第69回「日本最古のビアホール」《ハシ坊と学ぼう!④》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
鐘朧腸詰めらしきものを食ふ
苔間きい
夏井いつき先生より
「新婚旅行で訪れたスロベニアの首都・リュブリャナの食堂。言葉があまり通じないので、前の方と同じものを注文しました。腸詰めの煮込みのような食べ物で、少し生臭かったけれど美味しかったです」と作者のコメント。
中七下五「腸詰めらしきものを食ふ」を良しとした時、季語は動きそうです。良き季語との出会いがあれば、最後は「~を食ふ」の部分のリアリティをあげることもできるかも。
中七下五「腸詰めらしきものを食ふ」を良しとした時、季語は動きそうです。良き季語との出会いがあれば、最後は「~を食ふ」の部分のリアリティをあげることもできるかも。


お台場の桜女神の肩に虹の橋
鯉昇り
夏井いつき先生より
「第66回『お台場の桜』〈台場の桜女神の肩に架かる橋〉の推敲。お台場なので、虹の橋でも季重なりでないと再考した。この風景は実在する。お台場は砲台を置く場所に由来するけど、使われなかった。お台場の桜は平和の上に咲く桜。砲台の島の上に自由、人権、民主主義の象徴(戦後の日本が選んだ価値観)が立ち、その肩越しに多様性と断絶を繋ぐ希望の橋が見える。ここで人々は愛を語らう。日本が選んだ未来の姿。決して当たり前じゃない」と作者のコメント。
書きたい内容が多すぎて、やはり十七音をあふれています。俳句の器はとても小さいので、「季語+あと一つの要素」ぐらいがゆったりと収まる目安だと考えてください。
書きたい内容が多すぎて、やはり十七音をあふれています。俳句の器はとても小さいので、「季語+あと一つの要素」ぐらいがゆったりと収まる目安だと考えてください。


ビール美味くなるひと不味くするひと
すけたけ
夏井いつき先生より
「『ボヤキ川柳』みたいになってしまいました。調べも不安定で、すいません。『ちょっといこうか」と誘われ、『とりあえずビール』で始まり、面白話で終始すればビールも美味いが、何やら愚痴やら悪口になり剣呑な雰囲気にする人がいる。お酒も不味くなる。私はどっちだったろう。ジョッキ一杯『一人飲み』で気取っていたヤナ奴かも」と作者のコメント。
確かに、内容は「ボヤキ川柳」っぽいですが、調べを整えると、化けるかもしれません。
確かに、内容は「ボヤキ川柳」っぽいですが、調べを整えると、化けるかもしれません。


ひとくちめ一番おいしいあっぱっぱ
どら寅
夏井いつき先生より
「会員登録してから一年。全く俳句が思いつかず、今回初めて投句します」と作者のコメント。
まあ! それは勿体ない。投句してこその学びですから、一句でも何か投じて下さい。
そして、この句。例えば「一口目/うまい」と整えると、上五+三音を使ってますので、残り「○○○○/あっぱっぱ」と整えてみましょう。○の部分は、あっぱっぱを描写するのが、この型の定石になります。
まあ! それは勿体ない。投句してこその学びですから、一句でも何か投じて下さい。
そして、この句。例えば「一口目/うまい」と整えると、上五+三音を使ってますので、残り「○○○○/あっぱっぱ」と整えてみましょう。○の部分は、あっぱっぱを描写するのが、この型の定石になります。


遠雷やじっとローストビーフ待つ
もんD
夏井いつき先生より
「遠雷」と「ローストビーフ」の取り合わせには、意外性があります。「じっと~待つ」は一考の余地あり。


仄かなる麦酒の香尾灯の赤く
隼 光一
夏井いつき先生より
「(ほのかなるばくしゅのかびとうのあかく)と読みます。 バイクツーリングの帰り道で、中央道のビール工場の辺りを走行していた時の情景です。『右に見える競馬場 左はビール工場〜♪』にならないように作ったつもりです。ユーミンを知らない方が読んでも、夜のハイウェイの句として楽しんでもらえたら嬉しいです」と作者のコメント。
確かに、ユーミンの歌を思い出させる句ではあります。ただ、車の中でビール飲んでる(?)と受け止める人も当然でてきます。そのあたりは、一考の余地がありそうです。
確かに、ユーミンの歌を思い出させる句ではあります。ただ、車の中でビール飲んでる(?)と受け止める人も当然でてきます。そのあたりは、一考の余地がありそうです。


