第69回「日本最古のビアホール」《ハシ坊と学ぼう!⑤》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
ビヤホール今年の火山旅程素案
繁茂おじ
夏井いつき先生より
「火山旅程素案」と「ビヤホール」、あるいは「ビール」との取り合わせは面白いです。「今年の」は不要です。再考してみましょう。


欠落の喉垂直に麦酒消ゆ
藤井士南樹
夏井いつき先生より
「知り合いで、水のようにビールを飲む人がいます。いや、水はそんなに飲めないか。少し控えた方がいいのに、そうはいかないんだろうなと思いました」と作者のコメント。
「欠落の喉」と表現を工夫したことは分かるのですが、手術でもしたのか……と読まれる可能性も否定できません。誤読を防ぐのも、表現の工夫です。
「欠落の喉」と表現を工夫したことは分かるのですが、手術でもしたのか……と読まれる可能性も否定できません。誤読を防ぐのも、表現の工夫です。


生ビール交わす机の無数傷
阿胡茶
夏井いつき先生より
微調整しましょうか。ニュアンスがどう変わったか、考えてみて下さい。
添削例
生ビール交わせる卓の傷無数
微調整しましょうか。ニュアンスがどう変わったか、考えてみて下さい。
添削例
生ビール交わせる卓の傷無数


初夏夕食べて飲んで満面笑み
洛山桜
夏井いつき先生より
散文的な書き方になっています。散文的とはどういうことかについては、『俳句添削事典』132頁「説明しない」を参照して下さい。「初夏夕」という季語の使い方も、少々乱暴です。


ソーセイジ辛子無しではビア台無し
花平 佐内
夏井いつき先生より
「下五が一音字余りですが、ある時主人と行ったレストランで、三種類の辛子付きソーセイジをオーダーしたことがありました。三種類の辛子で食べるソーセイジは、ビックリするくらい美味しくて、ビールにぴったりでした」と作者のコメント。
散文的な書き方になっています。散文的とはどういうことかについては、『俳句添削事典』132頁「説明しない」を参照して下さい。この句の場合でしたら、「辛子なきソーセージ」とフレーズを整えて、残りの音数で明確な季語を入れたフレーズを作ってみましょう。
散文的な書き方になっています。散文的とはどういうことかについては、『俳句添削事典』132頁「説明しない」を参照して下さい。この句の場合でしたら、「辛子なきソーセージ」とフレーズを整えて、残りの音数で明確な季語を入れたフレーズを作ってみましょう。


黒ビールグラスの中にため息や
横田行雲
夏井いつき先生より
「グラスに」と書けば「~の中」は不要になります。下五の「や」はバランスの取りにくい型ですから、ここも再考してみましょう。


初蝉やジョッキに揺れる泡の列
樽越
夏井いつき先生より
「鳴き始めた蝉の声を聞きながら、日常を忘れてビールの泡をボンヤリ見つめていたことを思い出しました」と作者のコメント。
外で飲んでいる感じ、「初蝉」で夏が来たかという感じ、書けていると思います。一点だけ、「泡の列」の「列」をどう読めばよいのか、迷いました。
外で飲んでいる感じ、「初蝉」で夏が来たかという感じ、書けていると思います。一点だけ、「泡の列」の「列」をどう読めばよいのか、迷いました。


二軒目のジョッキコーラや麦の秋
升 丁茶
夏井いつき先生より
「飲み会の二軒目という意図です。『二軒目の』で、どの程度伝わるでしょうか」と作者のコメント。
上五中七の意味は想像できるのですが、下五「麦の秋」が作者の伝えたいことに合致しているのか? ささやかな疑問も残りました。
「飲み会の二軒目という意図です。『二軒目の』で、どの程度伝わるでしょうか」と作者のコメント。
上五中七の意味は想像できるのですが、下五「麦の秋」が作者の伝えたいことに合致しているのか? ささやかな疑問も残りました。


秋灯や時の外れの予約席
つゐのひかる子
夏井いつき先生より
「はじめまして。先月から俳句を始め、細く長い趣味とするべく、年間会員になりました。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます!」と作者のコメント。
ハイ、ご一緒にコツコツと学んでまいりましょう。中七「時の外れの」は、どんなニュアンスなのでしょう? 閉店間際? 季節外れ? 何を書きたかったのかを、短い文章にしてから、言葉を絞ってみるのも一手です。
「はじめまして。先月から俳句を始め、細く長い趣味とするべく、年間会員になりました。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます!」と作者のコメント。
ハイ、ご一緒にコツコツと学んでまいりましょう。中七「時の外れの」は、どんなニュアンスなのでしょう? 閉店間際? 季節外れ? 何を書きたかったのかを、短い文章にしてから、言葉を絞ってみるのも一手です。


