写真de俳句の結果発表

第71回「芒野と風車」《ハシ坊と学ぼう!⑩》

ハシ坊 NEW

第71回のお題「芒野と風車」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

秋晴にプロペラ機来る真正面

和脩志

夏井いつき先生より
「地震のあと、空を飛ぶヘリは救助のために必死だろう。でも本当は、ただ秋晴の空を飛ぶだけの日もあるはずだ」と作者のコメント。

「に」のみ、要一考です。
“ポイント”

芒原抜ければ渋谷ネオン街

高見 正太

夏井いつき先生より
「芒原を抜けると、希望の街に辿りつける思いです」と作者のコメント。

やりたいことは分かるのですが、「抜ければ」からの展開が少し強引です。
“ポイント”

尾花咲く小さき古書店押すやうに

古乃池 糸歩

夏井いつき先生より
「押すやうに」という比喩は、どんな感覚なのでしょう。小さき古書店の扉を押す? そのあたりが、少し分かりにくいかと。
“ポイント”

引揚げの貨車より見上ぐ旱星

なみきたか

夏井いつき先生より  
「第59回ハシ坊〈引揚船吾子ふたりの遺骨溽暑〉で、句材が多く切り分けたほうが良いとご指導いただき、再度挑戦しました」と作者のコメント。

同時投句のもう一句も、良い推敲が出来ていますよ。この句の惜しいのは、「~より見上ぐ」の部分ですが、「見上ぐ」が「旱星」に掛かっていくのなら、「見上ぐる」となります。下五に「旱星」がでてくれば、当然見上げていますから、「見上ぐ」はそもそも不要でしょう。この三音分を、季語「旱星」の描写に使ってみましょう。
“ポイント”

すすきのの風鷲掴む風車

中島タカシ

夏井いつき先生より
下五は「風車(かざぐるま)」と読ませるのでしょうか。「かざぐるま」は春の季語になります。
“ポイント”

無人機を斜面に這わせ薄刈る

陽

夏井いつき先生より
「薄見物の帰りに、急斜面で薄を無人機で刈っている人たちに会いました。機械がした後の始末も大変な作業だと思いました」と作者のコメント。

下五を「刈る薄」とすれば、人選です。
“ポイント”

風車らしきものドーバーの海霧に立つ

朱鷺

夏井いつき先生より
「ドーバーの海霧」の中に立つ「風車」、描こうとしている光景はよいですね。「~らしきもの」という書き方だと、かなりの音数を使ってしまいます。ここに工夫の余地がありそうです。
“ポイント”

落柿舎に月見の夢や京の秋

長谷部憲二

夏井いつき先生より
「昨年(2025年)の秋に京都に行った時、落柿舎を拝見しました。木戸を入ったとたんに、昔、小さいころに近所の子供たちが、誰かの家に集まって『お月見』をしたことを思い出しました。下五を『秋の宵』とするか、『芒揺れ』としたらよいか、迷いました。でも、いずれもベタな気もしています」と作者のコメント。

材料がきれいに揃いすぎている感もあります。「落柿舎」とあれば、「京」はなくても分かりますね。
“難しい”

秋の空寂しさを餌に発電す

ちよ坊

夏井いつき先生より
「寂しさ」を「餌」にするという発想は良いですね。助詞「に」が少々気になります。叙述を少し工夫してみましょう。
“ポイント”

芒野や波打つ髪に辞職決め

銀猫

夏井いつき先生より
助詞「に」が気になります。語順を含めて再考してみましょう。
“難しい”

風車芒に影帽子放ち

一 富丸

夏井いつき先生より
「風車(ふうしゃ)」だと音数が足りませんね。「風車(かざぐるま)」と読ませるのでしょうか。だとすれば、春の季語になってしまいますね。
“ポイント”

芒舞ふ抜けられませう獣道

芳生

夏井いつき先生より
「舞う」という動詞のみ、一考してみましょう。
“ポイント”

炎昼の配送右前に風車

雄蹴

夏井いつき先生より
「真夏の車の運転は、精神的にもキツイと思います」と作者のコメント。

「風車(ふうしゃ)」との遠近感が分かりにくい書き方です。まさか「風車(かざぐるま)」ではないですよね。春の季語だし。
“参った”

電気柵巡らす風車の村の芒原

山崎三才

夏井いつき先生より
描写しようとしている光景は良いですね。単語を1~2つ減らして、調べを整えてみましょう。
“参った”

蒼天に真白き風を受く風車

天弓

夏井いつき先生より
上五「~に」が気になることが一点。「受く」が「風車」に掛かるとすれば「受くる」と連体形になります。
“参った”