写真de俳句の結果発表

第68回「監視カメラに鵜」《ハシ坊と学ぼう!⑬》

ハシ坊 NEW

第68回「監視カメラに鵜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

渋滞中監視カメラのウに和む

星の砂

夏井いつき先生より
「母作です。ゴールデンウィーク初日の混雑と、監視カメラにとまるウのマイペースさを詠みました」と作者のコメント。

季語としての「鵜」は、やはり漢字で書きましょう。
“難しい”

登頂の箱開けるなり竜天に

ヒロヒ

夏井いつき先生より
第65回『バスからの眺め』《並》⑥〈山頂の午後一時半竜天に〉を推敲しました。やっと辿り着いた山頂で弁当を食べようとした瞬間に、雨が降ってきたという実話を大袈裟に表現しました。『登頂の』『登頂に』『登頂で』『登頂や』という上五の選択で迷いました。第62回『バッテリースタンド』《ハシ坊と学ぼう!⑪》〈バッテリースタンド横で着膨れて〉を見直しましたが、今回は『登頂の箱』に託します」と作者のコメント。

「登頂の箱」という詩の言葉には惹かれますが、作者ご自身が表現したかったのは、「やっと辿り着いた山頂で弁当を食べようとした瞬間に、雨が降ってきた」という出来事ですね。だとすれば、「登頂の箱」で弁当箱を想像させるのは、かなり無理があります。更に、「竜天に」は、竜が天へ登っていきそうだという春の時候の季語。雨という情報は、この季語には入っていません。
“参った”

見守りのカメラの母と金魚たち

はっしん

夏井いつき先生より
「叔母に電話をし、何回かかけてでないときは、いとこにラインをします。そうするといとこは見守りカメラで確認してくれます。『カメラの』『カメラに』と助詞で迷いましたが、叔母はいつも定位置に座っていると聞いているので、『の』にしました。『金魚かな』で詠嘆も迷いましたが、夏井先生の本を読み、ここでの詠嘆は違う気がしてそのままの情景にしました」と作者のコメント。

「かな」ではなく、「たち」と複数にして淡々と述べているのは良い判断です。一点のみ、「の」を「に」にすれば、人選です。

添削例
見守りのカメラに母と金魚たち
“ポイント”

子は海へ砂の屯ふハンモック

甲斐杓子

夏井いつき先生より
人選のボタンを押そうとして、ハッと手が止まりました。「屯ふ」は「たむろう」と読むのでしょうか? 辞書を調べてみましたが、
①「屯する(屯す)」たむろする
②「屯む」なやむ
しかでてきませんでした。
“ポイント”

四万十にざんざめきたる川鵜かな

霜川このみ

夏井いつき先生より
「に」「かな」が的確か。ここは一考の余地があります。
“参った”

神の目の死角嘲る鵜の黒衣

沖庭乃剛也

夏井いつき先生より
「嘲る」と「黒衣」、二つの擬人化が入ると、お互いを殺し合います。どちらか一つにして、整えてみましょう。
“ポイント”

お隣の風呂音高き薄暑かな

全代

夏井いつき先生より
「現代はいろんな場所に監視カメラがあるように、思わぬところで見られたり、聞かれていたりすることがあります。お隣の風呂場の窓と我家の寝室の窓が近接していて、気温が上がって窓を空けてたりすると、音がかなり響きます」と作者のコメント。

上五中七の距離感、聞こえてくる音のリアル。よく分かります。下五「薄暑」がベストなのか。一考の価値はありそうです。
“難しい”

薄暑へと長距離バスのタイヤ跡

森ともよ

夏井いつき先生より
「薄暑」は映像を持たない季語なので、「薄暑へと」という書き方に、ささやかな違和感を持ちます。
“ポイント”

春雷や補聴器狂う仮校舎

悠美子

夏井いつき先生より
「春雷」と「補聴器狂う」だけで、一句になるだけの分量が十分あります。「仮校舎」という情報を外して、再考してみましょう。
“ポイント”

鵜の眼翠玉色の底深き

柳翠

夏井いつき先生より
「鵜のことを調べた時に、眼の色がエメラルドグリーンであるのを初めて知りました。吸い込まれそうなブルーを詠んでみました」と作者のコメント。

「鵜」について調べるというのは、とても大切なアプローチです。例えば、語順を替えるとどう印象が違うか。分析してみましょう。

添削例
底深き翠玉色や鵜の眼
“ポイント”