写真de俳句の結果発表

第70回「ベランダの桔梗」《ハシ坊と学ぼう!⑭》

ハシ坊 NEW

第70回のお題「ベランダの桔梗」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

家出する朝に桔梗のファンファーレ

常然

夏井いつき先生より
「晴れやかな気持ちで家出をすれば、桔梗も背中を押してくれるでしょうか」と作者のコメント。

中七の助詞「に」を、「を」「や」「よ」のどれかに変えると、それぞれニュアンスは微妙に変わりますが、人選です。
“ポイント”

お隣の風呂音高き溽暑かな

全代

夏井いつき先生より
第68回『監視カメラに鵜』〈お隣の風呂音高き薄暑かな〉の推敲です。『薄暑』がベストか一考とのご指摘をいただき、『溽暑』としました」と作者のコメント。

「溽暑」を選ぶのであれば、「溽暑なり」ぐらいに言い切った方が良いでしょう。「~なり」だと人選です。
“ポイント”

桔梗へ水今日のいて座は第四位

ボイス&フィンガー

夏井いつき先生より
季語が動くか動かないか、という点において、何かあと一工夫欲しく。
“参った”

一浪の身にひらきたる初桔梗

小澤翔明

夏井いつき先生より
「志望大学に入れず、一浪をし、落ち込んでいたときに鎌倉の瑞泉寺に行き、咲いていた桔梗の凛とした姿を見て、気持ちを新たに来年の受験に向かっていこうと決意したことを詠みました」と作者のコメント。

季語としての「桔梗」は、咲いている・開いていることが前提ですので、「ひらきたる」と書かなくてもOKです。凜とした感じを表現したかったのならば……

添削例
一浪の身にけざやかな初桔梗
“ポイント”

抜き襟に細きうなじの桔梗かな

慈庵風

夏井いつき先生より
桔梗を人物に喩えているのか、人物を桔梗にたとえているのか。微妙に分かりにくい……。
“参った”

庭園や路傍の桔梗しただれり

つのりゅう

夏井いつき先生より
「名古屋市の白鳥公園で桔梗が咲いていました。数は少なく小さめでしたが、夜来の雨があがった朝で、まだ濡れそぼっていました」と作者のコメント。

「しただれ」は、「滴る」=「下垂る」の意。古くは「しただる」とも、と辞書に記述があるようです。
① 水などが、しずくになって垂れ落ちる。
② 美しさや鮮やかさがあふれるばかりに満ちている。
二つの意味のどちらも含めて、この言葉を選択しているのかもしれません。ただ、「庭園」「路傍」と地理的な情報が重なっているのはもったいないですね。
“ポイント”

指折りて秋の七草臥す母と

紀子

夏井いつき先生より
「高齢で、ほとんどベッドに寝たきりの母との時間。二人で、秋の七草を思い出している様子です」と作者のコメント。

語順が惜しいです。

添削例
臥す母と秋の七草かぞへをり
“ポイント”

母の忌の白檀の香や白桔梗

志澤紫子

夏井いつき先生より
「桔梗というと悲しみの席を思います。仏壇に供えられている部屋が浮かびました」と作者のコメント。

「母の忌」と「白桔梗」の取り合わせだけで、俳句になるだけの句材は整っています。「母の忌」だけで、そこには線香などの匂いのイメージは連れ添ってきますし、中七「白檀」の「白」と下五「白桔梗」の「白」が殺し合います。「白桔梗」を描写してみましょう。
“ポイント”

厨窓透かし息吹の見ゆる朱夏

小泉れもん

夏井いつき先生より
「台所の窓を透明ガラスにしました。解放感と緑を見ていたい気持ちからでしたが、思いがけず近所の人たちの生活の息吹のようなものを感じることができました。新鮮でした」と作者のコメント。

透明ガラスにした開放感を表現したかったのですね。俳句で「見ゆる」という言葉は、不要な場合が多いのです。その点も一考してみましょう。
“ポイント”