や」「かな」と切れ字が重なると、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。
「や」「かな」と切れ字が重なると、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。


桔梗は青し予定日の三日前
嗚呼 みこえ
夏井いつき先生より
「大きな鉢に植え替えた桔梗が弾けて青い。予定日に生まれるだろうか」と作者のコメント。
「予定日三日前」とすれば、人選です。
「予定日三日前」とすれば、人選です。


吊るしてる桔梗を今日は窓際へ
虹博筋
夏井いつき先生より
「下五は最後まで『に』と『へ』で悩みました。『に』のカット切り替わり方、説明臭さが強くなるため、『へ』にしました。『ベランダ』を使うと、季重なりになるので『窓際』に変えました」と作者のコメント。
中七下五は、考察どおりの効果になりました。惜しいのは、上五。「吊るしてる」が分かりにくいです。桔梗を吊るすって、どんなふうに?
「下五は最後まで『に』と『へ』で悩みました。『に』のカット切り替わり方、説明臭さが強くなるため、『へ』にしました。『ベランダ』を使うと、季重なりになるので『窓際』に変えました」と作者のコメント。
中七下五は、考察どおりの効果になりました。惜しいのは、上五。「吊るしてる」が分かりにくいです。桔梗を吊るすって、どんなふうに?


籠城の膳の軽さや桔梗添へ
繁茂おじ
夏井いつき先生より
「某戦国創作漫画からインスピレーションを得ました。籠城の果ての末期の膳に、桔梗を添えて玉砕を決起します。漫画を読んでいても、俳句がチラつくまでに成長しました!」と作者のコメント。
素晴らしい成長です! 更なる成長を意図するならば、「籠城の膳」だけで「軽さ」は想像できます。さあ、どうする?
「某戦国創作漫画からインスピレーションを得ました。籠城の果ての末期の膳に、桔梗を添えて玉砕を決起します。漫画を読んでいても、俳句がチラつくまでに成長しました!」と作者のコメント。
素晴らしい成長です! 更なる成長を意図するならば、「籠城の膳」だけで「軽さ」は想像できます。さあ、どうする?



