写真de俳句の結果発表

第57回「沖縄県の郷土料理」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊

沖縄県の郷土料理

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

三線の洩れてくる路地夏暖簾

深山ほぼ犬

夏井いつき先生より
「『漏れる』か『洩れる』か悩みました。たいして変わらないでしょうか?」と作者のコメント。

音の場合は、「洩れる」が良いと思います。更に中七ですが、
①「洩れてくる路地」と「て」を入れるとまったりとした時間のイメージ
②「洩れくる路地や」と切れを入れて、映像を切りかえる効果
このあたりも作者ご自身の意図がどちらにあるのか、自問自答してみましょう。
“参った”

夏空や竹富牛車で訃報きく

佳奈

夏井いつき先生より
後半の語順が逆ですね。

添削例
夏空や竹富牛車に聞く訃報
“ポイント”

蔓荔枝じじばば座り込む辺野古

藤井いちはつ

夏井いつき先生より
「辺野古への米軍基地移設に対する抗議行動として始めた辺野古の海での座り込みは、今年で11年となります。全国からもたくさんの支援者が交代で駆けつけてきましたし、私の職場からも座り込みに参加する人を送りました。現地の人を元気づけるために支援しているつもりが、沖縄の元気なじじばばのエネルギーに逆に勇気付けられて帰ってきました」と作者のコメント。

上五の季語は悩ましいですね。「蔓荔枝」でも勿論成立するのですが、これがベストなのかどうか。
“ポイント”

老夫婦マンゴー大事に昼の便

木苺

夏井いつき先生より
「『大事に』が説明になっていますか?」と作者のコメント。

「老夫婦」という人物を入れるよりは、「大事に」というその手つきとか、荷造りのさまとかを描写すると良いですね。
“参った”

アグーさばくオバー慰霊の日の虹

東九おやぢ

夏井いつき先生より
下五の着地を「虹よ」とすれば、人選です。
“参った”

ラフティーや胃婁の母に夕立風

気仙椿

夏井いつき先生より
「晩年、胃婁の処置となった母。あまり肉を好まなかった母ですが、ごちそうとして時に角煮を作ってくれました。その角煮も食べることができないまま逝ってしまいました。せめて風に乗った匂いだけでも嗅ぐことはできたのでしょうか」と作者のコメント。

「せめて匂いだけでも」という思いが感じ取れるような書き方ができるとベストです。
“ポイント”

ゲート出で見遣る遊具や氷菓滴れ

古都 斗織

夏井いつき先生より
第54回『パンダと観覧車』〈夏果てるアイス持たされ手を引かれ〉の推敲句です」と作者のコメント。

良い道筋で推敲が始まっています。上五を「氷菓垂る」として、中七下五で周りの光景を描写してはどうでしょう。
“参った”

予約前髪の束縒れ薄暑かな

柑青夕理

夏井いつき先生より
「かな」の詠嘆はあまり効いてないので、「薄暑」と体言止めにしてみるのも一手です。
“ポイント”

海ぶどう大阪のスーパー不安げに

にわなづな

夏井いつき先生より
「近所のスーパーに珍しく海ぶどうが置いてあり、思わず手に取りました。異郷の地で売られている海ぶどうも、さぞ心細かろうと思い詠んだ1句です。『海ぶどう』は季語になるのでしょうか?」と作者のコメント。

「海ぶどう」を沖縄の地貌季語と捉えたとして、中七下五が散文です。例えば、句またがりで後半を「スーパーに海ぶどう」として、前半を工夫してみると、一気に散文を脱出できます。
“参った”

ラフテーの断層幾重クロアゲハ

在在空空

夏井いつき先生より
上五中七のフレーズを良しとした時、季語のほうが負けています。
“ポイント”

山鳥や刺し身で七転八倒

Sean

夏井いつき先生より
料理するのに苦労したのか、食べた後の腹痛なのか? そこらへんも曖昧。
“ポイント”

雪を見ず此処で散るのか沖縄忌

ヒマラヤで平謝り

夏井いつき先生より
「太平洋戦争の最後の決戦地の沖縄で、亡くなった住民の方の中で『雪』を見たこともない人もいたかもしれない。ひょっとしたら雪国出身の兵の方も、くにに帰りたいと思いながら戦死した方もいるかもしれない。そういう追悼の句を詠むにはボクには実力不足ではあると思うのですが、『沖縄忌』という季語を今回の兼題の句を作る際に見つけて、沸き上がった言葉をもとに詠んでみました」と作者のコメント。

自分が書きたいと思った内容に対して、「実力不足」を理由に怯む必要はありません。このような句材は、胸にしっかりと留めておきましょう。実力が満ちてきた時、さらりと一句にまとめられる日がくるのです。その日を楽しみに、コツコツと俳句の筋トレに励んでまいりましょう。
“ポイント”

荒梅雨や出荷前夜の寝息かな

光太郎

夏井いつき先生より
「や」「かな」の切れ字が重なりました。どちらか一つを外して、全体を整えましょう。
“ポイント”

泡盛で泡盛育ち流し込む

高山佳風

夏井いつき先生より
「中七の『泡盛育ち』とは、えさの飼料に、石垣島の泡盛もろみを混ぜて育てている、希少価値の高い、沖縄在来種のアグー豚の上質な肉のことです。とろける甘さが特徴だそうです」と作者のコメント。

作者コメントの内容が、どこまで読み解けるか、少々不安が残ります。
“ポイント”