写真de俳句の結果発表

第72回「木の実のカーテン」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊 NEW

第72回のお題「木の実のカーテン」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

3ラウンドの洗濯桔梗笑ふ

野々 かりん

夏井いつき先生より
「第70回『ベランダの桔梗』〈2ラウンドの洗濯終ふ桔梗笑ふ〉で、『終ふ』と書かなくても、『2ラウンドの洗濯』に『桔梗笑ふ』を取り合わせるだけで充分なので調べを整えて、と御指導頂きました。本当は3ラウンドだったので、それでちょうど字数が収まりましたが、調べは整ったでしょうか?」と作者のコメント。

「3ラウンド」で良いと思います。「ちょうど字数が収まりました」というのは、全部の音を足すと十七音になったという認識なのだとは思いますが、調べはぎくしゃくしています。「2ラウンド」でしたら、〈桔梗(きちこう)が笑ふ洗濯2ラウンド〉とすれば、音数も調べも整います。が、「3ラウンド」は六音なので、全体の調べの調整がまた変化してきます。
“難しい”

どんぐりの落下弾くピッコロの音

神木美砂

夏井いつき先生より
「どんぐり」と「ピッコロ」の取り合わせが、楽し気で良いです。調べを整えてみましょう。
“ポイント”

木の実落ち秘仏展の列長し

しまちゃん

夏井いつき先生より
中七が一音足りません。語順や言葉の選択を考えて、ここを改善できれば良いのですが。
“ポイント”

良き木の実多き種より句もしかり

和平

夏井いつき先生より
「夏井先生の教えを詠みました」と作者のコメント。

こういう考えをしっかりと心に入れて頂き、ご一緒に学んでまいりましょうね。
“ポイント”

ふつつかな無花果ジャムへ香は風へ

星 秋名子

夏井いつき先生より
「ふつつかな」が、わかるようで分かりにくいのが、気になります。「無花果」がふつつか? 「ジャム」がふつつか? あるいは「ふつつかな無花果ジャム」という商品名?
“難しい”

旅の後木の実のリース手作りで

メグ

夏井いつき先生より
「旅行で歩いて見つけた木の実や葉や葛を持ち帰り、旅の事を思い出しながらリースを作ったことを思い出しました」と作者のコメント。

「旅の後~手作りで」という構成が散文的です。時間軸も一点に絞ってみましょう。

添削例
リースにと旅の木の実を持ち帰る
“ポイント”

庭の隅白桔梗咲く三十度

瀬戸一歩

夏井いつき先生より
桔梗の花の角度を「三十度」とする目の付け所が良いです。「庭の隅」という情報を入れるよりは、「桔梗」のみで勝負する一物仕立てに向いている句想です。
“ポイント”

赤い実が笑った気する秋夕焼

松 雪柳

夏井いつき先生より
「気する」は不要です。「赤い実が笑った」で、切れを入れて、場面と意味を切り分けましょう。残りの音数で、主役の季語「秋夕焼」を一言描写すれば、完成です。
“ポイント”

雷雨近づくオービスに糞鳩西へ

輝虎

夏井いつき先生より
「第68回『監視カメラに鳩』〈オービスに鳩の糞ベチャ雷雨待つ〉を推敲しました」と作者のコメント。

推敲は良い方向に進んでいます。「西へ」という情報を入れるのは、十七音の器として無理があります。

添削例
雷雨近づくオービスに鳩の糞
“ポイント”

つつかれし実のなほ赤き鵯来

せんのめぐみ

夏井いつき先生より
今、突いている光景でしょうから、「し」は回避したほうが良いです。さらに、「赤き」は「実」のことだと思いますので、この位置で「赤き」とすると「鵯」が赤いことになってしまいます。ん? それとも……最後に「鵯来」とある、ということは、かつて「つつかれし実」が、今なほ赤くて、今べつの「鵯来」という場面? 読みを迷わせます。
“難しい”

秋高し天まで揺れよ辛夷の実

きのこオムレツ

夏井いつき先生より
〈秋高し/天まで揺れよ/辛夷の実〉斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。三段切れの解消については、『夏井いつきの俳句添削事典』を参照してください。
“難しい”

緋の実へと斜め下から秋の蝶

加賀屋斗的

夏井いつき先生より
よく観ていますね。語順がベストかどうか、最後の吟味を。
“ポイント”

ドヤ顔や栗いっぱいに野球帽

啓太郎

夏井いつき先生より
野球帽に栗をいっぱい拾っているようすを描写すれば、「ドヤ顔」と説明する必要はなくなります。
“ポイント”

どんぐりの袋かかえてしたり顔

出羽泉まっくす

夏井いつき先生より
「秋の公園でどんぐり拾い。『いっぱい拾ったよー』ってどんぐりがたくさん入った袋を抱えて、わが子はドヤ顔で報告に来ました」と作者のコメント。

どんぐりが一杯入った袋を抱えている様子を描写すれば、「したり顔」と説明する必要はなくなります。
“ポイント”