第23回「カメラと夕焼け」《ハシ坊と学ぼう!③》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
ブラジルの祖母照りに行く秋夕焼
若松伯楽
夏井いつき先生より
「ブラジルの祖母」と「秋夕焼」の取り合わせはよいのですが、「照りに行く」が分かりにくい。この夕焼が、地球を半周してブラジルへ、という句意かとは思いますが、その表現には無理があります。
「ブラジルの祖母」と「秋夕焼」の取り合わせはよいのですが、「照りに行く」が分かりにくい。この夕焼が、地球を半周してブラジルへ、という句意かとは思いますが、その表現には無理があります。


電線と山が切り絵のごと夕焼け
たまふく
夏井いつき先生より
一つの文章を削って、五七五の音数に入れたというタイプの句です。「~のごと」と直喩にしなくても、比喩だと分かりますので、そこから推敲してみましょう。
一つの文章を削って、五七五の音数に入れたというタイプの句です。「~のごと」と直喩にしなくても、比喩だと分かりますので、そこから推敲してみましょう。


夕焼けの嗚呼目まぐるしファインダーは
柿司
夏井いつき先生より
「嗚呼目まぐるし」はちょっと大げさ。「夕焼け」と「ファインダー」だけでやれそうです。「夕焼けのファインダー」として、残りの音数を工夫してみましょう。
「嗚呼目まぐるし」はちょっと大げさ。「夕焼け」と「ファインダー」だけでやれそうです。「夕焼けのファインダー」として、残りの音数を工夫してみましょう。


夏闇の底見晴るかす猫のいて
迦楼羅(かるら)
夏井いつき先生より
「夏闇の底」に対して、「見晴るかす」という広々とした感じに違和感があります。
「夏闇の底」に対して、「見晴るかす」という広々とした感じに違和感があります。


夕焼けよ明日海外赴任す夫よ
しら露
夏井いつき先生より
「『夕焼け→ゆやけ』、『夫→つま』です」と作者のコメント。
「赴任す」は終止形なので、そこに意味上の切れが生じます。赴任かも、と想像することはできるかと思いますので、以下のような書き方でもよいのではないかと。
添削例
夕焼よ明日海外へ発つ夫よ
「『夕焼け→ゆやけ』、『夫→つま』です」と作者のコメント。
「赴任す」は終止形なので、そこに意味上の切れが生じます。赴任かも、と想像することはできるかと思いますので、以下のような書き方でもよいのではないかと。
添削例
夕焼よ明日海外へ発つ夫よ


アザラシの腹おもうかな夏の帰路
豊嶋大空
夏井いつき先生より
「アザラシの腹」と「夏」の取り合わせは、よいと思います。が、「おもうかな」は一考の余地があります。
「アザラシの腹」と「夏」の取り合わせは、よいと思います。が、「おもうかな」は一考の余地があります。


大夕焼空に咲く花まだ淡く
ちぇりぴー
夏井いつき先生より
「三年ぶりの花火大会の始まりです」と作者のコメント。
「空に咲く花」=「花火」という比喩は、案外あるんですよね。「大夕焼」という季語と、お互いを殺しあってしまうのも残念。
「三年ぶりの花火大会の始まりです」と作者のコメント。
「空に咲く花」=「花火」という比喩は、案外あるんですよね。「大夕焼」という季語と、お互いを殺しあってしまうのも残念。


夕焼のブルー恋しき火星人
山﨑後屈
夏井いつき先生より
「2022年7月に俳句を始めた初心者です。人生初の投句になります。火星の夕焼は青いらしく、兼題写真の女性が故郷の星に戻れない生命体のように感じたので、この句にしました。中七の『恋しき』は安直すぎるかと思います。『探す』『問う』など他の表現も考えましたが、しっくりこないので、ストレートなままにしました」と作者のコメント。
下五が読み取りにくい。作者のコメントを読めば、ああそういうことかと、分かりはするのですが。
コメントの中にある「火星の夕焼は青い」というフレーズを使って、再考してみましょう。
「2022年7月に俳句を始めた初心者です。人生初の投句になります。火星の夕焼は青いらしく、兼題写真の女性が故郷の星に戻れない生命体のように感じたので、この句にしました。中七の『恋しき』は安直すぎるかと思います。『探す』『問う』など他の表現も考えましたが、しっくりこないので、ストレートなままにしました」と作者のコメント。
下五が読み取りにくい。作者のコメントを読めば、ああそういうことかと、分かりはするのですが。
コメントの中にある「火星の夕焼は青い」というフレーズを使って、再考してみましょう。


夕焼けに穴場にすだく撮り鉄屋
鳥井森春(しんしゅん)
夏井いつき先生より
「夕焼けに」「穴場に」という意味は分かるのですが、俳句としては、せめて「夕焼けや」と詠嘆するほうがよいかと。
「夕焼けに」「穴場に」という意味は分かるのですが、俳句としては、せめて「夕焼けや」と詠嘆するほうがよいかと。


地獄絵の真緋に染まりし原爆忌
三橋くおん
夏井いつき先生より
「染まりし」は説明。「地獄絵の真緋」と「原爆忌」を取り合わせるだけで、言いたいことは伝わります。
「染まりし」は説明。「地獄絵の真緋」と「原爆忌」を取り合わせるだけで、言いたいことは伝わります。