ビル地下や洞窟めいたビアホール
静悦
夏井いつき先生より
「洞窟めいたビアホール」だけで、地下っぽい感じは伝わります。上五に季語ではない名詞をおいて「○○○○や」とすれば、更に化けてくれるタイプの句です。
「洞窟めいたビアホール」だけで、地下っぽい感じは伝わります。上五に季語ではない名詞をおいて「○○○○や」とすれば、更に化けてくれるタイプの句です。


爪を切る背骨に沿うて蚊遣かな
丘なな実
夏井いつき先生より
地味ですが、目が利いている句です。後半の「沿うて蚊遣かな」の部分の描写の精度をあげると、一気に佳句に育ちます。
地味ですが、目が利いている句です。後半の「沿うて蚊遣かな」の部分の描写の精度をあげると、一気に佳句に育ちます。


首輪残り手の遣り場なき春の暮れ
相州枕流
夏井いつき先生より
「第66回『お台場の桜』のハシ坊でご指導いただきました。ありがとうございました。直接ご指導いただけて、非常にうれしく思っております。〈君逝けり膝に手を遣る春の暮れ〉に対し、『「君」が、愛犬であることがわかるように書けるとベストなのですが』というお言葉に沿って、『首輪』で対象が犬であること、『残り』で既にこの世にないことを表現してみました」と作者のコメント。
「首輪」という一語を入れたのは良い判断です。上五を「首輪残る」と言い切ると人選。更に、それ以上のものにブラッシュアップするとすれば、中七に工夫の余地があるといえばあります。
「第66回『お台場の桜』のハシ坊でご指導いただきました。ありがとうございました。直接ご指導いただけて、非常にうれしく思っております。〈君逝けり膝に手を遣る春の暮れ〉に対し、『「君」が、愛犬であることがわかるように書けるとベストなのですが』というお言葉に沿って、『首輪』で対象が犬であること、『残り』で既にこの世にないことを表現してみました」と作者のコメント。
「首輪」という一語を入れたのは良い判断です。上五を「首輪残る」と言い切ると人選。更に、それ以上のものにブラッシュアップするとすれば、中七に工夫の余地があるといえばあります。


大ぶりの戒名の子や麦の波
風嶺陸
夏井いつき先生より
「大ぶりの戒名」とは、どんなニュアンスなんでしょう? 句材としては佳句になる予感はあるのですが。
「大ぶりの戒名」とは、どんなニュアンスなんでしょう? 句材としては佳句になる予感はあるのですが。


琥珀なすガラリアの路(ろ)やゼラニウム
斎藤マカロン
夏井いつき先生より
「第65回『バスからの眺め』〈琥珀なす石灰の街花盛り〉の推敲です。マルタ島の都市バレッタでは、ガラリアと呼ばれる色鮮やかな出窓が並ぶ路地が、観光名所となっています。石灰の街から具体的に美しい所を入れました。鉢の花や出窓の花はゼラニウムにしました」と作者のコメント。
中七「ガラリアの路(ろ)や」と、無理矢理「ろ」と読ませるよりは、「ガラリアの路地」としたほうが、素直に光景が浮かびます。下五「ゼラニウム」を取り合わせた判断は良いですね。具体的な映像が見えてきます。一つ、疑問なのが「琥珀なす」です。これは、どんな様子を表しているのでしょうか。琥珀のように「古い」というイメージ? 本当に「琥珀」色の街? そのあたりが曖昧です。
「第65回『バスからの眺め』〈琥珀なす石灰の街花盛り〉の推敲です。マルタ島の都市バレッタでは、ガラリアと呼ばれる色鮮やかな出窓が並ぶ路地が、観光名所となっています。石灰の街から具体的に美しい所を入れました。鉢の花や出窓の花はゼラニウムにしました」と作者のコメント。
中七「ガラリアの路(ろ)や」と、無理矢理「ろ」と読ませるよりは、「ガラリアの路地」としたほうが、素直に光景が浮かびます。下五「ゼラニウム」を取り合わせた判断は良いですね。具体的な映像が見えてきます。一つ、疑問なのが「琥珀なす」です。これは、どんな様子を表しているのでしょうか。琥珀のように「古い」というイメージ? 本当に「琥珀」色の街? そのあたりが曖昧です。


