写真de俳句の結果発表

第69回「日本最古のビアホール」《ハシ坊と学ぼう!③》

ハシ坊 NEW

第69回「日本最古のビアホール」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ビル風よ吹くな桜の咲き初むる

青蛙

夏井いつき先生より   評価    人 
第66回の投句〈ビル風よ吹くな桜の咲き初める〉で『咲き初める』となっていて、活用が間違っていました。送ってすぐに気がついたのですが、手遅れでした。これからはよく見直してから送信します。ところで、ここに書いた文章を修正することが、上手くできません。どうしたらいいのでしょう?」と作者のコメント。

これで、人選ですね。「ところで、ここに~」に続く質問ですが、これも送信する前に読み直して頂くしかないかと。
“ポイント”

歯のたのしソーセージてふ薬喰

清水縞午

夏井いつき先生より   評価    人 
「上五でどんな風に描写しようかと思いました。イノシシやシカの焼肉や鍋は良くありますが、ソーセージもあります。『薬喰』といっていいと思うのですが……」と作者のコメント。

「薬喰」という季語の使い方が面白い一句。勿論このままでも人選なんですが、上五を「歯たのし」として、(「日短か」を「日・短か」と読むように)音にならない一拍を入れると、ソーセージを噛む時のパリッとした感じがより強くなるかと。
“ポイント”

渦巻くやビールの泡の小宇宙

けーい〇

夏井いつき先生より   評価    並 
「5月28日放送の『プレバト‼︎』で、『小宇宙』は凡人ワードで、殆ど成功例がないということで、あえて一句作ってみました。作ってみて思ったのはやはり『小宇宙』が句の中で浮いていて難しいなということです。同じ凡人ワードでも、例えば『無人駅』とかだとしっかりとした映像があるので、やり方次第ではなんとかなりそうですけど、『小宇宙』はイメージだけがふわっとしているので、だったらきちんと描写しろ、となりそうに思います」と作者のコメント。

この句自体は並選ですが、こうやって試してみるというのは、とても大事。やってみたから、同じ凡人ワード「小宇宙」と「無人駅」の違いが、的確に分析できているのだと思います。
“ポイント”

あの夏のあの一杯に酒を知る

きみこ

夏井いつき先生より   評価    並 
『城下町の白壁』の投句で、一句目〈城壁の弾痕のあと蓮見ひらく〉は変換間違いで、訂正後の〈城壁の弾痕のと蓮ひらく〉も間違って送信してしまいました。正しくは〈城壁の弾痕のあと蓮ひらく〉でした。それでもハシ坊でご指導いただきありがとうございました。『城壁の弾痕』とあれば『あと』であることは分かる、残りの音数で季語の『蓮』を描写してみようとのご指導をいただきました。〈城壁の弾痕蓮空見つめる〉としてみました」と作者のコメント。

まず、この句は並選を確保できていますよ。そして、コメントにある〈城壁の弾痕蓮空見つめる〉は、後半を「蓮は空見つむ」とすれば人選です。
“ポイント”

花の下に読むささやかな婚活

殻ひな

夏井いつき先生より   評価    並 
第66回『お台場の桜』でハシ坊に取り上げていただいた〈婚活と言えないほどの桜まじ〉の推敲句です。 発想がいいとおっしゃっていただけてとても嬉しかったです。ありがとうございました」と作者のコメント。

映像になり始めましたね。これで、並選は確保です。「花の下」で何を読んでいるのでしょう? ブライダル雑誌の類でしょうか? 相手からの手紙? 婚活イベントのお誘い? その辺りのヒントが一語あれば、一気に人選にいけそうです。
“ポイント”

尺玉に照りし頬や杯上げり

樂山 詩恩

夏井いつき先生より  
「尺玉」に夏の季感があるとしたとしても、中七が一音足りない点、「し」は基本的に過去に意味になる点など気になります。
“ポイント”

花嫁と放つ風船夏の空

ゆいか

夏井いつき先生より
「先日、娘が結婚式を挙げました。その時に、参列者全員が風船を空に放つ場面があり、空高く舞い上がる幾多もの風船を眺め、娘の末永い幸せを願いました。その思いを詠みました」と作者のコメント。

「風船」は春の季語、「夏の空」は勿論夏の季語。季重なりですが、実際に結婚式が夏で、現実として風船を放つという演出があったとすれば、やはりそれを描きたいですよね。そんな時のやり方は、色々あります。例えば〈花嫁や夏空へ放つ風船〉〈花嫁と放つや夏空の風船〉など、言葉のパズルだと考えて、幾つかやってみて、最も心に適うものを探し出して下さい。
“ポイント”

オーマイガッシュビールと醤油間違えて

三日月 星子

夏井いつき先生より
エピソードとしては、失態という名の面白い句材です。ただ、「ビールと間違え」という文脈で、これが季語になるのか。悩ましい展開です。
“ポイント”

柳芽ゆれ上司とアインプロージット

ちえ湖

夏井いつき先生より
「新卒で入社した会社の上司に、問答無用でたびたび近くのビアホールに連れて行かれました。 そこでは時間ごとに民族衣装を着た女性がステージに立ち、みんなで『アインプロージット』を歌いながら乾杯をしました。 今は無き、銀座のアサヒビアホールの思い出です」と作者のコメント。

「芽柳」は銀座のイメージだと思いますが、「柳芽ゆれ」から中七下五の状況になると、柳のほとりで上司と二人で歌ってる(?)……というふうに読めてしまいます。
“ポイント”

麦秋やジョッキ越し見る玉の汗

紫陽

夏井いつき先生より
「ジョッキに伝うビールの雫ではなく、約束の時間ギリギリに来た友の汗をジョッキ越しに見るという様子を詠みました」と作者のコメント。

この「玉の汗」が、ジョッキの雫なのか、向こうに見える人の汗なのか。読みを迷います。
“良き”

ようやくのビールぬるけき芋洗い

志無尽おたか

夏井いつき先生より
「人気のビアホールに一時間ほど並び、ぎゅうぎゅう詰めの席に座って、ようやく生ビールにありつけて。それなのに勢い込んで一気飲みしたビールがぬるくてがっかりでした……人気のお店なので十分に冷やす時間がなかったんですね」と作者のコメント。

中七は「ビールはぬるし」と普通に言い切ったほうが分かりやすいです。下五「芋洗い」は、比喩だということですが、「芋」も季語ではあるので、この状況を別の言葉で書けるように工夫してみてはいかがでしょう。
“ポイント”

あ、デジャブ母逝きし日の立葵

令子

夏井いつき先生より
「母逝きし日の立葵」とあれば、目の前にある「立葵」に既視感をもっているのだろうということは、想像できます。
“難しい”

古き良き卓と麦酒や琥珀色

木田白老(きだ しらおい)

夏井いつき先生より
「琥珀色をどう表現するか悩みました」と作者のコメント。

そうですね、今回「琥珀色」「セピア色」という言葉を使って、古いイメージを伝えようとしている句が散見しました。「古き良き卓と麦酒」で、古い感じは充分に伝わりますから、下五こそが工夫のしどころですね。
“ポイント”