山盛りの怒りを凪へ切るキャベツ
森野みつき
夏井いつき先生より
「単純作業は、気持ちを落ち着かせる効果があるように思います。黙々とキャベツを切っていたら、その内に心が穏やかになります。大量の千切りキャベツの出来上がりです。兼題写真のザワークラウトから発想しました」と作者のコメント。
「山盛りの怒り」と「キャベツ」の取り合わせは良いです。中七「凪へ」は、怒りをなだめていく(?)という意味なのでしょうか。その語が必要なのか否かも含めて、再考してみましょう。
「単純作業は、気持ちを落ち着かせる効果があるように思います。黙々とキャベツを切っていたら、その内に心が穏やかになります。大量の千切りキャベツの出来上がりです。兼題写真のザワークラウトから発想しました」と作者のコメント。
「山盛りの怒り」と「キャベツ」の取り合わせは良いです。中七「凪へ」は、怒りをなだめていく(?)という意味なのでしょうか。その語が必要なのか否かも含めて、再考してみましょう。


臍の緒のルーツはイヴか夏座敷
小倉あんこ
夏井いつき先生より
「桐の小箱に入った私の臍の緒は、母とつながっていた。母の臍の緒は祖母と。そう考えて臍の緒をたどっていくと、人類最古・始まりのアダムとイヴにたどり着くのだろうか? なんて、思いを馳せている夏座敷です」と作者のコメント。
「夏座敷」は、夏らしく涼しげにあつらえている座敷というのが本意です。「臍の緒」のフレーズを大切にしたいのならば、取り合わせる季語を再考することをお勧めします。
「桐の小箱に入った私の臍の緒は、母とつながっていた。母の臍の緒は祖母と。そう考えて臍の緒をたどっていくと、人類最古・始まりのアダムとイヴにたどり着くのだろうか? なんて、思いを馳せている夏座敷です」と作者のコメント。
「夏座敷」は、夏らしく涼しげにあつらえている座敷というのが本意です。「臍の緒」のフレーズを大切にしたいのならば、取り合わせる季語を再考することをお勧めします。


白壁に流るる香り梅雨穴子
不二自然
夏井いつき先生より
「第67回『城下町の白壁』《ハシ坊と学ぼう!⑧》のコメント、ありがとうございました。〈白壁に流るる風や梅雨穴子〉は、晴れた日に、白壁の残る古風な道を歩いていると、どこからか風にのって穴子を焼くようないい匂いがしてきたことを詠みました。梅雨の穴子は非常に美味しいので、「梅雨」という語は、雨というより時期を念頭に置いて使いました。しかし字面では雨を連想させてしまいました。香りと穴子が少し直接的な気もします」と作者のコメント。
「香り」とあれば、もう漂っている。匂いは流れています。上五「白壁」という情報を外したくないのであれば、例えば……
添削例
白壁や香のこうばしき梅雨穴子
「第67回『城下町の白壁』《ハシ坊と学ぼう!⑧》のコメント、ありがとうございました。〈白壁に流るる風や梅雨穴子〉は、晴れた日に、白壁の残る古風な道を歩いていると、どこからか風にのって穴子を焼くようないい匂いがしてきたことを詠みました。梅雨の穴子は非常に美味しいので、「梅雨」という語は、雨というより時期を念頭に置いて使いました。しかし字面では雨を連想させてしまいました。香りと穴子が少し直接的な気もします」と作者のコメント。
「香り」とあれば、もう漂っている。匂いは流れています。上五「白壁」という情報を外したくないのであれば、例えば……
添削例
白壁や香のこうばしき梅雨穴子


夏雲や豆腐ラッパに小鍋抱へ
ちえ
夏井いつき先生より
「父はビールではなく、日本酒に冷奴を好み、小学生の私は豆腐売りのラッパが聞こえると、慌てて鍋を持ち走って出ていたことを思い出し、句作してみましたが上手くいきません」と作者のコメント。
俳句における語順は、どの映像から入り、どの映像や音で終わるかと考えると判断がし易くなります。例えば……
添削例
小鍋抱へ豆腐ラッパは夏雲へ
「父はビールではなく、日本酒に冷奴を好み、小学生の私は豆腐売りのラッパが聞こえると、慌てて鍋を持ち走って出ていたことを思い出し、句作してみましたが上手くいきません」と作者のコメント。
俳句における語順は、どの映像から入り、どの映像や音で終わるかと考えると判断がし易くなります。例えば……
添削例
小鍋抱へ豆腐ラッパは夏雲へ


パックごと喰らうビジホの冷奴
ノアノア
夏井いつき先生より
「ごと」だけ一考して下さい。
「ごと」だけ一考して下さい。



