第59回「色っぽい流木」《ハシ坊と学ぼう!⑥》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
季語なし
流木やひとり佇む黒い海
風花舞
季語なし
流木や旅の終わりに何思ふ
風花舞
夏井いつき先生より
二句ともに、「流木」は季語ではありませんので、何か明確な季語を入れて、推敲してみましょう。
二句ともに、「流木」は季語ではありませんので、何か明確な季語を入れて、推敲してみましょう。


季語なし
流木や分厚く巻いた父の爪
木守柿とど
季語なし
流木や枝葉も皮もそぎ落とし
木守柿とど
夏井いつき先生より
二句ともに、季語がありません。「分厚く巻いた父の爪」の句の場合でしたら、上五に良き季語を取り合わせれば作品として成立します。
二句ともに、季語がありません。「分厚く巻いた父の爪」の句の場合でしたら、上五に良き季語を取り合わせれば作品として成立します。


季重なり
裸足なり漂流の終の灼くる砂
古み雪
夏井いつき先生より
「裸足」「灼く」、どちらも季語ですね。
「裸足」「灼く」、どちらも季語ですね。


季重なり
油照蝉も騒ぎて細る吾
佐藤 啓蟄
夏井いつき先生より
「油照」「蝉」どちらも季語ですね。
「油照」「蝉」どちらも季語ですね。


季重なり
流木や父とさがす春干潟
希子
夏井いつき先生より
「干潟」は春の季語ですから、「春」の一字は不要です。
「干潟」は春の季語ですから、「春」の一字は不要です。


季重なり
人生やここへと流れ夏夕焼
石川潤子
夏井いつき先生より
「夕焼」は夏の季語なので、「夏」と書く必要はありません。
「夕焼」は夏の季語なので、「夏」と書く必要はありません。


舟虫の群れのシンクロ浪高し
オカメのキイ
夏井いつき先生より
「『波高し』はネット検索で冬の季語としているものがありました。『高き波』とも考えましたが、『波』と『浪』の違いを調べて推敲の末、『浪高し』にしました」と作者のコメント。
個人的な印象ですが、ネット検索で季語を調べると、不確定な情報が色々でてきます。例えば、「海」は夏の季語だとか、「卵」は春の季語だとか?! できれば、信頼できる出版社・信頼できる編者による紙の歳時記を一冊お手元におくことを、強く推奨いたします。
「『波高し』はネット検索で冬の季語としているものがありました。『高き波』とも考えましたが、『波』と『浪』の違いを調べて推敲の末、『浪高し』にしました」と作者のコメント。
個人的な印象ですが、ネット検索で季語を調べると、不確定な情報が色々でてきます。例えば、「海」は夏の季語だとか、「卵」は春の季語だとか?! できれば、信頼できる出版社・信頼できる編者による紙の歳時記を一冊お手元におくことを、強く推奨いたします。


みんみんや浜の水道つめたかり
湯屋ゆうや
夏井いつき先生より 評価 人
「つめたかり」という連用形の終わり方については、認める、認めないと意見が分かれます。が、この句の場合は、上五「みんみんや」と詠嘆しての、下五「つめたかり」なので、その後に「つめたかり(けり)」と続くところを、「や」「けり」の重なりを回避したのだろう……と思われるので、個人的には許容したい派です。以上のことを含んだ上で、作者が良しとすれば、人選でよいかと思います。