秋霖や幾重にこずむビアレース
投野槍太郎
夏井いつき先生より
「初参加です。チビチビとビールを飲み、ビアレースがグラス底へ溜っている様子をイメージして詠みました。ビアレースは側面についた泡であるため、グラス底に層をなして沈殿することがなく、『幾重にこずむ』が『ビアレース』と合わないのかも(?)、と不安です。これから何度も失敗して俳筋力を育てていきたいと思います」と作者のコメント。
ようこそ「おウチde俳句くらぶ」へ。一緒にコツコツ学んでまいりましょうね。
さて、「ビアレース」ですが、ビールを飲み進めるたびに木の年輪のように泡の輪が付着する、あの模様なんですね。
「こずむ」も分からなくて、調べました。「偏む」と書くようです。
1 筋肉がかたくなる。凝る。「首筋が―・む」
2 心が重くなる。気がめいる。
3 競馬で、肩の筋肉が硬直して、馬が釣り合いのとれない歩き方をする。
4 馬がつまずいて倒れかかる。
5 1か所にかたよって集まる。ぎっしり詰まる。
このような意味があるようですが、この場合は5の意味でしょうか? とはいえ、「ビアレース幾重に」とすれば、「こずむ」という動詞そのものは不要なのではないでしょうか。そこを含めて、再考してみましょう。
「初参加です。チビチビとビールを飲み、ビアレースがグラス底へ溜っている様子をイメージして詠みました。ビアレースは側面についた泡であるため、グラス底に層をなして沈殿することがなく、『幾重にこずむ』が『ビアレース』と合わないのかも(?)、と不安です。これから何度も失敗して俳筋力を育てていきたいと思います」と作者のコメント。
ようこそ「おウチde俳句くらぶ」へ。一緒にコツコツ学んでまいりましょうね。
さて、「ビアレース」ですが、ビールを飲み進めるたびに木の年輪のように泡の輪が付着する、あの模様なんですね。
「こずむ」も分からなくて、調べました。「偏む」と書くようです。
1 筋肉がかたくなる。凝る。「首筋が―・む」
2 心が重くなる。気がめいる。
3 競馬で、肩の筋肉が硬直して、馬が釣り合いのとれない歩き方をする。
4 馬がつまずいて倒れかかる。
5 1か所にかたよって集まる。ぎっしり詰まる。
このような意味があるようですが、この場合は5の意味でしょうか? とはいえ、「ビアレース幾重に」とすれば、「こずむ」という動詞そのものは不要なのではないでしょうか。そこを含めて、再考してみましょう。


夏闇や孕み解きをる鯉の背
石塚壜太呂
夏井いつき先生より
「ご指導ありがとうございました。『城下町の白壁』の〈夏闇やヰタに添ふ言の逍遥〉の推敲句を提出させてください。壮大過ぎるテーマを捨て、原句の闇の情景を具体化したつもりです」と作者のコメント。
ハイ、少し焦点が絞られてきましたね。「夏闇」の中の「鯉の背」はなんだか不気味です。中七「孕み解きをる」とは、鯉のどんな様子なのでしょう? ここが更に映像になってくると、完成に近づいてきます。
「ご指導ありがとうございました。『城下町の白壁』の〈夏闇やヰタに添ふ言の逍遥〉の推敲句を提出させてください。壮大過ぎるテーマを捨て、原句の闇の情景を具体化したつもりです」と作者のコメント。
ハイ、少し焦点が絞られてきましたね。「夏闇」の中の「鯉の背」はなんだか不気味です。中七「孕み解きをる」とは、鯉のどんな様子なのでしょう? ここが更に映像になってくると、完成に近づいてきます。



