第63回「十数年ぶりの大阪」《ハシ坊と学ぼう!⑪》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
旧友や肩を並べて冬の月
ヒロヒ
夏井いつき先生より
「第60回『双子のようなペンギン』《並》〈ペンギンや肩を並べて冬の月〉の推敲句です。原句は私の中で会心の一句だったのですが、《並》でした。どこが会心だったかいうと、原句が出来た瞬間、スガシカオ『夜空ノムコウ』が頭を流れたところです。第58回『趣味は機織』《ハシ坊と学ぼう!》のいつき先生コメントを踏まえて、原句の『ペンギンや』の必然性はあるか、などを考え、今回の推敲句に至りました」と作者のコメント。
中七「肩を並べて」は、ありがちな措辞ですから、上五が「ペンギン」の方が、面白味がありました。「旧友」は、とてもベタです。
「第60回『双子のようなペンギン』《並》〈ペンギンや肩を並べて冬の月〉の推敲句です。原句は私の中で会心の一句だったのですが、《並》でした。どこが会心だったかいうと、原句が出来た瞬間、スガシカオ『夜空ノムコウ』が頭を流れたところです。第58回『趣味は機織』《ハシ坊と学ぼう!》のいつき先生コメントを踏まえて、原句の『ペンギンや』の必然性はあるか、などを考え、今回の推敲句に至りました」と作者のコメント。
中七「肩を並べて」は、ありがちな措辞ですから、上五が「ペンギン」の方が、面白味がありました。「旧友」は、とてもベタです。


ほな行こか単身赴任の春愁や
髙田 純佳
夏井いつき先生より
「大阪から単身赴任に来ていた上司を思い出した一句です。快活な関西弁にも、家族と離れた寂しさを感じました。中七の『の』が字余りだと思ったのですが、リズムが悪かったので入れました。が……どうでしょう?」と作者のコメント。
「春愁」という季語が、少々近い点が気にはなりますが、この内容でしたら、語順は逆です。
添削例
ほな行こか春愁の単身赴任
「大阪から単身赴任に来ていた上司を思い出した一句です。快活な関西弁にも、家族と離れた寂しさを感じました。中七の『の』が字余りだと思ったのですが、リズムが悪かったので入れました。が……どうでしょう?」と作者のコメント。
「春愁」という季語が、少々近い点が気にはなりますが、この内容でしたら、語順は逆です。
添削例
ほな行こか春愁の単身赴任


師走なり眠らぬ街道頓堀
文心美
夏井いつき先生より
「大阪は何回か友人と訪れた事がありますが、いつ行っても賑やかで、夜遅くにホテルから出てみると、慣れてない私は、人の多さにビックリ。師走などは、きっと夜中でも賑やかなんだろうなと思います」と作者のコメント。
「師走なり」と言い切ったところは良いです。「街」と「道頓堀」、イメージの重複があります。「眠らぬ道頓堀」とすれば分かるので、余った音数をどう使うか、考えてみましょう。
「大阪は何回か友人と訪れた事がありますが、いつ行っても賑やかで、夜遅くにホテルから出てみると、慣れてない私は、人の多さにビックリ。師走などは、きっと夜中でも賑やかなんだろうなと思います」と作者のコメント。
「師走なり」と言い切ったところは良いです。「街」と「道頓堀」、イメージの重複があります。「眠らぬ道頓堀」とすれば分かるので、余った音数をどう使うか、考えてみましょう。


黄落の御堂筋間隙を雨
家守らびすけ
夏井いつき先生より
「本当は『御堂筋』と『間隙』の間にスペースを入れたいのですが、確認画面ではスペースが詰められてしまいます……」と作者のコメント。
この内容でしたら、スペースを入れるよりも、語順を逆にするほうが効果的です。
添削例
間隙を雨黄落の御堂筋
「本当は『御堂筋』と『間隙』の間にスペースを入れたいのですが、確認画面ではスペースが詰められてしまいます……」と作者のコメント。
この内容でしたら、スペースを入れるよりも、語順を逆にするほうが効果的です。
添削例
間隙を雨黄落の御堂筋


とんぼりを地元面(づら)して嚔出づ
馬風木瓜子
夏井いつき先生より
「とんぼり=道頓堀の略称、愛称です。」と作者のコメント。
中七で切れを入れると、一句がシャキッとします。そうなると下五も微調整。
添削例
とんぼりを地元面(づら)せり大嚔
「とんぼり=道頓堀の略称、愛称です。」と作者のコメント。
中七で切れを入れると、一句がシャキッとします。そうなると下五も微調整。
添削例
とんぼりを地元面(づら)せり大嚔


街灯がお洒落ねと君燕来る
夜汽車
夏井いつき先生より
「街灯」から始まるので、てっきり夜の光景かと思ってしまいました。「燕来る」という季語を活かすためには、語順が逆でしょうか。
添削例
燕来る街灯がお洒落ねと君
「街灯」から始まるので、てっきり夜の光景かと思ってしまいました。「燕来る」という季語を活かすためには、語順が逆でしょうか。
添削例
燕来る街灯がお洒落ねと君


