第23回「カメラと夕焼け」《ハシ坊と学ぼう!⑤》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
コダックで撮る浮かび出る富士と夕焼
伊呂八 久宇
夏井いつき先生より
「浮かび出る」は必要ですか?
「浮かび出る」は必要ですか?
夕茜空飛ぶ金魚アリスの眼
晴芽みやび
夏井いつき先生より
この「金魚」は、雲の比喩ですか? だとすると、季語としての力は弱くなります。
この「金魚」は、雲の比喩ですか? だとすると、季語としての力は弱くなります。
束の間の夕焼に染まる秘境駅
今西 知巳
夏井いつき先生より
「染まる」は必要ですか。
「染まる」は必要ですか。
帰路に就く涼し寝顔の生徒撮る
茅野逢斗
夏井いつき先生より
「涼し」は、帰路が涼しいのでしょうか。「寝顔の生徒」でしょうか。前者ならば、「涼しさ」になりますし、後者ならば、「涼しき」となります。それらも含めて、全体を推敲してみましょう。
「涼し」は、帰路が涼しいのでしょうか。「寝顔の生徒」でしょうか。前者ならば、「涼しさ」になりますし、後者ならば、「涼しき」となります。それらも含めて、全体を推敲してみましょう。
叱られて狐遠吠え姉来たる
こころ美人
夏井いつき先生より
「母に叱られて家を出、田んぼの中で心細かったとき、狐の遠吠えに続いて姉の声が聞こえました。今でも夕焼は少し怖いです」と作者のコメント。
全部の情報を一句で語るのは無理があります。まずは、「叱られた」ことと「狐の遠吠え」で一句。「迎えに来てくれた姉」と「夕焼が怖い」で一句。作り直してみましょう。他に投句されていた二句も同じ要領で、推敲してみましょう。
「母に叱られて家を出、田んぼの中で心細かったとき、狐の遠吠えに続いて姉の声が聞こえました。今でも夕焼は少し怖いです」と作者のコメント。
全部の情報を一句で語るのは無理があります。まずは、「叱られた」ことと「狐の遠吠え」で一句。「迎えに来てくれた姉」と「夕焼が怖い」で一句。作り直してみましょう。他に投句されていた二句も同じ要領で、推敲してみましょう。
濃夕焼その五百歩を歩まざる
緑萌
夏井いつき先生より
「濃夕焼」ではなく「夕焼濃し(ゆやけこし)」とすべきでしょう。
「濃夕焼」ではなく「夕焼濃し(ゆやけこし)」とすべきでしょう。
セピヤ色夕焼に赤き額の富士
草栞
夏井いつき先生より
「セピア色」かな? さらに、「夕焼」が主たる季語か、「赤富士」かな? 色々分かりにくいところがあります。
「セピア色」かな? さらに、「夕焼」が主たる季語か、「赤富士」かな? 色々分かりにくいところがあります。
こだわりてマニュアルで写す大夕焼
山田企鵝
夏井いつき先生より
「デジタルでオート撮影なら、忠実に再現できそうですが、やはり感動した風景はマニュアルでフィルムカメラで撮りたいです」と作者のコメント。
「こだわりて」は説明です。
「デジタルでオート撮影なら、忠実に再現できそうですが、やはり感動した風景はマニュアルでフィルムカメラで撮りたいです」と作者のコメント。
「こだわりて」は説明です。
夕焼け撮る地球のへそウルル燃え
雅空
夏井いつき先生より
「オーストラリアのエアーズロック(ウルル)を見て、その雄大さに感動しました」と作者のコメント。
「ウルル」が地名なのか、オノマトペなのか、迷います。地名だとわかるような一工夫が欲しいところ。
「オーストラリアのエアーズロック(ウルル)を見て、その雄大さに感動しました」と作者のコメント。
「ウルル」が地名なのか、オノマトペなのか、迷います。地名だとわかるような一工夫が欲しいところ。
晩夏の猩紅烏の業火の如く
絵月
夏井いつき先生より
「『烏(う)』は、ウクライナ。戦火の色を想像して詠みました」と作者のコメント。
「烏」はウクライナ……は、少々無理があります。
「『烏(う)』は、ウクライナ。戦火の色を想像して詠みました」と作者のコメント。
「烏」はウクライナ……は、少々無理があります。