写真de俳句の結果発表

第66回「お台場の桜」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊 NEW

第66回のお題「お台場の桜」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

春の海を知りたり砂丘のらくだは

せんのめぐみ

夏井いつき先生より
第64回『砂漠のホテル』〈春の砂丘にらくだは海を知りて居る〉について、『に』と『居る』を再考する価値あり、とアドバイスいただき、その『価値あり』がうれしくて考え直しました。特に語順に悩んで、いろいろ試してみました」と作者のコメント。

よい感じで推敲が進んでいます。後は、調べとニュアンスの微調整でしょうか。例えばこんな……

添削例
春の海を知るや砂丘の駱駝らは
“ポイント”

海鳴りの飛沫広がり花月夜

土取

夏井いつき先生より
中七を「~広がる」とすれば、人選です。
“ポイント”

庭枯るる蒸籠の留め具外れけり

加賀屋斗的

夏井いつき先生より
第57回『沖縄県の郷土料理』〈冬空へ放つ蒸籠は散けけり〉第60回『双子のようなペンギン』〈冬空へ放つ蒸籠が、ばらけた〉第63回『十数年ぶりの大阪』〈吾の蒸籠UFOとなり神渡〉の推敲で、情景を思い直しました」と作者のコメント。

なるほど、そういうことだったのですね。〈冬空へ放つ蒸籠は散けけり〉〈冬空へ放つ蒸籠が、ばらけた〉〈吾の蒸籠UFOとなり神渡〉など、蒸籠がばらけるってどういうこと? と思っていたのですが、「留め具」が壊れていたのですね。だとすれば、中七下五は意味のわかる描写です。あとは、上五の季語の選択ですね。中七下五のフレーズを従えつつ、主役となる季語を探してみましょう。完成が近づきましたね。
“ポイント”

霾やしがみつく瘤坐す駱駝

丸山和泉

夏井いつき先生より
第64回『砂漠のホテル』〈霾や落ちまいと抱く駱駝の香〉の再提出です」と作者のコメント。

中七下五は「駱駝の瘤にしがみつく」ではダメですか?
“ポイント”

富士桜湖水の富士とコラボして

啓太郎

夏井いつき先生より
「湖畔の富士桜と、湖水に映る富士は一枚の絵画のようです」と作者のコメント。

「コラボ」という略語は便利ではありますが、そこに甘えず、「湖水の富士」の様子を描写してみましょう。
“ポイント”

花追風飛びゆく指紋採取の粉

アツヒコ

夏井いつき先生より
「近所で盗難自転車が発見され、駆けつけた警察官より指紋採取の立ち会いを依頼されました。当日は強風につき、指紋採取のパウダーが飛びまくりで、警察の方は大変そうでした。兼題写真の右端の白ラインを見て、ふとそのことを思い出した次第です。季語『花追風(はなおいて)』は、中田喜子さんの句から拝借しました」と作者のコメント。

「花追風」は、日本列島を桜がゆっくりと先進んでいく。その花を励ますような風のイメージです。この季語に対して、中七下五はアップの映像ですね。その取り合わせは、ちょっと損かと思います。中七下五を大事にしたいのだと思われますので、季語は再考の余地がありそうです。
“難しい”

メジロきて開門すでに投票日

みよこ

夏井いつき先生より
季語としてのメジロは(特別な意図がない限り)、「目白」あるいは「めじろ」と表記することをお勧めします。
“ポイント”

桜吹雪くひとり埋立13号地

高山佳風

夏井いつき先生より
「『埋立13号地』は、現在のお台場、青海、東八潮エリア(港区・品川区・江東区)を指すかつての通称です。1960年代から東京湾の埋め立て事業によって造られた広大な土地で、フジテレビ本社などがあります。この句で、この地名は効いているでしょうか?」と作者のコメント。

「桜吹雪」と「埋立13号地」の取り合わせは良いです。悩ましいのは、調べの問題。「吹雪く」と動詞にする必要があるのか? 「ひとり」が作者にとってどこまで重要な情報なのか? その2点を考えて推敲してみましょう。
“ポイント”

東京の桜満開子は逝けり

木いちご

夏井いつき先生より
「東京で夢をかなえたかった息子が急逝しました」と作者のコメント。

作者の思いに言葉を寄り添わせる語順にしてみましょう。

添削例
子は逝けり東京の桜満開
“ポイント”

施錠完了あとは夜桜を帰るのみ

鰯山陽大

夏井いつき先生より
「給食センターで働きはじめて、寄宿舎食も作るため夜遅くまで仕事をした後、昼間の子どもたちの華々しさを思い出しながら夜桜の中を帰る。きっと、お台場を最後に施錠して帰る人もこんな気持ちなのかもしれないと思い、句にしました。五七五では収まらなかったのですが、少しの落ち着きと、帰り道の余情のようなものが表せていれば嬉しいです」と作者のコメント。

意図はよいですね。「施錠完了」で上五を字余りにしているので、中七下五は調べを整えるのが定石。不要な言葉が無いか、再考してみましょう。
“ポイント”