日本シリーズの厳戒戎橋
常然
夏井いつき先生より
「語順に悩みました。最初は〈厳戒の日本シリーズ戎橋〉でしたが、日本シリーズが厳戒のようになってしまうと思い、この語順にしました。助詞と助詞の位置は最後まで悩みました。『戎橋は』だと季語が置き去りになるのではとも思いました。『戒』と『戎』の漢字を並べることにしました」と作者のコメント。
なるほど、そのニュアンスを伝えたいのですね。季語として使うことに多少不安のある「日本シリーズ」をまずは詠嘆してみましょう。
添削例
日本シリーズや厳戒の戎橋
「語順に悩みました。最初は〈厳戒の日本シリーズ戎橋〉でしたが、日本シリーズが厳戒のようになってしまうと思い、この語順にしました。助詞と助詞の位置は最後まで悩みました。『戎橋は』だと季語が置き去りになるのではとも思いました。『戒』と『戎』の漢字を並べることにしました」と作者のコメント。
なるほど、そのニュアンスを伝えたいのですね。季語として使うことに多少不安のある「日本シリーズ」をまずは詠嘆してみましょう。
添削例
日本シリーズや厳戒の戎橋


『序の舞』を数歩退きて見る夏休み
青村秋入
夏井いつき先生より
「今年の夏は、上村松園展を見るためだけに大阪まで行きました。初めてみた『序の舞』は、想像より大きくて迫力があり、近づくと全体が見えないため、展示室の後ろまて行ってやっと全体像を拝めました」と作者のコメント。
語順は逆でしょう。場合によっては、もっと似合う季語が見つかるかもしれません。
添削例
数歩退き観る「序の舞」や夏休み
「今年の夏は、上村松園展を見るためだけに大阪まで行きました。初めてみた『序の舞』は、想像より大きくて迫力があり、近づくと全体が見えないため、展示室の後ろまて行ってやっと全体像を拝めました」と作者のコメント。
語順は逆でしょう。場合によっては、もっと似合う季語が見つかるかもしれません。
添削例
数歩退き観る「序の舞」や夏休み


水洟や爺は王手で決まりやで
山本とりこ
夏井いつき先生より
「水洟」「王手で決まりやで」は良いのですが、「爺は」は、どこからどこまでに掛かっていくのか。悩みました。
「水洟」も「王手で決まりやで」と言ってるのも爺? あるいは、自分が「水洟」をかんでいて、爺に言われている? 語順を考えてみてもいいのかも。
「水洟」「王手で決まりやで」は良いのですが、「爺は」は、どこからどこまでに掛かっていくのか。悩みました。
「水洟」も「王手で決まりやで」と言ってるのも爺? あるいは、自分が「水洟」をかんでいて、爺に言われている? 語順を考えてみてもいいのかも。


冬晴や街に方言弾みけり
清水ぽっぽ
夏井いつき先生より
「や」「けり」と切字が重なると、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つを外して、全体を整えなおして下さい。
「や」「けり」と切字が重なると、感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つを外して、全体を整えなおして下さい。


大鍋の能登のマルシェと銀杏の木
藤康
夏井いつき先生より
「銀杏まつりにて、能登支援のマルシェが開催されていました」と作者のコメント。
「銀杏の木」は、季語になりません。「銀杏黄葉」「銀杏散る」などは、銀杏の黄色い葉として季語になりますし、「銀杏(ぎんなん)」は実としての季語になります。
「銀杏まつりにて、能登支援のマルシェが開催されていました」と作者のコメント。
「銀杏の木」は、季語になりません。「銀杏黄葉」「銀杏散る」などは、銀杏の黄色い葉として季語になりますし、「銀杏(ぎんなん)」は実としての季語になります。


大阪の地下で迷いしクリスマス
石田ひつじ雲
夏井いつき先生より
今、まさに迷っている状態であることで、季語「クリスマス」の鮮度が保てます。
添削例
大阪の地下に迷えるクリスマス
今、まさに迷っている状態であることで、季語「クリスマス」の鮮度が保てます。
添削例
大阪の地下に迷えるクリスマス


腹減りに串カツの香よ熱燗よ
天弓
夏井いつき先生より
「十年ほど前に、初めて行った新世界に満ちていた串カツの香りを思い出して詠みました」と作者のコメント。
上五の「に」は要注意の助詞です。上五に腹が減っていることを書くのか、どんな場所かを書くのか、どんな状況でいるかを書くのか。色んな選択肢があります。
「十年ほど前に、初めて行った新世界に満ちていた串カツの香りを思い出して詠みました」と作者のコメント。
上五の「に」は要注意の助詞です。上五に腹が減っていることを書くのか、どんな場所かを書くのか、どんな状況でいるかを書くのか。色んな選択肢があります。


人型の古墳紅葉で化粧なり
納平華帆
夏井いつき先生より
「古墳」と「紅葉」の取り合わせはよいのですが、「~で化粧なり」は散文的な書き方ですし、そもそもその情報は不要です。再考してみましょう。
「古墳」と「紅葉」の取り合わせはよいのですが、「~で化粧なり」は散文的な書き方ですし、そもそもその情報は不要です。再考してみましょう。



